入出庫管理を効率化するためには?よくある5つの課題と対策

入出庫管理

入出庫管理とは、入出庫で発生した在庫の動きを記録し、在庫状況を管理することを意味します。

在庫管理の担当者の中には、「もっと効率よく入出庫管理したい」「自社に合った方法を知りたい」といった悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。

在庫管理やコスト管理に欠かせないのが、入出庫管理です。

この記事では、入出庫管理の重要性からよくある課題と対策方法まで解説します。

在庫管理の専門家が作成した在庫管理表の無料テンプレートも紹介するので、ぜひご活用ください。

入出庫管理を行うメリットと重要性

企業にとって入出庫管理を行うメリットとその重要性については、主に以下の5つが挙げられます。

在庫管理 入出庫情報を記録し、現品と在庫表の在庫数を一致させることで、正確な在庫管理を実現できる
コスト管理入出庫を正確に追跡することで、在庫を最適化できる。これにより、保管コストの削減や、売れ残りや欠品による機会損失を回避できる
データ分析入出庫に関するデータを収集し、需要の傾向や購買行動などを把握できると、需要予測や在庫の最適化に役立つ
顧客満足度の向上      正確な在庫管理を実現することで、顧客からの注文に対して迅速に対応できる。欠品や遅延を最小限に抑えて、サービス品質の向上につながる
生産性の向上入出庫管理の効率化によって、倉庫や物流施設のレイアウトを改善したり、作業工数や人的ミスを減らしたりできる

 

入出庫管理を行うための主な方法

ここでは、入出庫管理の具体的な方法を解説します。まず、入出庫管理で記録すべき基本項目は、以下の通りです。

入出庫管理において記録すべき基本項目

  1. 商品名
  2. 品番
  3. 日付
  4. 入庫数
  5. 入庫の目的
  6. 出庫数
  7. 在庫数(入庫数-出庫数)
  8. 担当者
  9. 保管場所
  10. 入出庫管理には、手書きやエクセルを使った従来の方法をはじめ、近年普及している在庫管理システムを活用する方法があります。業務の性質や規模、予算、データの複雑さなどを考慮して、自社に合った方法を選択しましょう。

    手書きやエクセルを使う方法

    入出庫管理で多いのが、手書きやエクセルを使って記録する方法です。手書きやエクセルを使う方法は、小規模事業者や業務量が少ない場合に適しているといえるでしょう。入出や出庫が発生するたびに、在庫数や詳細を手書きまたは手入力します。

    手書きやエクセルのメリットは、コストがかからないことや操作がシンプルである点です。エクセルであれば、柔軟性やカスタマイズ性も十分だといえます。

    しかし、より効率よく管理するために関数やフィルタリング機能を利用する場合は、やや複雑になるでしょう。やみくもにエクセルを複雑化すると、情報が分かりづらくなるなど、かえって逆効果になるケースも珍しくありません。

    エクセルを使って入出庫管理を最大限に効率化したい場合は、専門家か作成したテンプレートを活用するのがおすすめです。こちらから無料でダウンロードできるので、ぜひご活用ください。

    ☑シンプルで使いやすい在庫管理表無料テンプレート5種類

    在庫管理システムを活用する方法

    より正確かつ効率がよい入出庫管理を実現するためには、システムの活用が効果的です。入出庫管理に関連する業務が複雑かつ多岐にわたる場合は、在庫管理システムの導入に適しているといえるでしょう。

    ハンディターミナルなどの機器を使って、バーコードやQRコードから必要な情報を取り込むすることで、間違いやすい手入力の手間を省けるほか、リアルタイムで在庫管理が可能です。

    在庫管理システムを活用するメリットとして、作業の自動化やそれに伴う正確性や効率化が挙げられます。しかし、システムの導入にはコストや知識が必要です。

    状況に応じて、手書きやエクセルを使った方法から在庫管理システムへ移行することで、業務の拡大や効率化につなげられるでしょう。

    入出庫管理でよくある5つの課題と対策

    入出庫管理のよくある課題と対策

    ここでは、入出庫管理でよくある課題を解説します。それぞれの課題における対策もお伝えするので、自社の状況に当てはまるものがあれば、ぜひ参考にしてください。

    事例1. 作業が属人化している

    入出庫管理の課題として、作業の属人化が挙げられます。特に、規模が小さい企業では、特定の担当者が入出庫管理を担っているケースも珍しくありません。

    作業を属人化するリスクは、担当者が不在のときに作業がストップしてしまうなど生産活動や影響を及ぼすことです。

    事例

    製造業のA社では、以前からエクセルを使って入出庫管理をしていました。新入社員が新たに配属され、これまで1人で担当していた入出庫管理の業務を2人で担当することになりました。

    新入社員の提案で、情報を一元化するために従来の在庫管理表に要素を追加しました。しかし、この担当者が体調不良で休んだときに、従来の担当者が情報を更新しようとしたところ、うまくデータが反映されませんでした。

    在庫管理表が複雑化したことにより、表に要素を追加した本人にしか作業できない状況になってしまいました。

    対策

    1. 誰でも使える分かりやすい在庫管理表のフォーマットを使用する

    2. 入出庫管理の作業手順を文書化し、適切な手順に従って作業できるようにする

    3. 作業に関連する従業員に対して適切な教育をして、作業を標準化する

    事例2. 人的ミスが起こりやすい

    入出庫管理でよくある課題が、人的ミスによるものです。特に、入出庫の記録を手書きや手入力する方法は、入力ミスが起こりやすいといえるでしょう。

    取扱商品の種類や一日あたりの入出庫量が多い場合や、在庫管理表が複雑な場合は、入力ミスが多くなりがちなので、注意が必要です。

    事例

    製造業のB社では、仕入先からの納品書をもとに入庫情報をエクセルの在庫管理表に手入力していました。

    入庫したものはすべて自社で加工して在庫になるはずですが、加工後の在庫数と一致しないことがありました。紛失の可能性があると作業エリア内を従業員が探しましたが見つからず、仕入先の納品書を調べると、在庫管理表に入力された入庫数に誤りを発見しました。

    さらに確認を進めると、同じ日に入荷した商品の入荷数をすべて一行ずれて入力していたことが分かり、修正作業が発生しました。

    対策

    1. 二重チェックする体制を確立し、人的ミスを見つけやすくする

    2. バーコードやQRコードを使用した自動化システムを導入し、手入力の作業をなくす

    事例3. リアルタイムでの更新ができない

    入出庫情報をリアルタイムで更新できないことも、よくある課題の一つです。実際に、エクセルで在庫管理表を作成し、事務所のパソコンで手入力しなければならないケースも珍しくありません。

    入出庫管理においてタイムラグが発生すると、担当者が追うべき情報を正確に把握できなくなり、在庫状況の悪化やサービス品質の低下にもつながります。

    事例

    製造業のC社では、エクセルで作成した在庫管理表を使って、入出庫情報を記録しています。担当者は、現場立ち合いをしたあと、事務所に戻ってパソコンから在庫数を入力する必要があります。

    あるとき客先から営業担当に急ぎで品物がほしいと電話が入ったときに、在庫管理表を確認すると在庫数が足りなかったため、対応できない旨の返事をしました。

    あとで確認すると、そのときすでに在庫は足りていて、在庫管理表がリアルタイムで更新できていないだけでした。

    対策

    1. 在庫数だけでなく、入出庫計画など在庫状況の詳細も記録する

    2. 在庫管理システムを導入して、入出庫情報をリアルタイムで更新できるようにする

    3. バーコードスキャナを使用して、商品や在庫の情報を迅速に取得・更新できるようにする

    事例4. 在庫不足や過剰在庫が発生する

    入出庫管理における重要課題の一つが、在庫不足や過剰在庫の発生です。入出庫管理ができていないと、在庫数の把握ができず、戦略的な見通しを立てられなくなります。

    また、ミスが放置されてしまうといった状況が続くと、ますます管理が行き届かなくなり、現品と在庫管理表が一致しない原因を特定しにくくなるので、注意が必要です。

    事例

    小売業D社では、エクセルで作成した在庫管理表に入出庫情報を記録していました。取扱商品が比較的少ないため、主に在庫数を把握する目的で在庫管理表を使用していました。

    店舗で在庫を確認していると在庫管理表に対して現品の数量が不足している商品があり、原因を特定するより先に、欠品を恐れて多めに追加発注をしました。その後、不足していた在庫は、業務委託先の他店にあると分かりました。

    店舗、オンラインショップ、業務委託販売の在庫状況を一元管理できていないことが原因で、結果として過剰在庫につながってしまいました。

    対策

    1. 自社に合った在庫管理表のフォーマットを使用する

    2. 入出庫情報のデータを分析して、適切な在庫レベルを設定する3. 自動発注システムを導入して、一定レベルの在庫数を保てるようにする

    事例5. 社内で情報共有ができない

    入出庫管理の課題として、社内の情報共有がうまくできていない点が挙げられます。入出庫管理においては、複数の部署や拠点で情報共有しなければならないケースがほとんどです。

    しかし、在庫管理表の情報が正しくなかったり更新が遅かったりすると、在庫状況の悪化や生産性の低下につながるでしょう。

    事例
    製造業のE社では、社内で生産管理システムを活用しているものの、入出庫管理については自動化できていない状況でした。

     

     現場担当者は、システムで在庫状況を確認してから生産計画を立てます。

    しかし、生産当日を迎えると、必要な在庫数がないことに気がつきました。発注担当者に内線するも、打合せで席を外していて、現場での作業が数時間ストップしてしまいました。

    その後、発注担当者が確認すると、サイズが大きく通常の保管場所には置けず、別の場所にあることが分かりました。

    対策

    1. 在庫管理システムを導入し、社内の関係者がリアルタイムで在庫情報や入出庫履歴を確認できるようにする

    2. バーコードスキャナを使用して、商品や在庫の情報を迅速に取得・更新できるようにする

    入出庫管理にエクセルを活用するポイント

    入出庫管理エクセル

    前述の事例の通り、入出庫管理にエクセルを活用しているケースは珍しくありません。ここでは、エクセルで在庫管理表を作成ときのポイントを紹介します。

    作業を効率化しようと、一元管理にこだわるあまり、情報を詰め込むのは止めましょう。最も重要なのは、誰でも使える分かりやすい在庫管理表であることです。

       

        • データの整理と管理:エクセルの表形式を使用して、入庫や出庫のデータを整理し管理します。商品名、数量、日付、倉庫の場所など、必要な情報を適切な列に記入しましょう。

        • 関数の活用:エクセルの関数を使用して、在庫数量の計算や合計値の算出などを自動化します。SUM関数やCOUNT関数などを活用することで、在庫状況や取引数を把握できます。

        • グラフやダッシュボードの活用:エクセルのグラフ機能を活用して、在庫の推移や入出庫の傾向を可視化します。これにより、一目で在庫状況の全体像を把握しやすくなるでしょう。

        • データのフィルタリング:エクセルのフィルタリング機能を使用して、特定の商品や期間の入出庫データを抽出すると、必要な情報を素早く見つけられます。

      エクセルを使った方法でも、ポイントを押さえてうまく活用できれば、十分効率的に在庫管理ができます。ただし、データの入力や更新は手作業となるため、人的ミスを防げる工夫が必要です。

      専門家が作成した在庫管理表の無料テンプレート

      エクセルの在庫管理表は、シンプルであるほど、作業の属人化を防いだり入力ミスのリスクを減らせたりできます。

      当サイト「在庫管理110番」では、エクセルを使った在庫管理表の無料テンプレートのダウンロードが可能です。シンプルで使いやすい5種類のテンプレートを用意しているので、下記よりダウンロードしてご活用ください。

      ☑シンプルで使いやすい在庫管理表無料テンプレート5種類

      実務経験のある在庫管理の専門家が、在庫管理表をエクセルで作る際のポイントと手順も解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

      在庫管理システムは入出庫管理の効率化に最適

      取扱商品が増え業務が複雑になると、エクセルを使った入出庫管理では限界を感じてしまうかもしれません。エクセルでの管理に難しさを感じる場合には、在庫管理を効率化できるシステムの導入を検討しましょう。

      在庫管理システムを選ぶポイント

      在庫管理システムを導入するときに気をつけたいのが、自社の業務内容に合ったものを選ぶことです。

      自社に適した在庫管理システムを選ぶことで、入出庫作業の効率化や在庫管理の最適化など、多くのメリットを享受できます。在庫管理システムを選ぶときは、以下のポイントを参考にしてください。

      業務内容に適しているか

      在庫管理システムに求める特徴や機能は、業界や業種によって異なります。在庫管理システムを選ぶときは、そのシステムの特徴や機能が、自社の業務に適しているか確認しましょう。

      例えば、バーコードスキャンやロット管理が必要な場合、それらの機能がシステムに組み込まれていなければ、課題の解決は難しいといえます。

      また、業務の複雑さや事業の拡張性も考慮して、システムが将来的な変化に対応できるかも着目してください。

      製造業向けにこのような記事も用意しています。

      ☑製造業に不可欠な在庫管理システムの選び方|特徴・機能やメリットを解説!

      合わせてご覧ください。

      カスタマイズ性が高いか

      在庫管理システムは、自社の業務プロセスに合わせて、カスタマイズできるものを選ぶとよいでしょう。システムの基本機能だけでなく、さまざまな要件に対応できる柔軟性があるかどうかも重要です。

      システムの導入を検討するにあたって、多くの会社は、既存の入出庫管理表や使い慣れたフォーマットなどがあるはずです。そのため、データの出力フォーマットについても、カスタマイズできるとよいでしょう。

      すでにシステムやツールを活用している場合は、既存のものと連携できるかどうかも確認が必要です。業務システムや会計ソフトウェアなど、ほかのシステムとのデータの受け渡しが簡単にできるか確認してください。

      費用対効果が期待できるか

      在庫管理システムの導入には、コストがかかります。システムの導入を検討する際は、導入費用やライセンス料に加え、カスタマイズや設定作業にかかる費用を確認しましょう。

      在庫管理システムを導入して予想されるコスト効果も算出し、費用対効果を見極めておくことも大切です。初期費用だけでなく、将来的なメンテナンスやアップグレードに必要な費用も忘れずに確認してください。

      システムは自社の業務プロセスに合わせてカスタマイズするほど利便性は高まるものの、その分初期費用が掛かる傾向にあります。システム導入を検討する際は、同時に社内の業務プロセスを見直せないか、今一度検討してみるとよいでしょう。

      まとめ:自社に見合った入出庫管理の方法を選ぼう

      入出庫管理は、在庫の最適化に欠かせない重要な業務の一つです。

      入出庫管理を効率化するためには、自社に合った方法を選ぶ必要があります。まずは、入出庫管理における自社の課題を洗い出し、必要に応じて在庫管理システムの導入を検討するのがおすすめです。

      当サイトを運営する瀬戸内scm株式会社では、企業の成長に合わせて、段階的に機能を追加できるカスタマイズ性の高い「在庫管理システム」を提供しています。

      クラウド型『成長する在庫管理システム』

      実務経験のある在庫管理アドバイザーが、一貫してシステムの導入をサポートするので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

      【無料】在庫管理アドバイザーがお答えします!

       

      お問い合わせはこちら