棚卸は、定期的に行わなければならない作業ですが、大変労力がかかります。
また必ずと言っていいほど、ミスが発生します。
- 棚卸にかかるコストを削減したい
- 棚卸にかかるムダな作業をなくしたい
- 棚卸で発生するモレ・ダブり・誤魔化しなどをなくしたい
棚卸でお悩みの在庫管理担当者は、少なくありません。
今回は、棚卸作業を時間をかけず効率的に実施する方法をお届けします。
ただ、効率的にするだけではなく、棚卸精度も安心です。
棚卸について、よりノウハウを身につけたい方は、こちらの記事もご覧ください。
☑実地棚卸とは|正しい方法を解説<棚卸しでよく起きる6大ミスを防ぐ>
☑棚卸差異とは|在庫数が合わない理由と改善ポイント、正しい計算方法
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目次
棚卸はコストと時間がかかる面倒な作業
棚卸は、とても手間が作業です。さらに棚卸期間中は、原則業務をストップします。
つまり売上(生産や販売)を作る時間を損失するということです。
そんな中で、棚卸作業は「正確に、しかもスピーディー、高い精度」でやる必要があります。
今回私がご紹介する方法を使えば、棚卸カウント作業がわずか1秒で終わります。
しかも、特別なシステムや道具は一切不要です。
棚卸作業をバーコードで効率化
棚卸作業の効率化で最初に思いつくのが、バーコードによる棚卸です。
バーコードによる在庫管理は私も強く推奨します。
棚卸の主な作業は、
- 数を数える
- 棚卸表に入力する
- パソコンに転記する
ですが、バーコードを導入すると3が無くなるので、棚卸作業の効率が格段に上がります。
バーコードによる在庫管理は以下の記事で詳しく紹介しています。ご活用ください。
☑「在庫管理」にバーコード・自動認識技術を活用する方法と注意点
棚卸で一番つらい作業とは?
実地棚卸で一番辛い作業は、「数量を数えること」です。
特に、ネジなどは数量が多いことが多くかつ大きさも小さな在庫です。
仮に1個当たり0.5秒で数えていたとしても1000個数えるのにかかる時間は500秒(約8分)です。在庫が10点もあれば1.5時間近くかかってしまいます。
数える時間も大切ですが、棚卸には「精度」が求められます。しかし、ずっと小さなものを数え続けていると集中力が切れて、数え間違いも起こりやすくなります。
数え間違えれば、怒られますし、再カウントが必要です。
バーコードは読み取りだけなので、どうやって「数量を数える」を楽にしてかつ短時間で正確にするかが、棚卸作業を効率化しながら精度を上げる鍵になります。
棚卸カウントを1秒で正確に終わらせる方法
実は棚卸のカウントをわずか1秒で終わらせる方法があります。
しかも正確です。数が多いとか小さくても制約はありません。
それは「重量を使う方法」です。
重量による棚卸は、精度もスピードも効率も上がる理想的な方法です。
重量によるカウントは、従来からありました。
計数機(カウンティングスケール)を使う方法です。
この機械の上に在庫を載せれば、数量を表示してくれます。
ただ、計数機(カウンティングスケール)のデメリットとして、計数機が高価なことが多く、台数を多く入れられません。また、カウントのたびに1回ずつ設定が必要な機種が多いので、棚卸待ちの時間が行列ができやすくなります。
私の紹介する方法は、この不満を解消する方法です。
重量を使うことは同じですが、エクセルとごく一般的なはかりを使うことで、安く待ち時間もない棚卸作業を実現できます。
重量を使った棚卸は応用範囲が広い
重量による棚卸カウントは、応用できる範囲が広い棚卸方法です。
重さを個数に換算することはもちろんですが、重さで在庫管理をしているものはそのまま重量計の目盛りを読むだけです。もちろん、液体に限らず粉体なども計測可能です。
例えば、長さで管理をする電線やホースのようなものも棚卸は、かなり面倒ですが、単位長さ当たりの重ささえわかれば、重量から長さに換算できます。
重量を使えば、棚卸作業が効率的になるだけではなく、通常では数えにくいものにも向いています。
重さによる棚卸カウントの原理
重さでカウントする原理は、「棚卸対象の単位当たりの重さから個数を出す」という方法です。
<重さによる棚卸カウントの例>
1個当たり7gのネジで、重量計で量った時の重さが7700gあれば、ネジの個数= 7700 ÷ 7 = 1100個になります。
容器の重さに注意
重量を使って棚卸作業をする時に一番注意しなければいけないのは、「容器の重さ」です。
重量計に載せるときに、ネジをそのままばら置きすると、回収が大変なので効率的ではありません。
容器に入れた状態で、カウントしたほうが効率的に棚卸作業を終えることができます。
計数機(カウンティングスケール)の場合は、容器を置いてゼロ調整をした後に、ネジを入れてカウントするので、作業工程が1回増えます。
そこで、私の方法では容器の重さを引くという方法を使います。
重量による棚卸カウントの方法の計算式は次の通りです。
棚卸数量=(総重量 – 容器の重量)÷1個当たり重量
高価な機械を買わなくても重量計があれば、どんなに数量が多い在庫でもわずか1秒あれば、棚卸カウントが終了します。
重さによるカウント精度は大丈夫か?
おそらく重量による棚卸で1点気になるのは「棚卸精度」ではないでしょうか?
しかし、これはほとんど気にする必要はありません。
製品には公差と呼ばれる寸法などわずかな誤差があります。
これが重量に影響しますが、公差はプラスマイナスがあるため、カウントする在庫数量が多くなればなるほど、統計的に誤差が吸収されます。
心配な場合は、重量によるカウントと実際に数をカウントをしてどれくらいの誤差があるかを調べてください。
誤差があったとしても1~2個だと思います。
むしろ私は、手作業でカウントする方がリスクだと思っています。
1000個とかの在庫をいくつも数え続けていると、集中力が切れます。
カウントミスのリスクはどちらかといえば、手作業の方が高いです。
(実際に棚卸差異の原因では、カウントミスが多いです)
また、重量カウントで計算した数量と実際の数量との誤差が大きな場合は、製品の公差が守られていない可能性の方が高いでしょう。製品の品質を疑った方が良いです。
エクセル重量換算棚卸表(無料ダウンロード)
在庫管理110番では、棚卸カウントの計算式を組み込んだ
エクセルで換算表「棚卸_重さカウント換算表」を作成しました。
➽棚卸_重さカウント換算表を入手する
すぐに使えるようになっていますので是非ご利用ください。
(ロックをかけていないので用途に合わせて改造して使ってください。)
ただし、重量による棚卸作業にはいくつかの注意点があります。ぜひ、ここから先もぜひご一読をお願いします。
棚卸作業で重量計を使うときの注意点
重量計は多種多様です。棚卸作業に向くもの、向かないものがあります。
重量計を選ぶポイントをまとめました。
重量計を選ぶ時には次の4点に注意します。
- デジタル式
- ひょう量:量るものの最大重量
- 目量:量るものの最小重量(精度)
- 積載面の大きさ
<デジタル式>
最後に目盛りはアナログ式ではなく、デジタル式を使いましょう。アナログ式は正確な数値を一目で読み取れません。必ずデジタル式の重量計を選びましょう。
<ひょう量>
量るものに対して、十分なひょう量か、範囲内かを確認します。
ひょう量が足りないのは問題外ですが、逆に余裕がありすぎても
いけません。
<目量>
ひょう量と目量は、相反関係にあります。
ひょう量(量れる最大重量)が大きい場合は、目量も大きくなる傾向です。
例えば、ひょう量が100㎏だと、目量は10~50gとかになります。
仮にネジ1個当たりの重さが5gだとすると、誤差が大きくなってしまいます。
少なくとも図るものよりは目量が小さな重量計を選びます。
私のお勧めの重量計は、ひょう量5~10kgの重量計です。
扱うものにもよりますが、汎用性は高いはずです。
もう少し軽い在庫であれば、ひょう量1kg、目量1になります。
<積載面の大きさ>
積載面の大きさですが、量りたいものよりも積載面が大きなものを選びましょう。量りたいものよりも量るものが大きな場合は、偏荷重がかかる場合があり、正確な重量計測ができない可能性があります。
棚卸カウントの都合上、積載面よりも少し大きなものを量らなければいけない場合は、容器などで重量計に均等に荷重がかかるように工夫しましょう。
重量計は精密機器なので使用方法を守って正しく使いましょう。
また、棚卸の前には必ず精度よく量れるかどうかをテストしましょう。
ズレている場合は、校正して直します。
在庫品の容器の選定方法
重量による棚卸カウントはできれば容器が合った方が良いでしょう。
容器は2パターンあります。
- 重量計に棚卸用の容器を用意して載せる
重量計の上にあらかじめ決まった棚卸用の容器を載せておき、その中に量りたい在庫を入れる方法です。
メリットとしては、容器の重さが変わらないことです。 - 在庫品が入っている容器を流用する
例えば、段ボールに梱包されているような場合は、段ボールのまま計量すれば棚卸できます。わざわざ容器から出して、重量計に載せる必要が無くなります。
この方法を採用する場合は、容器の重さが均一で安定していることです。
例えば、仕入れ先から納入された段ボールの中に緩衝材などが入っていれば、
緩衝材の量で重量が変化します。
弊社が一番お勧めする方法は、「会社で統一容器を決めて置き、その中に在庫を保管、重量計を使ってカウントする方法」です。この方法であれば、容器の重さは変化しません。
重量を使った棚卸作業の手順
弊社フォーマットを利用して棚卸作業を重量計を使ってカウントする手順をお伝えします。弊社フォーマット「棚卸_重さカウント換算表」のダウンロードはこちら
棚卸の準備(初期設定)
まず、単位重量当たりの重さを登録します。
シート「商品マスター」を開いて必要事項を登録します。最低限必要なのは、
1. 品番
2. 個数
3. 量った重さ(2の重さ)
4. 単位
です。
なお、容器を使う場合は、容器の重さも登録します。
先ほどご紹介した2パターンのいずれか1つを採用します。
パターンが混合しても良いですが、間違えないように工夫が必要です。
棚卸対象品が多いと初期設定に時間がかかります。
余裕をもって設定しましょう。
大変なのはこの作業だけです、そこから先は簡単になります。
根気よく設定しましょう。
重量を使って棚卸カウント(実地棚卸)
次に実際に重量を使って棚卸カウントします。
手順としては、
- 量りたいものに合った重量計を用意します。
- 量りたいものを持ってきます。
- 品番を「棚卸_重さカウント換算表」に入力する。
- 重さを量る
- 表示された重量を「棚卸_重さカウント換算表」に入力する。
量った重さ(黄色塗りつぶし)に重量計に表示された重量を入力してください。
容器が違う場合は、手入力で修正してください。
まだ「棚卸_重さカウント換算表」を入手していない方は下記より入手してください。
➽棚卸_重さカウント換算表を入手する
すぐに使えるようになっていますので是非ご利用ください。
(ロックをかけていないので用途に合わせて改造して使ってください。)
重量による棚卸カウントが向かないもの
重量計のよる棚卸カウントは万能ではありません。
向かないものもありますので、注意しましょう。
重量計による棚卸カウント作業に向かないものとは、
重量計で量れないもの、載せられないものです。
例えば下記のようなものです。
- 極端に軽いまたは重たいもの
- 重量計に載らない大きなもの
上記のようなものでも特殊な重量計を使えば、量れる場合もあります。
そういったものばかりであれば、特殊な重量計を導入するのも良いでしょう。
棚卸作業を0秒にする方法
今回は棚卸カウントを無くし、作業を効率化する方法をお伝えしました。
さらに棚卸作業自体を0秒にできるすごい方法があります。
「Iot重量計」を使って、普段の在庫管理に重量を取り入れる方法です。
Iot重量計を使えば、棚卸作業だけではなく、入出庫作業も無くなります。
棚卸日は、測定値をそのまま棚卸数として記録するだけです。
普段の在庫管理からも棚卸作業からも解放される究極の在庫管理
方法です。
棚卸に重量計が使える在庫であれば確実に導入可能です。
さらに確実に導入コストよりも管理コストを下げる事ができます。
在庫管理110番では、重量を使った在庫管理を提供しています。
棚卸作業の効率化をお考えの方は在庫管理110番までお問合せください。
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