
発注量を担当者の勘や前年の実績で決めていて、欠品と在庫の持ちすぎをくり返している。
エクセルで需要予測をしたいけれど、関数や統計の知識に自信がない。
そんな悩みを持つ中小企業の方は少なくありません。
そこで、在庫管理110番では、データをいれるだけで需要予測ができるエクセルを開発しました。
サンプルデータ付きなので、自社のデータがなくてもすぐに試せます
関数やグラフで1品目ずつ決まった方法で予測するのと違い、このエクセルは品目ごとの売れ方の違いを時系列分析で見分け、品目ごとに合った予測方法を選べます。
この記事では、そのエクセルの特徴と機能、そして需要予測の基本や予測精度の考え方もまとめました。
- 需要予測とは何か、勘や前年の実績に頼る発注で起きること
- 無料の需要予測エクセルを使うと、発注がどう変わるか
- 出庫データだけで予測できるしくみと、エクセルの関数・予測シートとの違い
- 移動平均法・指数平滑法などの計算方法と、予測精度の考え方
- 使い方の3ステップと、需要予測の精度を高める使い方
- エクセルの需要予測の限界と、自社に合わせた使い方
読み終えるころには、品目ごとに「なぜこの量を発注するのか」を考える道筋が見え、無料のエクセルですぐに試せる状態になります。
需要予測とは?勘や前年実績に頼る発注が欠品と過剰在庫を生む
需要予測とは、過去の販売・出荷の実績などをもとに、これから先にどれだけ売れるか(出荷されるか)を見積もることです。
発注量や生産量、在庫の持ち方を決めるための土台になります。
ところが、中小企業の現場では、発注量を担当者の経験や勘や過去○○か月の平均といったような単純な計算に頼っていることが少なくありません。
次のような悩みに心当たりはありませんか。
- 発注量を担当者の勘だけで決めている。
- 「過去○○か月」、「前年の同じ月と同じくらい」で決めている
- 欠品と在庫の持ちすぎ(過剰在庫)を、毎年くり返している
- 売れ筋の品目が伸びているのか落ちているのか、はっきり言えない
- 季節の山がいつ来るのか、品目ごとにはつかめていない
- 下落トレンドがつかめず滞留在庫として残りがち。
- エクセルで需要予測をしたいが、関数や統計の知識に自信がない
- 品番が多すぎて、1品目ずつ予測する時間がない

どれも担当者の能力の問題ではありません。
品目ごとに違う需要の特性が見えていないことが原因です。
勘や前年の実績に頼った発注で起きやすい悩みは、解説ページの欠品と過剰在庫がくり返される原因でも紹介しています。
サンプルデータ付きなので、自社のデータがなくてもすぐに試せます
需要予測エクセルを使えば品目ごとの根拠で発注を決められる
発注業務を「これで足りるだろうか」と迷いながらエイヤ!で決めることから品目ごとの根拠をもって決められるようになります。
季節の山の前に余裕をもって準備し、「なぜこの量なのか」を上司や社長に説明できるようになります。
担当者が替わっても、同じ考え方で発注を続けられます。
出庫データを入れて実行すると、品目ごとの判定が一覧で表示されます。需要予測エクセルを使えば、次のような変化が期待できます。
| 場面 | これまで | このエクセルを使うと |
|---|---|---|
| 発注量 | 勘や前年の実績で単純に決めている | 6〜12か月先の需要予測と、外れる幅の目安をもとに決められます |
| 発注のしかた | 全品目を同じやり方で発注している | 定期発注・発注点方式・受注発注のどれが合うかが、品目ごとにわかります |
| 季節変動 | 増加時期に欠品し、減少時期に過剰在庫 | 季節変動の山と谷の月がわかり、前もって準備できます |
| 発注点の見直し | 一度決めた発注点を、何年もそのまま使っている | 需要の伸びや落ち込みに合わせて、見直す時期の目安がわかります |
| 担当者の時間 | すべての品目に同じ手間をかけている | 管理の優先度(1〜9)で、手間をかける品目を絞れます |
| 欠品の影響 | 欠品の日を「需要ゼロ」と数え、さらに少なく発注してしまう | 欠品の疑いがある期間を見分け、需要を少なく見積もりにくくなります |
※定期発注=決まった間隔で必要な量を発注する方式、発注点方式=在庫が決めた量(発注点)を下回ったら発注する方式、受注発注=注文を受けてから発注する方式です。

結果の見方と、次にとる行動(表示の例)
| 表示の例 | 意味 | 次にとる行動の例 |
|---|---|---|
| 成熟度「上昇(年率+18%)」 | 季節の波を除いても、1年で約18%伸びている | 発注点と安全在庫を早めに引き上げる |
| 波動「周期(年)」山2回(3月、9〜10月) | 毎年3月と9〜10月に出荷が増える | 山の前に在庫を積み増す |
| 需要パターン「間欠」 | ときどきしか売れない | 在庫を持ちすぎない。受注発注も候補にする |
| 管理の優先度「1(AZ)」 | 金額が大きく、予測しにくい | 担当者が手をかけ、取引先と需要の情報を共有する |
| 品目区分「終売候補」 | 長いあいだ出荷がない | 残っている在庫の扱いを早めに決める |
このエクセルでできることの全体は、需要予測エクセルでできること12項目の一覧表にまとめています。
自社の品目がどう判定されるか、確かめてみませんか
需要の型を見分けるのでデータだけで需要予測ができる
結果を出せる3つの理由を、エクセルの関数(FORECAST・TREND)や予測シートとの違い、3つの物差し、サンプルデータでの判定例とあわせて解説します。
- 需要の傾向を正しく知るには、季節の波や一時的な乱れに惑わされずに、品目ごとの需要の型を見分けることが必要です。
- 需要の型を見分けるには、データの下ごしらえと、3つの物差し(需要パターン・需要の傾向・XYZ)が必要です。
- このエクセルは、その両方を自動で行い、品目ごとに合った予測方法と発注方式を選んでいます。
このエクセルは、過去の出荷数量の動きから将来を見積もる時系列分析で需要予測をします。
しかし、需要は、季節変動があったり、特定のイベントで需要が急増するなど様々です。
そこで、需要パターン(波動の有無)、傾向(増加や減少等)などを組み合わせて判断できるようにしています。
| 3つの物差し | 見ること | エクセルでの表示の例 |
|---|---|---|
| 需要パターン | どんな売れ方か(安定・周期・間欠) | 平準、間欠、周期(年)山2回(3月、9〜10月) |
| 需要の傾向 | 伸びているか、落ちているか(季節変動を除いて判定) | 上昇(年率+18%)、成熟、下降 |
| XYZ | 需要がどのくらい読めるか | X(予測しやすい)〜Z(予測しにくい) |
XYZは、在庫管理でよく使われるABC分析(金額の大きさ)と組み合わせて、手間をかける品目の順番(管理の優先度)を決めるのにも使います。
それぞれの物差しの判定基準は、需要パターン・需要の傾向・XYZ分析の判定基準でくわしく解説しています。
エクセルの関数・予測シートとの違い
エクセルには、需要予測に使える2つの機能が標準で備わっています。
- 関数:FORECAST(FORECAST.LINEAR)やTREND関数。過去の数値に直線を当てはめて将来の値を出します。
- 「予測シート」機能を使えば、過去のデータから予測値とグラフを作成する。
しかし、様々な需要パターンがあるので1つの数式で分析できないため、自分自身で最適な方法を選ばなければいけません。
| エクセルの関数・予測シート | この需要予測エクセル | |
|---|---|---|
| 予測のしかた | 1品目ずつ、自分で範囲を選んで計算する | すべての品目をまとめて、ボタン1つで分析する |
| 売れ方の違い | 同じ方法をすべての品目に当てはめる | 売れ方(安定・季節の山・ときどき売れる)に合わせて予測方法を選ぶ |
| データの癖 | 休日の出荷や欠品、入力ミスはそのまま計算される | 分析の前に自動で下ごしらえする |
| 予測精度 | 自分で答え合わせをしないとわからない | 過去のデータで答え合わせをし、当たり具合を表示する |
| 発注への生かし方 | 予測の数値だけが出る | 発注方式の推奨、見直し時期、管理の優先度まで示す |
サンプルデータでの判定例
同梱のサンプルデータでは、次のように判定されます。データの癖や売れ方の違いを、エクセルが見分けていることがわかります。
| サンプルの品目 | データの中身 | エクセルの判定 |
|---|---|---|
| 大口の注文が混ざる品 | 月によって量が大きく変わる | 需要パターン「変動」、XYZ「Z」、管理の優先度「1(AZ)」 |
| 春と秋に売れる品 | 3月と9〜10月に出荷が増える | 波動「周期(年)」で山を2回と表示 |
| 欠品していた期間がある品 | 約3週間出荷が止まり、明けに跳ね上がった | 欠品疑い「強」。その期間を需要ゼロとして扱わない |
| 入力ミスが1件ある品 | ふだん15個前後なのに、1日だけ「1500」 | 異常値「高」として理由つきで表示 |

自社の需要パターンを調べてみませんか?
需要予測の方法・予測精度が分かる
需要予測エクセルは、推奨する予測方法、予測精度(WAPE・バイアス)を推奨する機能があります。

需要予測の計算方法には、時系列分析法、移動平均法、指数平滑法、加重移動平均法などがあります。どれも「過去の実績の動きから、これからを見積もる」考え方です。このエクセルは、中小企業の発注で使いやすい次の方法から、品目ごとに合うものを選びます。
| 手法名 | 予測方法 | 向いている売れ方 |
|---|---|---|
| 移動平均法 | 直近数か月(3・6・12か月)の平均を予測にする | 安定して売れる品目 |
| 指数平滑法 | 新しい月ほど重く見た平均。最近の変化に早く追いつく | 安定、または量がばらつく品目 |
| 減衰トレンド付き指数平滑法 | 伸びや落ち込みも見るが、先の月ほど弱めて見る | 増加傾向・下降傾向の品目 |
| 季節指数法 | 基本の量に、その月の季節指数を掛ける | 季節の山・谷がある品目 |
| Croston法 | 「売れたときの量」と「売れる間隔」を別々に予測する | ときどき売れる品目 |
どの方法が合うかは、品目によって違います。
そこで需要予測エクセルは、直近3か月を隠して予測し、実績と比べる「答え合わせ」をして、偏りが小さく、いちばん当たった方法を選びます。
(答え合わせは、AIを使った需要予測でも使われている方法です)
答え合わせの結果は、WAPE(外れた量の合計÷実績の合計)とバイアス(多めと少なめのどちらに偏ったか)で測ります。
WAPEが20%以下なら「良好」、40%以下なら「可」、60%以下なら「注意」、それを超えると「予測困難」と表示するので、予測をどこまで信じて発注に使ってよいかがわかります。
予測には下限・上限(約80%の確率で収まる幅)も付きます。
※設定値は自社の許容範囲に応じて変更可能です
予測方法ごとの具体例や、MASE・予測の幅(下限・上限)の見方は、移動平均法・指数平滑法などの選び方と予測精度の見方で解説しています。
自社の品目は、どのくらい予測できるのか確かめてみませんか
自社に合わせて設定を調整できる
需要予測エクセルを自社で使いこなすために必要な3つのことを解説します。
「うちはこんなに単純じゃない」「業界的に難しい」「うちは特殊」「制約がある」「会社の考え方に合わない」。
そう感じるのは自然なことです。
このエクセルは一般的な考え方で作っているため、自社の事情に合わせた調整が欠かせません。
判定の基準はすべて「設定」シートで変えられ、特殊な品目は対象から外したり、船便などで定期発注しかできない品目は発注方式を指定したりできます。

- 数字の動きだけを見ていると知る:時系列分析なので、値上げや販促、取引先の増減といった外的要因は考えていません。現場の情報と合わせて判断します
- 自社の適正在庫の考え方を固める:欠品をどこまで許すか、在庫をどこまで持つかを決めるのは会社です
- きれいなデータを用意できる仕組み:品番の重複や返品の混入があると、結果も乱れます
よくいただく声ごとのエクセルとの付き合い方は、エクセルの需要予測の限界と自社に合わせた調整のしかたで解説しています。
まずは今あるデータで、どこまで使えるかを確かめてみてください
需要予測エクセルのよくある質問(精度・初心者・AIとの違い・必要なデータ)
需要予測をエクセルで行うときによくいただく6つのご質問に、在庫管理110番がお答えします。
需要予測は、エクセルだけで本当にできますか?
できます。このエクセルは、出庫データを入れて「分析を実行」を押すだけで、品目ごとの予測と判定まで行います。
関数を組んだり、グラフを作ったりする必要はありません。
エクセルの需要予測は、どのくらい当たりますか?
品目によって違います。
安定して売れる品目はよく当たり、ときどきしか売れない品目は当たりにくくなります。
このエクセルは、過去のデータで答え合わせをして、品目ごとの当たり具合(良好・可・注意・予測困難)を表示します。
初心者でも使えますか?
使えます。マクロもボタンも設定済みで、統計の知識は必要ありません。
「はじめての方へ」シートと、架空のサンプルデータも付いています。
AIを使った需要予測とは違うのですか?
このエクセルはAIではなく、移動平均法や指数平滑法などの統計的な時系列分析で予測します。
なぜその予測になったのかが見えるので、まず自社の需要の型を知りたいときに向いています。
需要予測には、どんなデータが必要ですか?
1行1出庫で「日付・品番・数量」が入ったCSVがあれば始められます。
販売管理や在庫管理のシステムから出力できることが多いデータです。
結果は、そのまま発注に使ってよいですか?
判定や予測は、過去の出庫データからの推定です。
将来を保証するものではないため、最終的な判断はご自身で行ってください。判定の理由も表示するので、確かめながらお使いいただけます。
マクロの安全性やデータの扱いなど、ほかのご質問への答えは、需要予測エクセルのよくあるご質問にまとめています。
疑問が解消したら、さっそく使ってみてください
本ファイルは瀬戸内scm株式会社の著作物です。ダウンロードした方が自社内で業務改善に使う場合に限り、無償でお使いいただけます。
転載・転用、商用利用(コンサルティングやセミナー等での利用、支援先を含む第三者への提供)は、事前の許可なく行うことを禁じます。
無断での利用を確認した場合は、証拠を保全のうえ、著作権侵害として法的措置を講じる場合があります。
ご利用条件の全文は、エクセル内の「ご利用条件」シートと、解説ページのご利用条件でご確認いただけます。
需要予測と発注の見直しが自社だけで難しいときはご相談ください

在庫管理110番では、適正在庫や在庫管理の仕組み作りを状況に合わせた4つの支援と、無料個別相談(1か月7社限定)をご用意しています。
| こんなとき | 在庫管理110番の支援 |
|---|---|
| 結果の読み方や、自社での使い方を相談したい | 無料個別相談(1か月7社限定) |
| 適正在庫の考え方を固めたい、発注のルールを見直したい | 在庫管理1dayコンサルティング |
| きれいなデータが毎月出てくる仕組みを整えたい | 成長する在庫管理システム |
| 在庫管理の考え方と進め方を体系的に学びたい | 在庫管理セミナー |
なお、無料個別相談は、一社一社のお話をじっくりうかがうため、1か月7社までとさせていただいています。エクセルの結果を手元にご用意いただくと、自社の状況を具体的にお話しいただけます。
欠品をどこまで許すか、在庫をどこまで持つかといった「自社の適正在庫の考え方」を体系的に学びたい方には、適正在庫の考え方を学べる在庫管理セミナーがおすすめです。




