在庫管理の整頓を確実に成功させる手順と維持方法

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    岡本茂靖/在庫管理110番|代表

    在庫管理アドバイザー岡本茂靖

    岡本茂靖/在庫管理110番|代表

    在庫管理アドバイザー、日本物流学会理事。
    在庫管理、生産管理の実務経験を経て、瀬戸内scm株式会社を創業。
    500社以上の相談、コンサルティング実績を持つ。
    実務経験に裏打ちされた理論だけではない実践的なアドバイス、支援に定評がある。

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    倉庫のどこに何があるか、担当者しか分からない 、部品を探すために、毎日現場を走り回り時間を浪費している、高い在庫管理システムを入れたのに、在庫の数が合わない・・・・

    時間をかけて整頓にしたにも関わらず、一定期間経つといつも元通りになる・・・

    もしあなたが「あっ、うちのことだ!」と思い当たるようなことが1つでもあれば、この記事が必ず役に立つでしょう。

    私は、セミナーやコンサルティングで「整頓とは何をすることでしょう?」と質問しますが、言葉は知っていても、正しく理解していることが少ないのが現状です。
    その原因は「整理整頓」とセットで覚えているからです。

     

    整理と整頓は、やることが全く違います。

    また、取り組む順番を間違えると、全く効果が出ません。

     

    この記事では、現場改善の基本である3S活動の「整頓」の正しい進め方、さらに整頓の具体的な手法「3定管理」の実践手順まで、実務に即したノウハウ、そして維持する方法を実際に現場指導をしているコンサルタントが解説します。

    正しく整頓を理解し、そして確実に整頓を成功させる方法と、整頓状態を維持できるようになりましょう。

    この記事で解説すること:
    1. 整頓の前に必ずやらないといけない「整理」
    2. 整頓は、「3定(定品・定位・定量)」を軸に進める
    3. 品番は、一物一品番にする。
    4. 場所は、会社が持っている保管場所の広さで決める
    5. 表示は、シンプルに!必要な情報だけを盛り込む

    今ある在庫量は自社にとって本当に適正量でしょうか?
    自社の適正量が分かれば、整頓に取り組む前に在庫削減に取り組むべきか、倉庫を拡張すべきかの判断もできます。

    在庫管理110番では、自社の適正在庫の決め方が分かるセミナーを開催中です。

    整頓とは「探す・迷うをゼロにして誰でもできる」ことがゴール

    整頓の定義は、「必要なモノを、必要な時に、必要なだけ、誰でもすぐに取り出せる状態にしておくこと」です。もう少しかみ砕いて言えば、入社1日目の人でも必要なものを保管している場所にたどり着ける状態です。

    例えば、入社1日目の新入社員に、「部品○○を取りに行って」と指示をして、新人が迷うことなく取りに行ける状態です。

    私が支援した会社の物流センターでは、全国の支店・営業所から人員をかきあつめて棚卸を行っていました。現場では、「この商品、どこにあったっけ?」と探し回らなければならず、1日かけて棚卸をしていました。

    整頓実施後は、棚卸時間を50%短縮することに成功しました。

    この結果には、社長が「まさか、こんなに早く終わるとは思わなかった」ととても驚いていました。

    高価なシステムを導入しなくても、現場の生産性を急激に改善できるのが整頓の力です。

    整頓できていない現場で起こっていること

    今日入ったばかりの新人や、急に応援に来た他部署の人間であっても、「迷わず、探し回らず、たどり着けること」状態を作ること。これが整頓のゴールであり、これを実現することで企業の生産性は大きく向上します。

    整頓が在庫管理改善のどこに当たるのかは、在庫管理改善の3ステップで全体の流れとして整理しています。

    整頓できていない状態が引き起こす3つのムダ

    整頓できていない現場では、「あの商品ならここにあるよ」と聞いたら教えてくれる、置き場に詳しいベテランの倉庫番や商品ごとに担当者が存在しています。

    もしあなたが「あの人がいるから任せておけば大丈夫」、「探すことが、昔から私の仕事」というのが、会社の当たり前になっていたら危険な状態です。

    整頓は、現場だけの課題ではありません。経営に直結する重大な問題です。

    整頓されていない現場が引き起こす経営に直結する3つのムダ
    1. 探す時間のムダ(生産性の低下)
      「あの部品どこだっけ?」と探す時間が1日合計30分あるとします。従業員が10人いれば、毎日5時間分の人件費をドブに捨てているのと同じです。整頓はこの「探す時間」をゼロにします。
    2. 作業ミス・事故の発生(安全性の低下)
      通路にモノがはみ出していると、転倒事故やフォークリフトの接触事故を招きます。また、置き場所が決まっていないと、類似品を取り違える「誤出荷」や「部品の組み付けミス」の原因になります。
    3. 在庫管理の不備(コストの増大)
      モノの置き場所が決まっていないと、在庫があるのに見つけられず追加発注してしまう「二重発注」や、逆に在庫切れに気づかない「欠品」が発生します。これらは直接的な金銭ロスにつながります。

    先ほど、紹介したアパレル会社の事例で実証された通り、整頓は生産性を高める効果的な方法です。

    しかも、システムのような投資はゼロです。

    面倒かもしれませんが、整頓に取り組まないとどんなに高価なシステムを導入しても無意味になるでしょう。

    整頓の前後で何を押さえておくべきかは、在庫管理の基本と応用ポイントにまとめています。

    整理と整頓の違い

    整理と整頓は、「整理整頓」とひとまとめにされがちですが、この2つは全く異なるアクションです。

    • 整理:不要なモノを「捨てる」こと
    • 整頓:置き場所を決め、迷わず、探し回らず、取り出せる状態にすること

    行う順番は「整理をしてから整頓」と明確に決まっています。
    整頓を何度やっても失敗する、整頓したのになぜか元通りになる現場の共通点は、「整理」を飛ばして「整頓」から始めてしまうからです。

    整頓の前に必ず整理を行う

    整理で不要品を排除しスペースを確保した後、整頓で出荷頻度やロケーションに基づき効率的に配置する

    整頓の前に整理をする理由は、整頓にはスペースが必要だからです。

     

    不要なゴミや何年も使っていない在庫が混ざった状態ではおきたい場所に置きたいものがおけません。

    まず「整理」で不要なものを徹底的に排除しスペースを確保します。

    スペースを確保することで、置くべき場所に置きたいものを適切に置けるようになります。

     

    整理のやり方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
    整理と赤札作戦の進め方

    整頓の土台は3定

    整頓には正しく進めるためのフレームワークがあります。それが3定です。

    以下の3つの「定」で構成されます。

    3つの「定」

    1. 定品:置くものを決めること
    2. 定位:置き場を決めること
    3. 定量:置く量を決めること

    3定管理を実施すると、在庫の置き場が明確になり、さまざまな在庫でも決まったものを、決まった場所に決まった量だけ置くことができるようになるため、新人でも商品の格納やピッキングができるようになります。

    「ものを探すムダ」や「紛失によるロス」の防止にも直結します。

    3定管理のメリット

    • パッと見て状態が分かる
    • 誰でもすぐに取り出せる
    • 誰でもすぐに元通りにできる

    在庫管理のノウハウをまとめた「在庫管理の教科書」では、今回解説する3定のほか、明日から使える実務的な現品管理のことが学べます。合わせてご利用ください。

    3定の進め方

    3定は、「定品・定位」から進めて、その後「定量」を決めるのが良いでしょう。

    それでは、3定の具体的な進め方を詳しく解説します。

    定品:置くもの特定できるようにする

    定品とは、置くものを特定できるようにすることです。

    そのためには、半角英数で品目コードを採番しなければいけません。

    品目コードを採番する(部品・商品番号)

    定品を実現するために、在庫管理するもの全てに半角英数字の品目コード(部品番号、商品番号)を必ず採番します。

    部品名や商品名での管理をお勧めしない理由は次の2点です。

    • 「呼び名」や記入のゆれが起こりやすく統一しづらい(例:ネジ、M6、ボルト ※同じものでも呼び名が複数存在する)
    • システム化できない(在庫管理には品目コードが必須。名前では管理できません)

    在庫管理システムも品目コード(商品コードや部品コードと呼ばれる場合もある)の設定が必須になっています。
    管理する商品点数や会社の規模の拡大とともに、在庫管理システムは必須です。
    もしまだ名前で管理している場合は、整頓を機会にコードを採番することをお勧めします。

    では、とにかくコードを付ければ良いかといえば、そうではありません。

    採番時のポイントは一物一品番です。
    一物一品番とは、一つの品物に品目コードを1つだけ付けることです。
    当たり前のことと思いがちですが、実際にはそうなっていないケースが大企業を含めて多いです。

    一物一品番ができていない会社での品目コードの採番運用状況
    • コードが一元管理されていない
      別々の部署で同じものを買っているが、別々に採番している。
    • 採番体系が決まっていない
      まったく違うものなのに、同じ品番が採番されている。

    品目コードが統一されていないと、整頓ができないだけではなく将来的に様々な問題を引き起こす原因になります。

    コードが統一されていないことで起こる主な問題点

    • 過剰在庫になる:無駄に購入しており過剰在庫が発生していました。
    • 部品表を共有できない:部品表は原価管理やMRP、生産指示に欠かせません。部品番号が統一されていないと部品表を整備できません。
    • 品質管理ができない:同じものが、別品番で採番されていると、トレーサビリティが極めて難しくなります。

    実際に私が支援した会社では、同じネジに各部署が別々に採番をしていたことで、上記3つが全て発生しており、手間とムダが多く起こっていました。

     

    品目コードは、採番ルールと管理する部門を決めて、一元管理しなければいけません。

    この記事を読んだあなたは、まず一物一品番ができているかどうかをすぐに確認してください。
    品目コードの採番と管理方法については、こちらの記事で解説しています。
    部品番号・商品コードの採番方法と管理のポイント

    定位:置き場を決める

    定位とは、置く場所が決まっている状態です。

    定品で特定できるようになったら、次は定位で置き場を決めます。

    定位ができている状態

    倉庫のどの位置に棚が置いてあり、その棚のどこに部品が置いてあるかが分かるようにしましょう。

    棚番マップ

    誰でも分かる置き場を作るためには、どこに置いたかを特定できるようにしなければいけません。

    「第1工場の左から3本目の柱のすぐ右にある棚の下段あたりね!」という表現だと、新人だとイメージがわかず場所を特定しづらいです。

    置き場に品目コードと同じように名前を付けて誰でもわかるようにします。定位を完成させる具体的な手順は次の通りです。

    定位の手順

    1. 置き場の深さ(階層)を決める
    2. エリアマップを作る
    3. 棚に名前を付ける
    4. 棚のどの位置に何を置くかを決める

    置き場(ロケーション)の深さを決める

    最初に、何をどこに置くかを決める前に、置き場の深さ(どの程度まで場所を管理するか)を決めます。

    置き場の深さを決める

    階層を深くするメリットとデメリット
    • 階層を深くするメリット:
      置き場の深さを深くすればするほど、ピンポイントで保管されているところにたどり着き、ピッキング可能になります。
    • 階層を深くするデメリット:
      一方で深くすればするほど、細かい管理をしなければいけないため、情報のメンテナンスが大変です。

    実務的な階層の深さの決め方
    教科書的には「間口(例:倉庫①にある棚Aの左から2番目)まで設定して管理をしてください」が正解です。

    しかし実務的な負担を考えると、むやみに深い階層まで細かく設定する必要は全然ないと私は考えています。
    私がクライアント様には、ロケーションの深さは商品や部品を探す時間をどれくらい許容するかで決めましょうとアドバイスしています。

    例えば、1つ当たり、探す時間を3分まで許容と設定した時

    1. 小さな棚が1つか2つしかない狭い倉庫:倉庫まで設定すれば十分
    2. 棚がズラッと100個並んでいる広い倉庫:間口まで設定しなければいけない

    ※もちろん、探す人はベテランではなく、入社1日目だったり、パートやアルバイトのような誰でもできるというのが前提条件です
    ロケーション管理の具体的な考え方、進め方について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
    ☞ロケーションの設計と管理の基本|ミス激減&効率化する方法

    在庫を保管する倉庫が1か所しかないような小規模の場合は、エリアまで決めず、棚番と在庫の表示のみ作りましょう。

    エリアマップ|棚が倉庫のどこにあるかを分かるようにする

    エリアマップを作って倉庫の位置を特定できるようにします。
    次のように、東西南北の碁盤目に道路地図のようにメッシュ状に区切って番地を振ったエリアマップを作ると良いでしょう。
    エリアマップ
    例えば、★のところは、エリアマップの番地に従うと、B2ということになります。
    これで、倉庫の場所の位置が明確になります。

     

    エリアマップが必要な倉庫は、端から端まで見渡せないような広い倉庫で効果を発揮します。

    倉庫が狭い場合は、エリアマップの作成は飛ばしても良いでしょう。

    棚番を付ける|どの棚のどの位置に保管されているかを特定する

    「どの棚の何段目のどのあたりにに置いてあるか」を分かるようにします。

    例えば、棚A02の1段目の左から3番目に置いてある場合は、以下のようになります。

    棚番の決め方棚番も半角英数を使ってコードを振ります。
    名前とともに必要なのがコード(ロケーションコード、棚番)で、在庫管理システムと連動させるためにも必須です。

    棚番マップ

    エリアマップと棚番を組み合わせたものを棚番マップです。
    棚番マップはいわば倉庫の地図です。これを手に持って歩けば、倉庫で迷わず、保管場所にたどり着きます。

    棚の整備方法や棚番の決め方を詳しく解説した記事はこちらです。
    ☑棚の整備方法・棚番を決めるルールについて知る

    在庫の置く位置をより詳細に決める(列・連・段・間口を設定する)

    棚の数が多い、または大きな棚を使っていて、たくさんの商品や部品を保管する場合は、棚のどの位置に置いたかを分かるようにしなければいけません。

    棚番は「連・列・段・間口」を設定します。

    棚番のつけ方

    そこで、棚に置いた時のルールを決めておきます。

    列と連が棚番を決める

    • 連:個々の棚
    • 列:棚が置いてある列

    例えば、A02ですと、A列にある2番目の棚といった具合です。

    段と間口が、棚のどの位置にあるかを決める

    例えば、2段の棚があるとすれば、下段を1とし上段を2とします。

    間口は、左と右、どちらを1番と数えるのかを決めましょう。
    例えば、左から1番と数える場合は、向かって左端から置くことをルールとして、それぞれ左から1、2、3・・・とします。

    例えば、部品を棚A02(2段の棚)の下段、左から3番目に置いたとします。
    その部品の置き場コードは「A02-1-3」というように表現し特定できます。

    棚番マップと棚番があれば、入社1日目の新入社員でも、置いてある場所に迷わずにたどり着くことができるようになります。

    棚札(表示)を付ける|置いてあるものを知らなくても特定できるようになる

    正確に棚番を設定して「A02-1-3」に置いてあるものを見つけても「本当にこれでいいのか?」と不安になります。

    そこで、棚札(表示)を付けて、知らない人・初見の人でも特定できるようにします。

    棚の表示

    棚札づくりのコツ

    表示は、見落とさず、確実に情報を読み取れるものでなくてはいけません。

    • 表示は通路(ピッキングや格納するところ)から見える位置に貼る
    • 類似品対策(見分けがつきにくい類似品は、特徴が分かりやすいように現物の写真などを使用して、誤保管・誤ピッキングを予防する)
    • 表示はシンプルにする(大きな字で分かりやすく、遠くからでも読みやすいようにする。情報を詰め込みすぎると、見落としの危険性があるため)

    その他必要な情報

    棚番と品目コードの他、運用に応じて情報を追加します。

    • QRコード(バーコード):ハンディターミナルで読み取る
    • 発注点:使ったときに現場から発注依頼をもらう

    配色の工夫

    表示の色や文字の大きさなどを変えて、意味合いを分けるとより分かりやすくなります。

    例えば、私は棚札自体の色を変えて、棚卸するものとしないものを見分けられるようにして棚卸漏れを防ぎました。

    棚番がきちんと機能するかをテストする方法
    上手く設定できたかどうかを知る良い方法は、入社1日目の新入社員に在庫を取りに行ってもらうことです。
    棚番マップがしっかりと整備されていて、きちんと更新されていれば、すぐに指定の場所に迷わずにたどり着くことができるはずです。
    迷ってしまったり、違ったものを持ってきた場合は棚番マップの作り方や棚番自体が間違っている、もしくは在庫の変更を反映していないなどのなんらかの問題があるサインです。

    定量:置く量を決める

    整頓は「定品と定位」によって、「何がどこにある」が分かるようになります。

    この2つを維持するためには定量が必要です。

    整頓に定量が必要な理由

    • 置ききれなくなってしまうことを防ぐ
    • 見つけやすくすること
    • 安全と品質を保つこと

    物理的に置けなくする、置ける量を見える化する

    置く量を守らせるには、ルールを決めるだけでは不十分です。

    物理的に「それ以上置けない状態」を作ります。

    次のような方法があります。

    • 平置きであれば、床に白線を引いて区画を区切る
    • 決めた量しか入らない大きさの容器を使う
    • 棚板の高さを詰めて積み増せないようにする

    心理的にも物理的にも入れられないようにしておくと、担当者が変わっても量が守られます。

    私が支援した例では、白線を引いてもまたがっておかれる例が多発して守られなかったため、物理的な段差を付けて置けないようにした例もあります。

    正しい発注方法で置きすぎを予防する

    場当たり的な発注は、過剰発注につながり置きすぎの原因になりスペースを余計に使ってしまい他のものが置けなくなり、整頓が崩れます
    さらに、奥にあるものが見えなくなり探し回りの原因になります。

    適正量を保つために、属人・場当たり発注を止め、正しい発注方法を採用します。

    発注方法の特徴と選び方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
    4つの発注方法の選び方のメリットとデメリット

    安全と品質を保つ

    さらに、置きすぎは、棚の耐荷重オーバーや荷崩れの原因になります。

    荷崩れの原因にもなりますし、上にあるモノばかりを移動して先入れ先出しが守られなくなり、古いものが奥に残ったままになるリスクもあります。

    下にあるものがつぶれてしまい品質上のリスクもあります。

    定量は適正在庫や在庫削減にもつながる

    置く量を決めることは、在庫そのものを減らすことにもつながります。

    余剰在庫が積み上がる会社は、たいてい「置けてしまう」状態を放置しています。

    定量は、整頓の手段であると同時に、生産計画や発注量を見直すきっかけにもなります。

     

    今ある在庫量は自社にとって本当に適正量でしょうか?

    自社の適正量を知ることで、在庫削減に取り組むべきか、倉庫を拡張すべきかの判断もできます。

    在庫管理110番では、自社の適正在庫を知るセミナーを開催中です。

    何をどれくらい置くかということを決めるためにも役立つ内容です。

    自社の適正在庫を知る

     

    整頓を「仕組み化」して維持し続ける方法

    整頓したのに何度やっても元通りになる、、、その原因は整頓をやりっぱなしにしているからかもしれません。

    整頓で最も重要で難しいのは「維持すること」です。
    一度きれいにしても、一週間後には元通り……という事態を防ぐために、精神論で「きれいに使おう」と言うだけでは定着しません。

    具体的な対策とルールを設け、見える化を実施します。

    整頓状態を維持するために必要な2つの仕組み

    整頓は現場管理をする方法なので、目で見えるように「見える化」し、その状態が維持できているかどうかを確認します。

    次に、現場と情報(システムの設定)の状態が一致しているかどうかを確認します。(情物一致)

     

    私が現場と支援先で取り組んできた整頓を維持し続ける具体的な方法をご紹介します。

    現場の棚や置き場が整頓で整備された正しい状態にする

    まず、「3定」の状態になっているかどうか現場で確認します。

    現場の3点セットは、『保管品一覧、棚配置、表示』です。

    3点セットと実際の現場が一致しているかどうかを確認します。棚番マップ(保管品一覧表、棚の配置マップ、棚札の表示例)を示した図

     

    3定が維持できているかどうかをチェックする4つのポイント

    1. 置いてあるものと表示(棚札)が一致しているか
    2. 表示が無い場所に、在庫が置かれていないか
    3. 置いてあるものの奥に、別の物が置かれていないか
    4. 置き場に設定してい無い場所にモノが置かれていないか

    私の支援先では、棚番マップを倉庫に掲示して、1週間に1回、棚番マップと実際に置いてあるものが一致しているかどうかをチェックするように指導しました。

    やはり最初は、棚番マップと実際に置いてあるものが一致していなかったり、置き場じゃ無い場所に置かれていることがポツポツとありました。

    その都度、理由を確認して、必要に応じてオペレーションルールを変更(例:翌日出荷品を置く「仮置きエリア」を設定)し、実務に合わせました。

     

    確認頻度はなぜ1週間に1回なのか?

    1か月に1回ではなく、あえて1週間に1回としているのは2つ理由があります。

    記憶が残っているから(1か月だと記憶が薄れて、理由が分からなくなる)
    ズレを小規模に抑えるため(1か月だとズレが大きくなるので、直すのに時間がかかり大変だから)

    情報を常に最新に保つ

    現場の状態とシステムで設定した状態(どこに、何を保管するか)が一致しているかどうかを確認します。

    ポイントは、現場で現物を置いてからシステムに設定するのではなく、システムで設定してから現場にモノを置きます。

    つまり、『保管品一覧、棚配置、表示』を作った後で、それに従って実際の物を置くという流れです。

    5Sパトロールの実施

    特に整頓を始めたばかりの時は、現場が慣れていないため崩れやすく、現場任せにしてはいけません。

    必ず管理監督者が厳しい目で、現場を見て整頓状態が維持できているかを確認しましょう。

    定期的(少なくとも1週間に1回)に管理者が現場を回り、3定が守られているかチェックし、守られていない場合はその場で指摘して直ちになおさせましょう。

     

    管理者自身が属人化していて、任せられない・・・という場合は、動画や写真を使う方法があります。

    私は支援先で、整頓の維持徹底ができているかどうかを確認するために、毎日終業時に倉庫の写真を数か所で撮ってもらい、整頓できているかどうかを確認し、問題があれば連絡してすぐに直してもらうようにしました。

    慣れてくれば、整頓が当たり前の状態になるので、1週間に1回から2週間に1回、そして1か月に1回と頻度を徐々におとします。(パトロールは止めずに続けます)

    整頓が崩れてしまう4つの原因

    これまで、様々な現場で整頓の支援を実施してきました。
    また、私自身も現場の改善活動で整頓に携わってきました。

    私の経験上、整頓が崩れやすい原因を4つご紹介します。

    整頓が崩れやすい原因

    とりあえず置きの禁止

    必ず決めた置き場に置くことを徹底して、それ以外の場所においてある「とりあえず置き」は絶対に認めてはいけませんし、見逃してはいけません。
    置き場に置く時間がもったいないと思うかもしれませんが、探している時間の方が間違いなく多いことに気づきましょう。

    廃番・採番

    旧商品や部品の廃番や在庫の廃棄、新商品の採番時に、整頓を合わせて行うようにします。

    • 廃番時(在庫の廃棄):システムで廃番処理を行い、在庫を廃棄する場合は現物の在庫を廃棄後、在庫管理システムの在庫数をゼロにします。さらに、廃番する品番とロケーション(保管場所)の紐づけを外して、保管場所をフリーの状態にします。
    • 採番時(新しい商品や部品を新たに扱う):システムで採番します。採番と同時にロケーションの紐づけを行います。次に表示を作成して、対象の保管場所に表示を設置します。

    ロケーション(保管場所)の変更や移動

    在庫のロケーションを変更する際は、事務所がロケーションの変更指示を出す、または現場が移動票を作成してから、現物を移動します。
    ポイントは、現物を先に移動しない事です。その理由は、先に現物を移動すると、システム上の処理を忘れてしまう事が非常に多いからです。

    大きな変更を伴う時

    商品のモデルチェンジ、倉庫のレイアウト変更など置き場が大規模に変わる時は崩れやすいです。

    またそういったプロジェクトは、頻繁には無いので習慣づけが難しいです。

    プロジェクトを進めるルールの中に整頓(3定)を盛り込んでおくと良いでしょう。

    効率的な置き場を作るために

    倉庫作業の中で、最も時間を使っているのはピッキングや格納作業などで付随して発生する移動時間と言われています。

    倉庫作業は、どれだけ歩数を減らせるかが作業者の負担を減らして生産性を上げる鍵になります。

    そこで、歩数を減らしより効率的な倉庫にするためのコツをご紹介します。

    ロケーション管理の方法を決める|固定ロケーション・フリーロケーション

    ロケーション管理には次の2つの方法があります。

    ロケーション管理の方法
    固定ロケーション置き場が予め決まっている
    フリーロケーション置き場をその場で決める

    ロケーション管理の具体的な方法は、こちらをご活用ください。
    ☑ロケーション管理について詳しく学ぶ

    基本的に管理する部品や商品の入れ替わりが激しくない場合は、固定ロケーションの方が良いでしょう。

    ※入れ替わりが激しい=1週間以内で保管する商品が入れ替わるような状態。

    レイアウトを決める(置き場を決めるときのポイント)

    基本的なロケーション管理の方法が決まったら、レイアウトを決めます。

    レイアウトとは倉庫のどのあたりに何を置くかを決めることです。

    原則、出庫頻度の高いものを倉庫の出口付近に置き、出庫頻度の低いものを倉庫の奥に配置します。
    倉庫棚レイアウトイメージ図。出庫頻度が高い棚(赤)を出口付近に、中程度(黄)を中央に、低い棚(青)を奥に配置するのが原則

    適切なレイアウトにすることで、モノを取りに行く時の歩数を減らし生産性を高めます。

    仮に1日1000個作る部品があり、材料を1日に3回、取りにいっていたとします。

    倉庫の手間に置いた場合を2分、倉庫の奥に置いた場合を5分とたシュミュレーション結果は以下の通りです。

    日数倉庫の手前に置いた場合倉庫の奥に置いた場合
    1日6分15分
    1か月2時間7.5時間
    1年24時間90時間

     

    計算してみると、積み重ねた時間がどれだけ大きいかがよくわかると思います。

    ある物流会社では、月に1回保管品を倉庫A(よく出るもの)と倉庫B(あまり出ないもの)のどちらにするかの入れ替え作業を行っていました。

    数十万点の商品を保管する大きな倉庫だったので「こんな作業を毎月やって大変じゃないですか」と質問したところ、

    「商品の保管場所を入れ替える手間よりも、歩数の方に時間を取られているのでメリットがあるのです」と言っていました。

     

    「出庫頻度が高いものは出口付近に置く」という原則を念頭に置きながら、次のような点も考慮してレイアウト作りを進めます。

    • 作業場所
      その在庫を良く使う作業場のすぐ近くに置きます。
      在庫を取りに行く時間を減らすことができます。

    • 工程と物流
      工程の流れに合ったところに置き、在庫の流れと工程の流れをできるだけ一致させましょう。

    • 種類
      扱う部品の多くが特定の製品の専用品の場合は、製品ごとにまとめるとピッキング効率が良くなります。

    • 大きさや重量
      手で持ち上げることができない大きなものや重量物などは、フォークリフトが入れるスペースや構内クレーンのそばなどに配置します。

    レイアウトの詳しい決め方はこちらの記事で解説しています

    まとめ

    この記事では、現場改善の基本である3S活動の「整頓」の正しい意味や整理との違いをはじめ、具体的な手法である「3定管理(定品・定位・定量)」の実践手順、表示(ラベリング)による見える化、そして整頓を仕組み化して維持し続けるノウハウについて解説しました。

    整頓は、単なる片付けではありません。
    今日入ったばかりの新人や、急に応援に来た他部署の人間であっても、「迷わず、探し回らず、取り出せる」状態であることです。
    整頓を実施して維持することは、作業効率を最大化し、従業員の過度な業務負担を減らし、会社の利益に直結します。
    まずは「整理」で不要なものを捨て、次に「3定」でモノの住所を決めることから始めてみてください。整頓された現場は、間違いなくあなたの会社を強くします。

    1. 整頓の定義と放置による「3つのムダ」

    • 整頓のゴール:倉庫や工場における整頓の目的は徹底的な「効率化(スピード)」の追求です。熟練者だけでなく、新人や他部署からの応援者でも「迷わず、探し回らず、取り出せる」状態を作ることがゴールであり、実際に整頓によって棚卸時間を50%短縮した現場事例もあります。
    整頓できていない現場が引き起こす3つのムダ
    • 探す時間のムダ(生産性の低下):「あの部品どこだっけ?」と探す時間が1日合計30分ある場合、従業員10人で毎日5時間分の人件費を浪費していることになります。整頓はこの探す時間をゼロにします。
    • 作業ミス・事故の発生(安全性の低下):通路へのモノのはみ出しによる転倒事故やフォークリフト接触事故を招きます。また、置き場所が決まっていないと、類似品を取り違える「誤出荷」や「部品の組み付けミス」の原因になります。
    • 在庫管理の不備(コストの増大):在庫があるのに見つけられず追加発注してしまう「二重発注」や、逆に在庫切れに気づかない「欠品」といった直接的な金銭ロスが発生します。

    2. 整理と整頓の違い・正しい実施順序

    失敗する現場の共通点は、「整理」を飛ばして「整頓」から始めてしまうことです。

    不要なゴミや長年使っていない在庫が混ざった状態では置きたい場所に置けません。まず「整理」で不要なものを徹底的に排除してスペースを確保した上で、「整頓」に着手する必要があります。

    整理と整頓の違い
    整理(先に行う)不要なモノを「捨てる」こと(スペースの確保)
    整頓(後に行う)置き場所を決め、迷わず、探し回らず、取り出せる状態にすること

    3. 3定管理(定品・定位・定量)の実践手順

    3定(さんてい)管理とは、整頓を実現するための具体的なフレームワークです。

    3定管理がもたらす3つのメリット
    • パッと見て状態が分かる
    • 誰でもすぐに取り出せる
    • 誰でもすぐに元通りにできる
    • 定品(置くものを決める):一物一品番の徹底が重要です。一つの品物に品目コード(部品番号・商品番号)を1つだけ付けます。部門ごとの重複採番などを防ぐため、採番・管理する部門を決めて一元管理します。
    • 定位(置き場を決める):置き場に名前を付けて、誰でも場所を特定できるようにルール化します。

    定位の手順 4ステップ

    STEP1
    置き場の深さ(階層)を決める(探す許容時間に応じて設定。深くするほどピンポイントで特定可能)
    STEP2
    エリアマップを作る(倉庫を東西南北の碁盤目・メッシュ状に区切って番地を明確化)
    STEP3
    棚に名前を付ける(通路から見える位置に棚番を表示)
    STEP4
    棚のどの位置に何を置くかを決める(下段を1、向かって左端から1など、連・段・間口のルールを統一)
    • 定量(置く量を決める):
      • 置く量を決める理由:スペースの浪費防止、見つけやすさの向上(置きすぎによる奥の品の探し回り防止)、安全と品質の保持(棚への耐荷重記載による棚破壊や落下防止、山積みによる荷崩れ・下積み破損・先入れ先出し崩れの防止)のためです。
      • 発注方法の適正化:場当たり発注や気分次第の多め発注を止め、部品や商品の特性に合った正しい発注方法を採用して適切な在庫量を維持します。

    4. 表示(ラベリング)で3定を見える化する

    • 棚札・現物表示:保管品自体や容器に品番・品名を貼り、何が保管されているかを一目で特定できるようにします。
    • 写真を使った表示:見分けがつきにくい類似品は現物の写真を使用し、誤保管や誤ピッキングを予防します。
    • 棚番地の明示:見やすい高さに、大きな文字で遠くからでも読みやすいように表示します。
    • 現場主体でシンプルな内容:情報を詰め込みすぎると見落としを招くため、QRコードやバーコード、発注点など現場に必要な情報に絞り込みます。
    • 配色の工夫:表示自体の色を変えて意味合いを分け、棚卸するものとしないものを区別して棚卸漏れを防ぎます。

    5. 整頓を「仕組み化」して維持し続ける4つのルール

    • 「とりあえず置き」の絶対禁止:決めた置き場以外に置くことは絶対に認めず、見逃さないようにします(置き場に置く時間よりも、後から探す時間の方が圧倒的に多くなります)。
    • 廃番・採番時のルール化:廃番時は「システム廃番処理 → 現物廃棄 → 在庫数ゼロ → ロケーションの紐づけ解除(フリー化)」、新商品採番時は「システム採番 → ロケーション紐づけ → 表示作成・設置」の手順を徹底します。
    • ロケーション変更時の手順徹底:事務所の変更指示や現場の移動票を作成してから現物を移動します(先に現物を動かすとシステム上の処理忘れにつながります)。
    • 情報の鮮度の見える化:表示に「作成日」や「次回更新日」を記入しておくことで更新忘れを防止し、新製品開発ルールなどにも3定の見直しをあらかじめ盛り込みます。

    整頓を実施して維持することは、作業効率を最大化し、従業員の過度な業務負担を減らし、会社の利益に直結します。

    まずは「整理」で不要なものを捨て、次に「3定」でモノの住所を決めることから始めてみてください。整頓された現場は、間違いなくあなたの会社を強くします。

    よくある質問

    整頓について、よくある質問についてまとめました。


    質問する人
    質問者

    在庫管理における「整理」と「整頓」の違いは何ですか?

    在庫管理110番
    在庫管理110番

    整理は「捨てる」こと、整頓は「誰でもわかる置き場づくり」のことです。
    「整理」を行わずに「整頓」だけを行っても、不要な在庫が保管スペースを圧迫し続けるため、必ず【整理 → 整頓】の順序で実施することが鉄則です。



    質問する人
    質問者

    整頓の3要素(3定)とは何ですか? 在庫管理現場でどう実践しますか?

    在庫管理110番
    在庫管理110番

    【1. 定品(何を置くか)】【2. 定位置(どこに置くか)】【3. 定量(いくつ置くか)】です。
    定品は一物一品番を徹底し、半角英数で品目コードを付与、定位置は、ロケーションコードや棚番、棚札(品名・品番ラベル(バーコードやQRコード含む))の貼付、定量は、定品と定位置を維持するために必要で、過剰発注を防ぐためのルールに基づいた正しい発注、欠品を防ぐために発注点や安全在庫等を設定して実践します。
    3定を徹底することで、新任作業員でも迷わずピッキングできるようになり、属人化の解消と誤出庫の激減につながります。



    質問する人
    質問者

    倉庫や職場で整理整頓(5S)を徹底するメリット・費用対効果は何ですか?

    在庫管理110番
    在庫管理110番

    5つのメリットがあります。

    1. 脱属人化
      誰でも分かるようになりますので、倉庫のことは俺に任せろ!というベテランに任せる必要が無くなるため人件費を下げられます。
    2. 誰でもできるようになること
      新人やアルバイトにも入庫やピッキングを任せられるようになるので、繁忙期に素早く作業ができるので出荷準備時間が短くなります。
    3. 探す時間が無くなること
      倉庫作業において最も長く時間を使うのは歩行時間と言われています。
      整頓されていない現場では、「探す」、「迷う」というムダ歩行がとても多いです。
      私が支援した会社では、棚卸時間の削減を実現しました(改善前:30人・8時間⇒改善後:10人・4時間)。
    4. 適正在庫に貢献
      定量を守ることで、場当たり発注による過剰在庫を抑制できます。
    5. 労災予防
      通路に置かれることによる転倒、見えないことによる衝突などの事故を予防できます。



    質問する人
    質問者

    在庫管理の現場で整理整頓を継続・定着させるために最も大切なことは何ですか?

    在庫管理110番
    在庫管理110番

    現場や個人の根気や意識に任せないことです。
    それは、「保管品一覧・表示・棚配置」の3点セットと実際の現場が一致させ維持するルールを作ることです。
    最初のうちは、管理者が1週間に1回現場パトロールをして一致しているかどうかを確認しましょう。
    また、現場が守っていないことが分かったらその場で指摘し、その場で直すことを徹底しましょう。


     

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