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キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)とは、企業が資金を回収する効率性・スピードを示す資金繰りの財務指標です。
商品を購入して、販売し、代金を回収するという企業活動のプロセスにおいて、売上の入金よりも先に、商品の購入代金を支払う場合、そのタイムラグを埋め合わせるために、一定のキャッシュが必要になります。これを運転資金といいます。
運転資金が増えと、資金調達で新たに現金が必要になってきます。
逆に、運転資金が減れば、余分な資金調達が不要になり、少ない現金で経営できるようになります。
ここではCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の計算方法と、キャッシュ化速度を速める5つの方法について、
わかりやすく解説します。
資金繰りに困らない(資金繰りの予測ができる)経営を目指したい方は、ご活用ください。
キャッシュコンバージョンサイクルの計算方法
キャッシュ・コンバージョン・サイクルは、次の式で表します。
CCC = 棚卸資産回転日数(CIO)+売掛債権回転日数(DSO)-買掛債務回転日数(DPO)
欧米企業では四半期決算毎に算出するケースが多いようです。
年間を対象とした算出方法は、
- 売掛債権回転日数=年平均売掛債権÷年間売上高 ×365日
- 棚卸資産回転日数=年平均棚卸資産÷年間売上原価 ×365日
- 買掛債務回転日数=年平均買掛債務÷年間売上原価×365日
私はCCCを改善活動のための経営指標と位置づけています。
そこで、測定は米国企業(特にデル社)にならい、年度ではなく、四半期末をベースにしております。また在庫に関しても期首/期末の平均値でなく、四半期末を使用しています。
売掛債権回転日数=当該四半期売上債権÷当該四半期売上高×90日
棚卸資産回転日数=当該四半期末棚卸資産÷当該四半期売上原価×90日
買掛債務回転日数=当該四半期末買掛債務÷当該四半期売上原価×90日
キャッシュコンバージョンサイクルは短いほうが良い
CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の日数を短縮化すれば、事業を円滑に回すために必要な運転資金が少なくて済みます。
反対に日数が長くなればなるほど、多くの運転資金が必要になり、資金調達負担が大きくなり資金効率は低下、財務的な負担が大きくなります。
CCCが悪くなると、売上を上げるために多くの現金が必要になるので、ROIC(投下資本利益率)やROE(自己資本利益率)も連動して悪化します。
オペレーションサイクルとキャッシュサイクル
オペレーションサイクルとは、在庫(材料、製品)を購入から売上代金を受け取るまでの期間です。
ここには調達、製造、物流、販売部門が関係します。
これに対してキャッシュサイクルとは、購入代金を支払ってから売上代金を受け取るまでの期間です。
オペレーションサイクルとキャッシュサイクルは密接にかかわっていることが分かります。
製造業の場合、原材料を仕入れた時点でキャッシュアウトとなります。
その後も製造から販売になるまで販売促進費、販管費等とさらにキャッシュアウトが続きます。
小売業者に渡る前に卸業業者等が介在すると一般的に売掛金が発生します。
それを回収して初めてキャッシュインとなります。この一連のサイクルをいかに迅速に回せるかによって、企業は運転資金に差が出てきます。
CCCが長い企業は、売上が増えれば、増えるほど資金負担が重くなります。
CCC(キャッシュ化速度)を速めるためにやるべきこと
- 在庫日数を短くする (在庫削減)
- 売掛金回転日数を短くする(売掛金削減、取引条件の見直し)
- 買掛債務日数を長くする(取引条件を緩和)
キャッシュコンバージョンサイクルを改善する5つのポイント
そのためには、以下の5項目を検討する必要があります。
- 自社のCCC 現在のキャッシュ化速度を測定、同業他社との比較をし、立ち位置を確認する
- 四半期毎の状況を把握し、CCC中期目標を設定する
- 各々の状況を週単位で把握し、業務プロセス改革を断行する
- 四半期毎の結果を全社的に開示し、改善活動をレビュー
- CCC結果を営業C/Fの重要なドライバーとして位置付け、適切な評価を行うと同時に、経営陣と現場の一体活動として継続する
キャッシュコンバージョンサイクルについてもっと知りたい方へ
キャッシュコンバージョンサイクルは欧米では注目されていますが、日本ではまだまだなじみの無い指標です。在庫管理110番ではキャッシュコンバージョンサイクルに関する情報発信を積極的に実施しています。ご興味のある記事をご覧ください。
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