在庫管理110番では、これまでに200社以上の相談・コンサルティングを実施しています。
その中で、うまくいく企業とそうでない企業の差がはっきりと分かれます。
これは、在庫管理にかかわらず
- 生産性向上
- DX
- システム導入
など、業務を変えること全般に通じますので、これからそういったことに取り組もうと思っている場合はぜひ参考にしてください。
目次
在庫管理がうまくいっている会社がやっている6つのこと
在庫管理がうまくいって改善が進んでいる会社は、次の6つに取り組んでいます。
- 現状把握
- 2S(整理・整頓)
- 情物一致
- 標準化
- エクセル管理を捨てる
- 全体最適
それぞれについて説明します。
現状把握
改善をやる前に最も大切なのが、現状把握です。
現状把握無くして、改善はありえません。これは業務改善に限らず全てに通じます。
- 現在の仕事の仕方
- 業務フロー
- 帳票
などを全て見える化します。
たとえば、
事業転換をうまく進めた富士フイルムの例では、
自社の持っている技術を2年間かけて、棚卸したそうです。
写真フイルムを製造する技術を、医薬品や化粧品といった成長分野に転用しました。
ちなみに、そのまま写真フイルムに固執し続けたコダックは倒産しました。
2S(整理・整頓)
在庫管理の現物を管理するための基本中の基本です。
在庫管理110番では、在庫管理の相談を受けた際に必ず確認します。
システムを導入する際にぜひ取り組んでいただきたい改善です。
- 整理とは、必要なものだけにすること(=捨てること。)
- 整頓とは、誰にでもわかるようにすること
です。
整理・整頓については、詳しく解説した記事があるので、こちらをご覧ください。
また、在庫管理110番では在庫管理の教科書「現品管理」として改善方法をまとめています。
情物一致
情物一致とは、現品の動きと情報の動きが一致していることです。
例えば、
- 納入時に伝票処理を後回しにしている。
- 在庫の置き場がシステムに登録されている場所と違う
- 指示と違うものを使っている
などです。
情物一致が守れていない在庫管理は絶対にうまくいきません。
私が必ず初めにお客様に伝えることです。
標準化
「属人化」の対極と考えるとわかりやすいのではないでしょうか?
標準化とは、やり方や基準、フォーマットなどが決まっている状態です。
特に、属人化の廃止(共通化・共有化)とシステム化やDX化を進める際には、標準化は欠かせません。
標準化をする際の最大のポイントは、業務の引き算です。
業務の引き算のフレームワークとして、ECRSの原則がとても便利です。
業務フローの整理、システム導入の準備段階で役立つECRSの原則
エクセル管理を捨てる
エクセル管理の問題点は、自由度の高さです。
自由度が高いことはとても良いことですが、使い方を間違えると
- 属人化の増長(個人個人がやりやすい管理を個別に行う)
- 集計しにくいデータ
が生まれてしまいます。
エクセルはデータを使う(集計や分析)ことには向いていますが、日常管理(データの蓄積、入力)には、向いていないと考えます。
ただし、在庫管理110番は、エクセルの否定派ではく、推進派です。正しい、データの使い方を理解したうえで、利用すればこれほど強力でコスパの良い武器はありません。
例えば、パワークエリはデータ集計の下準備には感動的な効率化を生み出してくれます。
在庫管理110番では、データの正しい管理方法、エクセルの使い方をセミナー化しています。
全体最適
全体最適とは、会社全体として考えた時に良い効果を生むことです。
業務改善、システム導入では、全ての部署で仕事が減るわけではなく、
必要に応じて仕事が増えたり、変わったりします。
残念ながら、会社では、「個別最適化」がとても多いです。
個別最適化とは、
- 自分たちがやりやすいように
- 自分たちの仕事が増えないように
と考えることです。
個別最適化によって、他の部署や担当者の負担が増えるため、改善が進まないことがほとんどです。
在庫管理は、様々な部署が関係します。
原理と基本に忠実であること
先ほど挙げた6つは、全て在庫管理の業務改善では基本中の基本であり、原理原則です。
今でも孫氏の兵法など、すごく昔に書かれた本がベストセラーですが、原理原則は時代を変えても変わりません。
在庫管理の改善分野もシステム、IoT、AIのように様々な最新テクノロジーがありますが、原理原則は今でも十分通用しますし、
原理原則がしっかりと整っていないと、どんなに最新のテクノロジーを導入してもうまくいきません。
その証拠に、何千万円もかけてシステムを導入したにも関わらず、業務効率が上がらないどころか、エクセルを使って管理をしている・・・ということもよくあります。
最新のテクノロジーを導入するからよくなるのではなく、原理原則に従った改善が下敷きとしてあるので、最新のテクノロジーが活きます。
「システムを導入したらよくなる」というのは幻想です。
絶対に改善が成功しない会社の2つの特徴
絶対に改善がうまくいかない会社は、下記のいずれかに該当します。
- 今までのやり方や習慣を変えず、固執する会社
- できない理由ばかりが出てくる会社
今までのやり方や習慣を変えず、固執する会社
物事は全て原因と結果です。
つまり、今までのやり方や習慣があったからこそ、今のような状況になっています。
また、昔は良かったとしても、今とは全く環境が違うはずです。
それにもかかわらず、
- 今までやってきたから
- 昔はうまくいっていたから
- 自分自身がやりやすいから
- 新しいことを覚えたくない、面倒だから
- 自分の仕事がなくなるから
といった理由で、今までのやり方や習慣を変えようとしない会社は、どんな高価なシステムを導入しても成功しません。
できない理由ばかりが出てくる会社
- 時間がない
- できなかったらどうするの?
- やったことないから失敗するかもしれない。
といったように、できない理由ばかりを並べる会社は絶対に成功しません。
改善でいきなり100%成功は絶対にありえません。
しかし、正しいやり方・手順さえ踏めば100%失敗もありません。
時間を捻出して、小さくても少しずつ、改善を重ねていくのが定石です。
在庫管理の成功には全く関係無い4つのこと
ここまで、在庫管理の成功に必要なことをお伝えしましたが、逆に必要ではないことも合わせてお伝えします。
- 企業の規模
- 詳しい社員がいるかどうか
- 取り扱い品番の多さ
- 自社の事業、業界
企業の規模
特に中小企業は、
- 従業員が少ないからうちには無理だ
- 資金力が無いからうちには無理だ
と考えますが、改善がうまくいくかどうかと企業規模は全く関係ありません。
改善には高価な設備やシステムが必要だと考えている会社が多いですが、そんなことは一切ありません。
最低限のシステムと知恵があれば十分です。
詳しい社員がいるかどうか
こちらも中小企業に多いです。
- うちには大卒社員がいなくて・・・
- 在庫管理の勉強をしたことがないので・・・
- 現場の職人ばかりで数字に弱くて・・・
- パソコンが得意な社員がいないんですよ・・・
といったように改善ができない理由として「人材がいない」ということを挙げる企業もありますが、
「詳しい人材」は必要ありません。一番大切なのは「やる気」です。
「やる気」をもって、今回解説した6つのことを、基本に忠実に原理原則に従って実施すれば、どんな企業でも成功します。
取り扱い品番の多さ
これまで、200社以上の企業様からほぼ必ずいわれるのは、
「うちの会社が取り扱っている在庫の点数は多いから、難しい」です。
「多さ」を聞いてみると、数千点から数万点程度でそんなに多いとは思いません。
十分管理可能です。
私が本当に多いな・・・と感じたのはミスミです。
カタログ商品点数だけで3000万点をこえ、サイズ違いも含めると800垓(1兆の800億倍)です。
さすがにこれは多いと言感じます。
ただ、1つ言えるのは、在庫管理がしっかりとしているから800垓もあっても管理できるのです。
自社の事業、業界
「うちの会社(業界、事業)は特殊だから」
こちらもほぼ必ず相談時に言われることです。
実際に課題を聞いてみると、「よくあること」であることがほとんどです。
取り扱い品が関係することはほぼありません。
在庫管理は「管理技術」です。管理技術は業界、取り扱い品を問わず転用が効く技術です。
管理技術の改善で一番大切なのは、改善を進める手順であり、基本に忠実に原理原則に従って改善を進めることが改善成功のカギになります。
在庫管理の基本を学ぶ
在庫管理110番では、経験の有無を問わず、誰もが在庫管理を学べる機会を提供しています。
提供するのは実務経験が豊富な在庫管理アドバイザーです。
直接アドバイザーに質問したい方や集団で学びたいという方は「セミナー」、独自で好きなタイミングで勉強したいという方は「教科書」がおすすめです。
在庫管理について無料で直接相談する
在庫管理110番では、在庫管理アドバイザーに無料で相談可能です。
直接、あなたの持っているお悩みを専門家に相談できますので、ぜひご活用ください。
\在庫管理アドバイザーがお答えします!/