適正在庫管理には過剰・滞留在庫の管理も必要
適正在庫とは、「ちょうどよい在庫」のことです。
在庫切れ(欠品)だけではなく、過剰在庫を防ぐことも大切です。
自社の適正在庫がわからない方はこちらをご覧ください。
ただ、残念ながら目の前に差し迫った欠品に対する意識は強いものの、先延ばしできる過剰・滞留在庫には無関心です。
そこで在庫管理の専門家として、次のポイントをお伝えします。
- 過剰在庫のリスク
- 過剰在庫を防止するための在庫管理システムの有用性
結論から言えば、在庫管理システムを導入することで過剰在庫・滞留在庫を回避できるだけではなく、新商品の販売戦略や過剰在庫の処分に役立てることができます。
過剰在庫・滞留在庫があるとどうなるか?
欠品に比べて、後回しになりがちなのが過剰在庫・滞留在庫対策です。
しかし、放置すると会社の経営を圧迫する要因になります。
過剰在庫・滞留在庫が会社に与えるリスクは次の5つがあります。
- 資金繰りリスク
- コストアップ
- 機会損失
- 生産性の低下
- 安全性の問題
それぞれのリスクを詳しく見て行きましょう。
資金繰りリスク
在庫はお金です。
過剰在庫や滞留在庫が増えるということは、「在庫として投資したお金が会社に長く滞留してしまう」ということです。
会社にとって一番大切なのは、キャッシュフローです。
ある会社の社長さんが倉庫に高く積まれた過剰在庫を見て、「この在庫が現金だったらなぁ・・・」とため息をついていたのが印象的でした。(この会社は、月末近くになると資金確保に奔走している)
過剰在庫や滞留在庫が減れば、現金として手元にお金が残ります。
無駄な借り入れや月末の資金確保の必要がなくなります。
キャッシュフローが悪化する要因はこちらで詳しく解説しています。
コストアップ
在庫はモノですから、置き場と人による管理が必要になります。
一般的に在庫の管理費用は、在庫金額の15~20%と言われています。
例えば1億円分の在庫があれば、その在庫を管理するためのコストは1500万円にもなります。
当然ですが、モノが増えれば増えるほど広い置き場が必要です。
管理する人も増やさないければいけません。
場合によっては外部倉庫を借りなければいけません。
外部倉庫を借りると発生しがちなのが、「横持ち」です。
「横持ち」とは、「本社倉庫→外部倉庫」や「外部倉庫 → 本社倉庫」と言った、無価値の移動のことです。
横持ちをすれば当然無駄なコストが発生します。例えば、
- 輸送コスト
- 荷造りコスト
- 待ち時間(横持ち品が届くのを待つ時間)
機会損失
過剰在庫・滞留在庫に気づいたときには、機会損失を起こしていることが多いです。
- モノが売れる旬を過ぎている
- 品質的に劣化して売れない状態になっている
売れないものは、原価無視で投げ売りするか、捨てるしかありません。
利益が出るどころか、箱を入れ替えたり、メンテナンスが必要だったりと、余計な経費が掛かってしまうことすらあります。
生産性の低下(コストアップ)
モノが多い倉庫で起こりがちな問題は、次の3点です。
- モノを探す
過剰在庫や滞留在庫が多い倉庫は置き場に困っていることが多く、決まった場所に在庫が置かれない仮置きや、在庫の奥に別のモノが置いてあって見えないなどの問題が多発します。その結果、モノ探しという無駄な時間が生まれます。
仮に1日にモノを探す頻度が10回、1回当たりのモノ探し時間が平均2分、それが3人だとすると、1日にモノ探しに使っている時間は、10×2×3=分。1か月だと60×20=1200分(約20時間)にもなります。 - モノを入れ替え、移動
モノが増えると起こりやすくなるのが、モノの入れ替えです。これが意外と時間を取られます。重たいものや大きなものだと人力では難しいので、フォークリフトなどを使わなければいけないシーンも出てきます。 - モノを数える
見逃されがちですが、モノを数える時間も増えてしまいます。
分かりやすいのは棚卸です。
ずっと倉庫にある在庫を棚卸のたびに数えている、しかも何年も・・・
もしかするとあなたにもそんな経験があるかもしれません。
また、増えたものを置くために広い場所や新たなスペースが必要な場合もあります。
置き場が増えるということは、自社所有・外注問わず無駄な費用がかかります。
弊社が支援させていただいたある会社では、滞留在庫を1か所に集めたら、なんと倉庫1つ分になりました。
今まで分散していたので気づきませんでしたが、社長はとても驚いていました。
その事実が分かったので滞留在庫は処分、倉庫を1つ解約して数十万円の倉庫賃料を削減しました。
ちなみに「ものを探すムダ」をなくすには、3定管理=「定位」「定品」「定量」が不可欠です。
「定位」「定品」「定量」それぞれの方法をまとめているのでご活用ください。
安全性の問題
モノで埋め尽くされ、通路が狭くなったり、高く積みあがっていませんか?
過剰在庫の多い倉庫はとても危険です。
- 荷崩れが起る
- 床に置いた在庫につまづいて転倒する
- 通路が狭くなり人やフォークリフトの行き来が安全にできない
といった危険があります。ある会社では、フォークリフトが倉庫に入れなくなってしまい、高い棚から在庫を出そうとして、はしごから落ちてケガ・・・という労災一歩手前の事件が起こったことがあります。
過剰・滞留在庫のリスクは静かに蓄積する
欠品の問題は「その場限り」です。
しかし、過剰在庫・滞留在庫は、静かに会社をむしばんでいきます。
例えるなら、生活習慣病です。
生活習慣病は日々の不摂生の積み重ねです。
過剰在庫・滞留在庫も同じで、日々の業務の積み重ねによって発生します。
過剰在庫・滞留在庫は徐々に会社の資金繰りを苦しくし、徐々にコストを
増やして積みあがっていきます。
気づきにくい滞留在庫
ある会社では、新商品投入後徐々に需要が減り、在庫が徐々に積みあがっていくという現象が起きていました。
あまりにもゆっくりとした変化だったので、なかなか気づけなかったようです。
その結果、この会社では在庫金額の約80%が180日以上滞留しているというとんでもない状況になっていました。
つまり、10億円の在庫のうち、売上に貢献しているのはたったの1億円、残りの9億円はずっと倉庫に眠っています。
この事実を知った時は唖然としていたことを良く覚えています。
過剰在庫に気づくころにはもう手遅れ
過剰在庫・滞留在庫に気づくのが早ければ早いほど、先ほど説明したような欠品は「在庫が無い!」ということですぐに気づきます。
しかし過剰・滞留在庫には気づく手段がありません。
静かに蓄積した過剰在庫・滞留在庫は突然、あなたを苦しめ始めます。
先ほどの会社のように10億円の在庫が1年で積みあがることはなく、何年もかけて在庫が積みあがっていきます。
過剰在庫に気づいたときには、「時すでに遅し・・・」となることがほとんどです。
「早期発見、早期対処」が過剰在庫・滞留在庫によるリスクを回避する一番の解決策です。
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過剰在庫を見つける方法
では、どうやって早期発見すればよいでしょうか?
過剰・滞留在庫を見つける方法が無いわけではありません。
端的に言うと、在庫回転日数と在庫金額の両面から在庫分析によって見つけられます。
それぞれの求め方は以下をご覧ください。
ただ、難しいのは在庫分析をいつやるか?ということです。
過剰在庫調査を定期的にやっている会社では、1年に1回、6か月に1回、3か月に1回(4半期)の頻度が多いようです。
しかし統一された期間でやるのはお勧めできません。
いつのタイミングで過剰在庫になるかは、各在庫によって異なります。
例えば、季節商品であれば3か月に1回で見つけたとしても手遅れです。
高頻度で在庫分析を行って、過剰・滞留在庫を早期発見、そして、早期処置しなければいけません。
【在庫分析の方法はこちら】
在庫管理システムで過剰在庫・滞留在庫を検知する
通常の在庫管理システムは欠品にフォーカスしており、安全在庫や発注点などで「ある一定の数量」を切ったらお知らせと
いうものばかりです。
過剰在庫・滞留在庫をお知らせしてくれるシステムはほとんどありません。
欠品と過剰在庫を両方お知らせしてくれるシステムこそ適正在庫に導くシステムです。
5つの指標で過剰在庫・滞留在庫を検知し一網打尽
欠品と違い、過剰在庫・滞留在庫は1つの指標で判断できません。
在庫の種類によって適切な指標を選ばなければいけません。
弊社の在庫管理システム「成長する在庫管理システム」は、在庫管理の専門家が開発に関わったシステムです。
小規模事業者・中小企業から「使いやすい」と厚い評価をいただいています。
在庫管理の専門家の長年の見地によって導かれた5つの指標を搭載しています。
これらの指標で過剰在庫・滞留在庫を一網打尽します。
自動メールでお知らせ
あなたがわざわざ在庫を確認して過剰在庫・滞留在庫を分析して判断する必要はありません。
5つの指標に引っかかった在庫をあなたに自動メールでお知らせします。
いつものように通常業務をやっているだけで、過剰・滞留在庫を簡単に知ることができます。
こんなことにも使える
過剰・滞留在庫の検知機能は、こんなことにも使えます。
- 新商品の販売戦略の転換
- 過剰在庫の処分の指示
新商品の販売戦略の転換
新商品は、売れ行きの見込みを立てて仕入れてその後実績に応じて修正していきます。
新商品の投入数や回数が多いとその確認はどんどん難しく時間がとられる作業になります。
そこで弊社の成長する在庫管理システムを利用すれば、売れ行きの見込みと実績との乖離を捉え、お知らせします。
素早く仕入れの見直しをすることで、過剰・滞留在庫を防ぎます。
過剰在庫の処分の指示
これは卸売業で多いケースです。
投入した商品の売れ行きが悪いと、営業が積極的にお客様に勧めず、また新規商品を投入するため、商品在庫がどんどん増えていきます。
営業は売れなかった商品があったことすら忘れてしまいますから、その商品は日の目を見ることなく、倉庫で眠り続けます。
そこで、「成長する在庫管理システム」を利用すれば、過剰・滞留在庫を自動で検知できるので、商品が忘れ去られる危険性は限りなくゼロになります。
経営層や管理職に通知が来れば、担当者を動かすこともできるでしょう。
このように在庫管理システムを導入して、経営を効率化することができます。
しかし初めての導入で、自社で成果があがるのかわからない方もいると思います。
現在、「成長する在庫管理システム」が30日間無料でお試し可能です。操作性や相性など、十分に判断ができる期間です。
ゼロコストで在庫管理システムの有効性を確認してみませんか?