「在庫管理システムを初めて導入する会社は、どんなシステムを選ぶべきかのか・・・」
と思っている方がとても多いと思います。
インターネットで検索をすれば比較サイトで、さまざまな商品が紹介されていますね。
どれが自社のビジネスモデルに合っているのか、課題を解決するソリューションになるのか決めかねてしまうでしょう。
そこで在庫管理システムの正しい選び方について、専門家の立場から解説していきます。
良いシステムを選べば、さまざまな恩恵がもたらされます。
- 効率的な在庫管理業務
- 生産性の向上
- 情報の共有化
しかし失敗をすると、システムに振り回されて、デメリットをこうむります。
- 無駄な手間がかかり非効率化する
- 充実した機能を活用できない
- 取引先に変なデータ(誤発注など)が送られ、クレームが来る
システム会社のホームページでは、成功事例がクローズアップされていますが、私のところに来る相談者の中には、
- 数千万円かけて導入したシステムを捨てた
- 導入したシステムの機能の80%を使っていない
- システム都合の作業を人間が代行してデータを作っている
など、とても苦労をしている事例が多いです。
システム会社が悪い!
と思っているのではないでしょうか?
実は、そのシステムを選んだユーザーに大きな責任があります。
正しい知識を身につけ、自社に合ったシステムを導入しましょう。
今回は、ほとんどのサイトで注目されていない重要なポイントをお伝えします。
最適な在庫管理システムを選ぶための情報としてご活用ください。
目次
システムで一番大切なのは設計思想
そもそも在庫管理システムとは、仕入れ先から届いた在庫の状況をインターネットや自社サーバーからリアルタイムに把握して、一元管理するためのツールです。
製造業や物流業の倉庫・工場内にある在庫数量・保管場所などの情報が、自動更新されます。システムにアクセス・ログインすれば、在庫情報がわかるので、今まで手作業やexcelで行っていた在庫管理に関わる入力業務が不要になります。
出庫・入庫登録や棚卸、データ検索などの便利な基本機能がそろっています。このシステムは、モノと違って物理的な制約がありません。
そのため「こういうものを作ろう」という設計思想が一番大切です。
- 適正在庫の実現・維持
- 抱えている過剰在庫の削減
- 見える化
- 生産性アップ支援
- 業務効率改善
などの単語が実現できる特徴として並んでいるかもしれません。
これらは、設計思想ではありません。
在庫管理システムには、大きく分けて2つの設計思想があります。
これを知っておくだけで、システム選びがとてもしやすくなります。
- システムに業務を合わせる(標準化指向)
- システムを業務に合わせる(カスタマイズ指向)
前者は「パッケージ型」のシステムに多くあります。
後者は「オーダーメイド型」のシステムに多く見られます。
それぞれの特徴が比較できるように、ご説明します。
システムに業務を合わせる(標準化指向)
パッケージシステムは、あらかじめ機能が搭載されていて、すぐに使えるようになっています。
また、お試し期間があったり、デモで実際にシステムに、触ることができたりするのが多いのも特徴です。
- すぐに使える
- 豊富な機能が整っている
これがパッケージシステムの良さです。
しかし裏を返せば、その中にある機能の範囲内で業務を、行わなければいけないということになります。
請求書などの帳票作成機能ひとつを取ってみても、帳票のフォーマットが、今使っているものと全く違うでしょう。
また、帳票に表示をしたい項目も全て整っているとは限りません。
この他にも挙げるとキリがありません。
つまり、業務内容を大幅に見直し、システムに合わせて仕事をする=「うちの独自やり方」を変える覚悟が必要です。
システムに不満を感じる点として、以下が挙げられます。
- 業務フロー・工数に合わない
- 必要な機能が無い
これは、システムに対する不満ではなく、実は選定ミスです。
導入の混乱
最初から全ての機能を備えているので、事前に設定することや、覚えることが多いです。
しっかりやった・確認したと思っていても、抜け・漏れがほぼ間違いなく発生します。
例えば、以下の通りです。
- システムがきちんと動かない(設定漏れ)
- 操作方法が分からない(習熟不足)
このような混乱を防ぐために、事前準備をしなければなりません。
システムの導入で会社の強みを失う?
パッケージシステムを導入するうえで、もう一つの注意点があります。
それは「会社の強みを保持できるか」どうかという点です。事例を取り上げます。
【ある会社の事例】
システムを導入し、これまで行っていた顧客対応をバッサリと切り捨て、発注も自動化しました。
その結果、強みであった各顧客とのコミュニケーションが無くなってしまいました。
電話やメール、店舗ごとにお客様との独自のつながりは、他社には真似できません。
【重要ポイント】
「標準化する」「変える」というのはとてもいいことですが、強みを失うのは、会社にとって致命傷です。
強みを保つために、その部分だけシステムを使用しないという判断もできますが、返って作業量が増えることが多いです。
長い目で見ると、時間と言う一番お金のかかるコストが積みあがっていくため、適切ではありません。
絶対にお勧めできないシステム
パッケージシステムの中でも、絶対におすすめできない商品があります。
格安の料金プランで販売されているパッケージシステムです。
月額料金など経費を抑えられるかもしれませんが、機能が限定され過ぎていて使い物になりません。
特に、あらゆる業種・業界・業態で使えるとうたっている低価格のシステムが該当します。
個人が運営するecサイトレベルでは使えるかもしれませんが、会社組織では役立ちません。
受発注、出荷入荷管理などの機能が用意されていても、場合によっては、エクセルの在庫管理表で自作可能なレベルです。
「在庫管理110番」でも無料テンプレートを配布していますので、ご活用ください。
厳しい言い方をしますが、格安システムはお金と時間の無駄です。導入した後で後悔することになるでしょう。
【重要ポイント】
パッケージシステムを選ぶ場合は、すくなくとも「業務特化型」をお勧めします。
パッケージシステムを選択するメリットとして、業務のやり方や体制、ビジネス環境をギュッとシステムに合わせることです。
嫌でも業務のスリム化を求められます。導入の方法によっては、無駄な作業が無くなって、一気に改善が進みます。
また検討する際、「業務特化型」にターゲットを絞るので運営会社を選びやすくなるでしょう。
システムを業務に合わせる
一方で、自社のやり方をそのまま続けたいと言う方に人気なのがオーダーメイド型のシステムです。
自社に必要な機能を注文して、システム化することができます。
具体的には、
- 在庫分析機能
- ハンディターミナルやバーコードなどデバイスの活用(検品・ピッキングなど)
- 顧客管理システムや生産管理システム、会計システム、購買管理システム、基幹システムとの連携
などが挙げられます。多様なカスタマイズができて、まさに理想です。しかし現実はそんなに甘くありません。
1つ目は価格の壁です。
オーダーメイドシステムを依頼する際、安くても500万円近くかかります。初期コストが高いので、簡単には踏み切れないかもしれません。
システム会社が何度も訪問して、お客様の要望を聞いて、一からシステムを作ります。
2つ目は要求漏れです。
言うとおりにシステムを開発してもらっても、問題が発生するリスクはあります。
いざ、「運用を開始」してみると、「使えなかった」という笑えないことが起こります。開発費以外のコストも発生してきます。
実際に、
数千万円と1年以上の時間をかけて作ったシステムが全く使えなかった
と言うとんでもない実話もあります。
【重要ポイント】
オーダーメイドシステムで最も大切なのは、次のポイントです。
- ユーザーがどこまで業務の洗い出しができるか?
今の業務をシステム化するわけですから、それは当然です。
オーダーメイドを選択する会社は、業務や仕組みが複雑な会社が多いようです。
確かにパッケージシステムでは対応できません。
その判断は正しいと思います。
しかし、キチンと洗い出しができなければ、「システムが対応できない」部分が出て当然です。
「これくらいでいいだろう」
と途中から面倒になり中途半端な業務の洗い出しを行い失敗します。
オーダーメイドシステムは、導入の仕方によっては理想のシステムになり得る可能性を秘めています。
理想的なシステムが出来上がるかどうかは、全てユーザーに掛かっています。
納期が多少延長したとしても、中途半端に終わらせずにしっかりと詰めていくのが、オーダーメイドシステム導入を成功させるコツです。
セミオーダーシステム
- パッケージを選択して、ばっさりと業務改善をする自信が無い。
- オーダーメイドを選択して、業務の洗い出しをする自信が無い。
じゃ、システム化を諦めなければいけない?
そんなことはありません。
セミオーダーシステムと言う選択があります。
これは、パッケージシステムの良さとオーダーメイドシステムの良さの両方を兼ね備えたものです。
必要に応じて、機能を追加できる柔軟なシステムです。
【重要ポイント】
セミオーダーシステムを選ぶポイントは、次の2点です。
- 最初にどれくらいの機能が入っているか?
- どれくらいカスタマイズができるか?
最初に入っている機能で賄うことができれば、カスタマイズの範囲が小さくなります。コストを抑えることができます。
いらない機能があると、混乱の原因になります。
自信が無い場合は、できるだけ最初に入っている機能が少ないシステムをお勧めします。
大切なのは標準化とカスタマイズのバランス
経験上、今までの業務を何も変えずにシステム化をしようとすると、ほぼ100%失敗します。
なぜならイレギュラーだったり、属人化していたりする業務が多すぎるからです。
(オーダーメイドシステムで失敗する会社のほとんどがこれが原因)
可能な限り標準化して、そして必要な部分だけカスタマイズで対応するのが一番良い方法です。
経営者と現場がシステム導入に携わること
システムの導入をすすめるうえで絶対にやってはいけないのが、以下の点です。
- システムに詳しい人(情報管理部など)で導入を進める
- 本社の人の意見を色濃く反映してしまう
システムを使うのは現場です。
システムを使わない人は、現場を知らないので理想や思い込みだけで、システムを作ってしまいます。
ほとんどの場合、現場のニーズとは異なります。これは絶対に避けるべきです。
もちろん現場の人に丸投げも困ります。
- 中途半端な検討
- 自分達の目先の都合の良さを優先
特にこういったことが起こりやすいです。
【重要ポイント】
経営者など意思決定者の参加が欠かせません。
- システム導入の目的と合っているか?
- 自社が抱える課題が明確で、それを解決できるか?
- 目先の利便性ではなく、全体としてパフォーマンスが上がるか?利益があるのか?
など、複数の視点で、経営的な立場から徹底したチェックをすることが求められます。
アドバイザーがいるとさらに良い
- 初めての導入で自分達だけで本当に良いシステムを構築できるのかが不安
- もう、システムの導入で失敗したくない
- できるだけシステムに掛けるコストを減らしたい
こう思っている方は、ぜひ業務とシステムの両方に詳しい専門家と一緒に導入を進めましょう。
外部のアドバイザーを雇うコストはかかりますが、後々のトラブルを未然に防ぎ、必要のないカスタマイズをしないので、トータルコスト
としては安くなります。
システム会社でも導入のサポートはありますが、運用のサポートはありません。
システム会社の担当者に相談すると、「○○はこうやって改善してください」と言うアドバイスはありますが、じゃ、具体的にどうすればいいの?
と聞き返すと、「それは、自分達で考えてください」と返されます。
教科書を読んで勉強はしていますが、実務経験が無いから分からないのです。
システム化は導入で終わりではなく、そこからがスタートです。
日々行う運用が一番大切です。
在庫管理システムの選び方について解説しましたが、いかがだったでしょうか。
今回の情報を参考にして、自社に最適な在庫管理システムを厳選していってください。
またお伝えしたノウハウは、あくまでも一部なので、より具体的なアドバイスが欲しいという方は、お気軽に「在庫管理システム110番」までお問い合わせください。
成長する在庫管理
企画・開発のコンセプトは、
導入した企業が後悔しない本当に役立つシステム
在庫管理システムを導入した企業の約75%が不満を持っています。
この現状を変えるために開発したのが、成長する在庫管理システムです。
在庫管理のことを知り尽くした専門家が企画しました。
現場での使いやすさを第一に考え、直感的で分かりやすく
誰にでも使えます。