手間がかからず簡単!ダブルビン(ツービン)発注方式のやり方

ダブルビン(ツービン)方式発注のやり方

    在庫管理アドバイザー岡本茂靖

    筆者:岡本茂靖(在庫管理アドバイザー、日本物流学会理事)
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    在庫管理110番代表。在庫管理、生産管理の実務経験を経て、瀬戸内scm株式会社を創業。500社以上の相談、コンサルティング実績を持つ。

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    在庫確認漏れで発注を忘れてしまい、欠品になってしまった・・・という経験はありませんか?  

     

    システムを導入すれば、発注漏れを防ぐことはできます。

    しかし、今すぐシステムを導入するのは、資金的にも時間的にも難しい・・・ こういう時は、ダブルビン方式の発注管理はお勧めです。

    なぜなら、システムも不要で、在庫数量を気にする必要もないからです。  

     

    この記事を読めば、ダブルビン管理の運用方法と注意点、さらにどんな物に適用して良いかがわかります。

    ダブルビン方式発注をうまく活用して、手間のかからない効率の良い発注を実現してください。  

     

    この記事で解説すること
    1. ダブルビン方式発注を採用する5つのメリット
    2. ダブルビン方式発注をするための準備と日常運用の方法
    3. ダブルビン方式発注が向いているもの、向いていないもの
    4. ダブルビン方式発注の注意点は、「1箱に入れる量」
    在庫管理アドバイザーに発注方法をアドバイスしてもらう

    ダブルビン方式はとにかく簡単な発注方法

    ダブルビンは、不定期・定量発注や簡易発注方式の一つです。 ※複棚方式、2棚方式、ツービン方式などと呼ばれる場合もあります。  

     

    ダブルビン(ツービン)発注方式の最大メリットは、とにかく簡単で在庫切れの心配がほぼないことです。

    具体的なメリットは、次の5点です。

    • 発注のタイミングがわかりやすい。
    • 在庫数の管理が不要
    • 在庫の入出庫を記録する必要が無い
    • 先入先出しが自然にできる。
    • 発注依頼も簡単

    ダブルビン方式発注の準備の仕方と日常運用の手順

    ダブルビン(ツービン)方式発注の進め方
    ダブルビンの手順

    1. 同じ大きさの入れ物(容器1、容器2)を2つ用意する
    2. 管理したいものを2つの入れ物に同じ量だけ入れる
    3. 容器1に入ったものから使う。
    4. 容器1が無くなったら、発注する。
    5. 容器2に入っているものを使う。
    6. 発注したものが納品されたら、容器1に入れる。

    4~6を繰り返します。 ただこれだけです。

    ブルビン管理が発注漏れが少なく、現場で運用しやすい理由は、入れ物がカラになったら発注する(在庫数を気にしなくても良い)という点です。

    発注点発注のように「在庫数が○○個になったら発注」と在庫数を気にする必要がないので、 ストックが無くなったら発注さえできれば、在庫切れになることはありません。  

    お勧めの運用方法

    私が、クライアントにおすすめしている現場でのダブルビン方式の運用方法をご紹介します。

    1. カラになった入れ物の置き場を決める
    2. カラになったら所定の場所に入れ物を置く
    3. 発注担当者が、決まった時間(例えば、朝一等)に確認して発注する

      上記の運用であれば、現場にも発注担当者にも負担が無く、かつ在庫切れも防げます。

    ダブルビン(ツービン)方式が向いているもの、向いていないもの

    ダブルビン方式発注のデメリットは、最大2倍の量を置くことになるため、在庫量が増えます。 したがって、次のようなものに向いています。

    • 単価が安い
    • 比較的小さくて保管場所を取らない
    • 発注リードタイムが短い

    具体的な例ですと、 メーカーでいえば、ネジやボルト、タイラップなどの小さくて単価の安いものに適用すると良いでしょう。

     

    逆に、次のようなものには向いていません。

    • 在庫数量をきちんと管理したい重要なもの
    • 単価の高いもの
    • 場所を取るかさばる大きなもの
    • 発注リードタイムが長いもの
    • 仕入先からの出荷のタイミングが決まっているもの

    入れ物に入れる量(唯一の注意点)

    ダブルビン管理での唯一の注意点は、1つの入れ物にどれだけの数を入れるか?ということのみです。

     

    入れ物に入れる数量は、「1日当たりの使用数量×発注リードタイム」が目安です。   ただし、在庫切れを防ぐために、1.2~1.5倍くらいを入れると良いでしょう。 たとえば、

    • 1日当たりの使用数量:10個
    • 発注リードタイム:5日

     

    一箱に入れる量は、単純計算で10×5=50個となりますが、 安全を見て、60~75個くらいと設定しても良いでしょう。

    発注ロットが、「1日当たりの使用数量×発注リードタイム」を超えている場合は、 そのまま1箱に入れる量にしても良いでしょう。  

    ダブルビン以外の発注方法

    全ての在庫をダブルビンで管理すると、間違いなく過剰在庫になります。

    管理する在庫の特性に応じて、適切な発注方法を選択します。
    発注方法は、大きく分けて4つの方法に分類できます。
    部品の発注方法
    今回、解説した発注は、不定期・定量発注の一種です。
    このほかの発注方法は、こちらの記事で解説しています。

    4種類の発注方式の解説と商品特性に合わせた方法の選び方

    まとめ

    ダブルビン発注方式は、在庫数量を気にせず、かつ在庫切れが防げるとても運用のしやすい発注方法ということをご理解いただけたかと思います。 ダブルビン発注方式の運用を軌道に乗せるコツは、次の4点です。

    1. 同じ大きさの容器を用意する
    2. カラになったら発注する
    3. 1つの容器に入れる量は、在庫切れしない量にする
    4. ただし、ダブルビン発注方式が合わないモノもあるので注意する

     

    在庫管理の基本を学ぶ、相談する

    今回は、ダブルビン発注方式を解説しました。  

    在庫管理をやっていくうえでまず大切なのは、 「こんな方法があるんだ!」と知ることです。  

    知らないことはいくら頭をひねっても出てきません。

    それどころか、自分のやっている方法が実は、あまり向いていない方法で返って自分自身を苦しめている場合もあります。

     

    そのうえで、ただ単に知識として知るのではなく、使いこなすためには、原理原則を理解してそれぞれのメリットとデメリットを認識すれば、様々なシーンで応用できます。

     

    残念ながら、表面的な知識だけを自分の持っている知識や、自社の業務を原理原則に当てはめて考えられる人はかなり少なく、 「うちでは使えない!」と短絡的に考えてしまうことが多いです。

    例えば、 今回解説した発注方式を、

    • 仕掛品在庫の管理
    • 生産指示に利用する

    といったような応用的な使い方も可能です。(どうすればよいか、想像できますか?)

     

    しかし、表面的にとらえてしまうと、「発注にしか使えない」と考えてしまいます。これは、「知っている」だけで「理解した」とは言えません。

    知識を知ったうえで、正しく原理原則を理解すれば、知ったノウハウを自社に当てはめられるようになります。

    結果的に、在庫管理の効率化と適正在庫につながります。

     

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