あなたは棚卸方法の非効率さで次のような疑問やお悩みはありませんか?
- 今の棚卸のやり方がとても非効率に感じている。
- 以前より記入項目が多くて時間がかかるので、時間短縮できる書式はないのか?
- 以前は一覧表に記入していたのに、製品ごとに1枚ずつ記入する必要はあるのか?
- そもそも、棚卸原票は必要なのか?
作業者の立場から言えば、面倒なやり方に変更されるのは、やめてほしいはずです。
しかし、そのような反対があっても会社が「作業者から見て面倒な」棚卸の方法を見直す理由は、
- 棚卸の精度が悪い(棚卸のたびに実在庫と帳簿上の在庫数が合わない)
- 棚卸方法について、会計士や税理士などから指摘を受けた
会社の立場から言えば、棚卸は利益を確定する重要な作業なので、棚卸精度は絶対に高めたいと考えています。
- 棚卸原票とは?
- 棚卸原票の代表的なフォーマット(単票と一覧表タイプ)
- 棚卸原票の保管と期限
- 実地棚卸に用いれらる3つの方法
この記事では、棚卸の精度を確保しつつ棚卸原票の目的や作業時間を短縮できる書式、記入例についても分かりやすく解説します。
棚卸原票のサンプルも掲載していますので、自社に合った使いやすい棚卸原票を作るきっかけにしてください。
目次
棚卸原票とは?
棚卸原票とは、棚卸時に使用する用紙です。 アイテムごとに1枚使用し、在庫品の品名や数量、製品の状態などを記入します。 棚卸原票に記載された品名や数量をもとに担当部署で処理しますが、その際に現物の代わりになる重要な書類でもあります。
棚卸原票を使用する目的
棚卸原票は、棚卸の精度を向上させることを目的に使用します。
棚卸の精度とは、カウント漏れや記入漏れ、アイテム欄の記入間違いなどをなくして改善することです。
棚卸を一覧表で行った場合、記入漏れやカウント漏れ、記入欄の間違いなどのミスが起こりやすいのが問題です。
一方、棚卸原票は1アイテムにつき1枚使用し、記入したら現物や棚などに貼り付けていくため、棚卸原票を取り入れることでこれらが解消されるので棚卸の精度が向上します。
- 棚卸原票を使用するメリット:カウント済みには棚卸原票を貼り付けていくのでカウント漏れや重複、アイテム欄の記入間違いを防げる
- 棚卸原票を使用するデメリット:アイテムごとに棚卸原票を記入するため、手間と時間がかかる
棚卸原票を使用すれば、カウント漏れや重複作業、アイテム欄の記入間違いは改善されて棚卸の精度は向上しますが、その反面、記入枚数が多いので作業員の負担も増えます。 しかし、棚卸の本来の目的である「棚卸精度の確保」が重要なので、正確な在庫金額が把握できるメリットはあるので取り入れる価値は十分あります。
棚卸原票の使い方と作業の流れ
棚卸原票の使い方は2通りあります。
- 保管場所で製品ごとに原票を貼り付けて、棚卸漏れや重複を避ける
- 担当部署が棚卸原票を集めて数量を集計し、在庫品の金額を算出する
作業としては、以下の流れで行います。
- 在庫品を数えて棚卸原票に記入
- 棚卸原票を棚卸したものに貼り付ける
- 棚卸原票を棚卸表(システム)へ転記
- 棚卸表にアイテムごとの金額を入力し、最終的に合計金額を集計
棚卸原票の記入と、棚卸表(システム)への転記を実施する部署は、分担したほうが効率が良いです。
棚卸原票の代表的なテンプレートと特徴
代表的な棚卸原票のテンプレートとその特徴を単票タイプと一覧表タイプでご紹介します。
単票タイプ1 上図の棚卸原票は、用紙の中央でカットして使用します。
左側の棚卸原票は、以下の情報を記入後、現物や棚に貼り付けます。
- 棚卸原票の管理番号
- 実地棚卸の実施日
- 保管場所
- 品名
- 商品コード
- 数量
- 在庫品の状態
- 実施担当者名
右側の棚卸チェック済み票は、文字通りチェック済みの証明として利用します。
左側の棚卸原票と同じ内容を入力します。
チェック済み票は、実地棚卸の終了後、転記・回収担当の部署が棚卸原票を回収して回る時に、確実に回収した証拠として代わりに現物や棚に貼り付けて残します。
この棚卸原票の特徴は、在庫品の状態を記入する項目があらかじめ決められている点で、項目以外の詳細やその他に気付いたことは備考欄に記入します。
単票タイプ2 上図の棚卸原票は、用紙の中央でカットして使用します。
左側の棚卸原票には以下の情報を記入します。
- 棚卸原票の管理番号
- 実地棚卸の実施日
- 保管場所
- 品名
- 商品コード
- 数量
- 在庫の状態
- 実施担当者名
記入したものは、棚卸表(システム)の転記・入力担当の部署に渡します。
右側の棚卸済票には、以下の情報を記入します。
- 棚卸原票の管理番号
- 実地棚卸の実施日
- 実施担当者名
棚卸実施者が切り離して現品に貼り付けます。
この棚卸原票は棚卸原票1と違って、記入する項目が少ないのが特徴です。 棚卸漏れを防ぎつつ、棚卸実施者の負担を減らすことができます。
単票タイプ3 上図の棚卸原票は、棚卸原票1・2とは異なり、1枚だけで使用します。
棚卸原票には、次の項目を記入します。
- 棚卸原票の管理番号
- 棚卸の実施日
- 作業担当者
- 保管エリア
- 棚番
- 品名
- 品番
- 数量
在庫品の状態やその他の気づいた点は備考欄に記入します。
この棚卸原票の特徴は、次の2点です。
- カウントの正確性を向上させるため、2回カウントを記入する欄がある
- 担当者が回収済みの用紙を代わりに貼り付けないこと
一覧表タイプの棚卸原票
棚や保管庫によって品名や品番などで明確に区別されている場合は、一覧表形式の記入用紙を使っても良いでしょう 。
同じ場所に保管されている色違いのTシャツを例に挙げて説明します。
- 品名:TシャツA
- 品番:TA
- サイズ:S/M/L/LL
- カラー:3種類
- 保管場所:棚1-1でTシャツAに関するすべてを保管
※同一商品で、SKU管理(サイズ、カラー別)で、同じ場所に保管されている場合を想定しているものです。
この場合、棚1-1にはTシャツAの商品しかないので棚卸原票は一覧表タイプの棚卸原票を使っても良いでしょう。
一覧表タイプ1 この棚卸原票は、同一品別に1枚使用します。
同一品でSKUやロット管理をしている場合に使用することを想定しています。
具体的には、品名は同じで型式やサイズ・カラーなどが違う場合等です。
棚卸原票には、以下の情報を記入します。
- 棚卸原票の管理番号
- 棚卸の実施日
- 担当者
- 型式
- サイズ・カラーなどのSKU情報、ロット管理番号
- 数量
- 保管場所
また、記入後は転記・記入担当者に提出するか、保管場所の棚や保管庫に貼り付けておき、棚卸終了後に改修担当者が回収します。
一覧表タイプ2 棚卸原票には、次の項目を記入します。
- 棚卸原票の管理番号
- 実施日
- 商品コード
- 商品名
- 型式
- 実在個数
- 在庫品の状態
- 備考(その他に気づいたことなどを記入)
この棚卸原票は、台帳在庫数を設けているのが特徴です。
棚卸原票に予め、品名、商品コード、台帳在庫数を記載した状態プリントアウトすれば、 商品コードや品名を書く手間が無くなるととともに、実在庫との差異もその場で確認できます。
一覧表タイプ3 この棚卸原票は、1つの保管場所で1枚の棚卸原票を使用することを想定しています。
棚卸原票の記入項目は、
- 管理番号
- 保管場所
- 品名
- 商品コード
- 数量
- 単位
- 単価(絶対に必要ではない)
- 金額(絶対に必要ではない)
在庫品の状態などは気づいたことは備考欄に記入します。
また、単価・金額の記入は会社の判断で行います。 この棚卸原票は、記入後に転記・入力担当の部署に提出します。 担当部署が回収またはパソコンや管理システムに入力済みの検印を押印する欄があります。
金額を記入すれば、1枚分(1か所)の在庫金額を集計できるのも特徴です。
棚卸原票に絶対に必要な記入項目
ここまで棚卸原票のテンプレートをご紹介しましたが、絶対に必要な項目とそうでない項目があります。
絶対に必要な項目は、決算等外部(税務署など)に提出や確認を求められたときに必要な項目と考えていただければよいです。
- 棚卸原票の管理番号(通し番号で記入)
- 実施日
- カウント担当者名、(記入担当者名)記入担当者は2名で実施した場合
- 保管場所
- 品名
- 品番、型番
- 単位 (個、ケース、箱、kg、束、袋など)
その他、会社の現物管理上、次の項目を盛り込んでも良いでしょう。
- ロット管理番号
- 在庫品の状態(サビ、破損、破れ、腐敗、保管期間が長いため動作確認必要など)
棚卸原票の記入者は誰が見ても読める文字や数字を書きましょう。
理由は、棚卸原票をパソコンや管理システムに転記入力する際に、担当者が読めないことが多々あるからです。書いた本人に確認すれば解決することもありますが、場合によっては、書いた本人ですら読めないこともあるので、走り書きではなく、丁寧に記入するように心掛けましょう。
棚卸原票の記入例
棚卸作業は、1人もしくは2人1組で行います。(2人1組の場合は、1人が数えてもう1人が記入する)。
※2人1組で作業を分担すれば、チェック漏れや記入ミスなど、人為的ミス(ヒューマンエラー)を防ぎます。
単票タイプの記入例
単票タイプ2をもとに説明します。(下図の赤字が、記入したところです) 記入方法を簡単に説明します。
上部にあるNoには、棚卸原票の管理番号で通し番号を記入します。
通し番号を使用することで未回収の原票を確認できます。
その後、実施日、保管場所、品名、品番、数量、製品の状態を明確に記入します。
カウントした実施者と記入者、それぞれの名前を記入します。
さらに、備考欄には在庫品の状態や気になったことなどを記入しておけば、後からでも不良品の数量や状態を確認できます。
一覧表タイプの記入例
一覧表タイプ3をもとに解説します。(下図の赤字が、記入したところです) 一か所の棚や保管庫などにある在庫品を数えて記入します。
1か所1枚なので、たとえ保管場所に1品しかなくても1枚使用します。
当然、他の保管場所にある在庫品を同じ用紙に記入してはいけません。
場所が変わる場合は、新しい棚卸原票を使用します。
管理Noには、一覧表の管理番号で通し番号を記入します。
通し番号を付けることで未回収を防止します。
棚卸の記録として、保管場所、実施日、製品コード(型番号など)、品名、数量、単位、単価、金額、担当者を記入します。
記入後は担当部署に提出し、担当者が検印を押印もしくはサインします。
備考欄には、棚卸時に気付いたことや不良品などを発見したら、誰が見ても分かるように記載します。
棚卸原票の保管と保管期限
棚卸原票の保管について、期限や方法は法律で明記されていません。
棚卸表を保管すればよく、その法定保存期間は保存期間は7年間です。 ただし、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額(繰越欠損金)が生じた場合には10年間の保存が必要です。(出典:国税庁 帳簿書類等の保存期間)
しかし、これは別途「棚卸表」に転記・集計されていることが前提です。 棚卸表がなければ棚卸原票が棚卸表の代わりになるので、保管しなければいけません。
このように棚卸表の保存期間は決められていますが、棚卸原票の保存に関しては定めがありません。
そのため、正確に棚卸表に転記できていれば処分しても問題ないです。
ただし、棚卸原票は、作業員が手書きで記入した事実が記載されているため、棚卸表へ転記した際の不備や不正があっても、棚卸原票を保管すれば再確認できますので、取っておいても良いでしょう。
私が勤めていた製造会社では、棚卸表とともに棚卸原票も保管していました。
棚卸表はデータで保存できる
紙で保存するためには保管場所が必要です。棚卸は決算期に実施しますが、1カ月単位で年12回実施する会社も多く、7年間分の棚卸表を常に保管しておくためにはかなりの保管スペースが必要です。
私の会社では、はじめのうちは、量が少なかったので事務所の横にある1坪ほどの倉庫に保管していましたが、事務員から「書類の保管場所がないので、会議室の一角を保管場所として使用しても良いか」という相談があり、止む無く会議室をパーテーションで区切って保管場所にしたことがあります。
実は、棚卸表は「自己が一貫してコンピュータで作成したもの」であれば電子書類として保存することが可能です。
(出典:国税庁 令和2年6月 電子帳簿保存法一問一答【電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係】)
次のことを守ればパソコンや管理システムで保管できます。
- 棚卸表の作成は、自分が一貫してパソコンや管理システムで作成すること
- 棚卸の記入用紙(棚卸原票)に記入されたデータを一言一句、現場で修正された文言も含め、間違いなくパソコンや管理システムに入力すること
- パソコンや管理システムへ転記入力する際には、改ざんや不正がないこと
- 手書きされた棚卸表をスキャンして、パソコンなどに取り込んで保管することは正式な棚卸表として認められていないので、書類で保管するかパソコンなどに入力し直すこと
以上のことを簡単に説明すると次のようになります。
- 棚卸表は一貫してパソコンや管理システムで作成し、7年間管理すれば書類は必要ない
- 手書きした棚卸表を保管する場合は、書類として7年間保管しなければならない
手書きされた棚卸原票や棚卸表は現物証拠になるため、保管している会社もあります。
棚卸改善セミナー(精度向上と効率アップの両立を実現)
実際に起業の現場で、棚卸の改善に携わった在庫管理アドバイザーが講師を務めます。 現場ですぐに使える具体的なノウハウが学べます。
棚卸の方法
棚卸の精度が悪い、時間がかかる原因は、棚卸原票だけではなく、棚卸のやり方に問題があることが多いです。
そこで、棚卸の方法についても簡単にご紹介するので、正しい棚卸の方法を覚えましょう。
棚卸は2通つの方法があります。
- 実地棚卸
- 帳簿棚卸
それぞれ棚卸の方法や目的も異なるため、分かりやすく説明します。
実地棚卸
実地棚卸とは、在庫品の保管場所で現物を数える方法です。 一般的に棚卸という言葉は、実地棚卸を指すことが多いです。
実地棚卸のメリット
- 棚卸原票を使って現物を数えるので正確な数量を把握できて、チェック漏れも防げる
- 実際に現物を見るので、品質チェックも同時に行えるため、不良品の選別ができる
実地棚卸のデメリット
- 1アイテムずつ現物を数えるため、アイテム数が多いと時間がかかる
- 棚卸原票の記載が必要なため、記入の手間がかかる
- 記入後の棚卸原票の管理が大変
- 時間短縮をする場合、大勢の作業員が必要になる
実際に人が数えるので正確な数量を把握できますが、その反面、アイテム数が多ければ多いほど時間と手間がかかります。
アイテムが多い場合や保管場所がいくつも点在する場合は、数日かけて実施する場合もありますが、期間はできるだけ短くすることをお勧めします。
なぜなら、棚卸を始めてから終わるまでの間に正確な数量が把握できない可能性があるからです。
例えば、棚卸対象が液体の場合です。
機械の損傷トラブルで製品が機械の外へ流出したときには、どれだけの製品がロスになったのか把握することは困難です。
この場合のロス数は、製造後の出来高から逆算するしかなく、正確性に欠けます。
このような状況を防ぐためにも、実施期間はできるだけ短く設定して迅速に行いましょう。
また、期間だけでなく、作業者の性格によっても正確性は異なるため、棚卸は責任感があり、厳重に作業できる人を選びましょう。
実地棚卸の方法についてもっと詳しく知りたい方は、下記の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
(実地棚卸の完全ガイド - 目的、手順、効率化のノウハウと秘訣)
帳簿棚卸
帳簿棚卸とは、在庫表や棚卸表などを使って、既に入力(記入)された帳簿やパソコン上で、実際に現物を見ずに棚卸する方法です。
帳簿棚卸のメリット
- 現場で数える労力がいらない
- 棚卸原票を準備する必要が無い
- パソコンや帳簿があれば1人できる
- 時間を気にせず、いつでも作業できる
帳簿棚卸のデメリット
- 現物を数えないので正確性に欠ける
- 記録データを信用して作業するため、転記ミスがあっても気づけない
- 現物を見ないので、在庫の品質や状態が分からない
帳簿棚卸は、1人で作業できて現場に行く必要もないため、大勢の現場作業員に負担をかけることもありません。
しかし、元々在庫精度が高く、在庫管理がしっかりできているのが帳簿在庫ができる大前提です。 帳簿データが実在庫と一致していなければ、正確な数量や金額は求められず、在庫品の状態も把握できません。
実地棚卸に用いられる3つの方法
在庫管理がきちんとできている上場企業でも、やはり実地棚卸をしてます。
つまり、実地棚卸はやるべきことと考えたほうが良いでしょう。 そこで、実地棚卸の方法を簡単に解説します。
実地棚卸には、大きく分けて3つの方法があります。
- タグ方式
- リスト方式
- バーコード方式
それぞれの特徴やメリットやデメリットを解説します。 精度の向上と時間短縮を両立させ、自社に合った方法を選択しましょう。
タグ方式
今回紹介した、単票タイプの棚卸原票を使って棚卸をする方法です。
作業者が棚卸原票に品名や数量などを記入し、アイテムごとに現物・箱・棚などに貼り付ける方法です。
また、在庫品に用紙が貼り付けてあれば、カウント済みであることが一目で分かります。
タグ方式のメリット
- アイテム一つひとつに棚卸原票を貼り付けるため、棚卸漏れや重複を防止できる
- 作業時にアイテムを目視や手に取ってカウントするため、アイテムごとの状態もチェックできる
タグ方式のデメリット
- 棚卸原票の枚数が多いため、保管やシステムへの転記・入力などの管理が大変
- 1アイテムずつ棚卸原票に記入するため、棚卸作業に時間がかかる
- 製品の状態を正確に判断して記入するため、製品知識が必要
リスト方式
一覧表タイプの棚卸原票や在庫管理のExcelや専用システムから、必要項目を抽出して印刷されたリスト表をもとに、実際の保管数量とリストの数量が一致しているかを確認する方法です。
リスト方式は、リストに記載されている品目をカウントするだけなので、大量の部品や製品、商品などを取り扱っている会社では、現場作業員の負担を軽減できる方法です。
リスト方式のメリット
- 1枚1枚、棚卸原票を書いたり、貼り付ける必要がない
- あらかじめ商品コードや品名等を印刷すれば、記入する手間がない分、作業時間は短い
リスト方式のメリット
- 一度チェックした現物に目印をつけないと、棚卸漏れや重複が起こりやすい
- リスト表への入力漏れや入力ミスがあると、現物を見逃しやすくチェック漏れの原因になる
- 現物とリストがリアルタイムで一致していなければ、あるはずの現物がなく、ないはずの現物があるようなことが生じる
- 同一の現物でも実際には保管場所が点在しているが、リストには1カ所しか記載されていない場合、作業者はリストに記載がないと判断して現物をカウントしない恐れがある
バーコード方式
バーコード方式とは、商品のバーコードや二次元コード(QRコード)をハンディターミナルやリーダーで読み取って棚卸を行う方法です。
元々JANコードのある商品を扱っているコンビニエンスストアやスーパー、ホームセンターなどは主流ですが、バーコードが元々ない部品や原材料を扱っている製造業や卸売業でも可能です。
ちなみに、バーコードやQRコードは、専用のソフトが無くてもエクセルで作成できます。(エクセルでバーコード・QRコードを作成する方法 ※すぐに使える無料テンプレートあり)
例えば、部品や商品ごとにバーコードや二次元コード(QRコード)を割り振り、バーコードシールやカードを発行します。
そして、発行したシールやカードはアイテムごとに棚や保管ケースなどに貼り、ハンディターミナルやリーダーでバーコードや二次元コードを読み取って棚卸を行う方法です。
バーコード方式のメリット
- 商品1点ずつにバーコードがある場合には、数える手間が省ける
- 商品コードを記入する手間が省け、記入ミスの可能性も無くなる
- 棚卸時間の短縮
- 作業員を減らせる
バーコード方式のデメリット
- バーコードを使用するための機器やシステム導入の初期投資が必要になる
- 機器購入のコストが必要(自由に持ち運びができるコードレスのハンディタイプで1台4万円台~20万円前後)
- 機器やシステムの取り扱い方や操作方法についての社員教育が必要
- 機器の不備やラベルの汚れなどによって、正常に読み取れないこともある
- 現在の在庫管理や棚卸方法に付け加える場合、互換性がなく新たにシステムを導入しなければならない可能性がある
精度向上と時間短縮には大きな効果があり、従業員の負担軽減には大きなメリットです。
しかし、初期投資の費用やランニングコストも掛かるため、費用対効果を検討してから導入を決めましょう。
まとめ
棚卸原票とは何か、そして数種類のテンプレートから棚卸の方法までご紹介しました。
今回の記事を参考に棚卸原票の書式の変更や時間短縮につながるメリットなどいろいろと提案をして、精度を上げつつ作業効率を改善しましょう。
担当部署や会社に提案する際には、何をすればどのように改善され、どんなメリットが会社にあるのかを具体的に提案してください。
現場作業員は「大変、面倒」といったように感情的に表現になりがちです。
現場作業員が会社や事務職の人に説明する場合は、理解してもらえるように数字で理論的に説明することをお勧めします。
例えば、それぞれ1アイテム当たりにかかる所要時間を計測して、全アイテムに掛けた合計を算出すれば、これだけの時間短縮が可能ですというように提案をすれば、納得してもらえるでしょう。
通常業務だけでなく、棚卸でも会社に貢献することで、あなたの収入アップにもつながる可能性もあるので、部署の垣根を越えて従業員全員で棚卸に取り組みましょう。
在庫管理110番には、棚卸の方法を新人の方や担当者の方向けに分かりやすく解説した記事もあります。
循環棚卸と一斉棚卸の違いについても詳しく解説していますので、下記の記事も棚卸の参考にしてください。
(循環棚卸の概要や一斉棚卸との違いを解説!【やり方・効率法も紹介】)
棚卸の効率化と精度アップを実現するために
棚卸を一度経験すると次のような問題点や悩みが出てきます。
- 棚卸に時間がかかり過ぎる
- 棚卸の数量が合わない
これらは、ほとんどの会社が抱えている問題点や悩みであり、何とかしたいと考えているものの解決策が分からない・・・という場合が多いです。
棚卸の効率化と精度向上の両立は可能です。
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