PSとは、「生産(Production)/購買(Purchase)」「販売(Sales)」「在庫(Inventory)」の頭文字です。
PSI管理とは、「仕入(製造)、販売、在庫のプロセスを適切に行うための管理手法」です。
ソニーを始めとするエレクトロニクス業界では、一般的に使われている手法ですが、まだその他の業界では活用が限定されているようです。
今回はPSI管理の専門家として、おもに以下のポイントを解説します。
- PSI管理の特徴
- PSI管理で失敗する企業の特徴
- 実務面・経営面での導入メリット
ただPSI管理を導入しても、どれだけシステムに費用をかけても、最大限の効果は発揮できません。
不適切なPSI管理をすれば、「ムダな在庫」や「滞留・過剰在庫」が増えることになります。
そこで、製造業の生産管理、生産計画、在庫管理の現場で活用するためのコツもご紹介します。
これからPSI管理を学ぶ方から、システムの活用を考えている方、導入したけどうまく行かない方まで、資金繰り改善のためのヒントを凝縮しました。
PSI管理に関する記事を公開しています。あわせてご覧ください。
目次
1.PSI管理における3つの特徴
PSI管理は、生産・仕入台数を決めることに使うのがもっとも効果的です。
とくに過剰在庫や滞留在庫でお悩みの企業では、有効なソリューションとなります。
計画立案に活用する方法は、こちらでシミュレーションをもとに説明しています。
PSI管理の特徴は、以下の3点です。
- どんな業界でも使える
- 高価なシステムは不要
- キャッシュフローの改善ができる
それぞれの特徴について見て行きましょう。
2.PSI管理はどんな業界でも使える!
PSI管理は、製造業で活用するマネジメント手法というイメージが強くあります。
製造業の生産管理、生産計画、在庫管理の現場では重宝されています。
しかし、実際にPSI管理を現場で使ってみると、
いわゆる在庫を扱う業種であれば、小売業や卸売業でも、幅広く応用できる役立つ管理手法です。
適正在庫を目指す企業は、導入する価値は大いにあるでしょう。
製造業・小売業・卸売業の仕入れや生産、販売計画については、以下の記事で説明しています。
2-1.高価なシステムは不要
PSI管理に関するシステムがシステム会社各社から発売されています。
しかし、スタートアップであれば、専用のシステムが無くてもエクセルだけで
PSI管理の仕組みが構築できます。
安価で手軽にも関わらず、PSI管理は欠品や過剰在庫などの
在庫管理に悩む企業にとって、強力なソリューションです。
現在、PSI管理を実務で使いこなした専門家である高井先生が監修した
エクセルでできるPSI管理を、無料で配布中です。ご活用ください。
3.PSI管理はキャッシュフロー(資金繰り)の改善ができる
PSI管理は、業務プロセスの管理だけではなく、キャッシュフローの
改善も期待できる管理手法です。
PSI管理は、単に現場のオペレーションフローの管理・改善だけではなく、
キャッシュフローとも密接な関係にあるからです。
通常、現場と経営では見る目線が違うので、お互いが理解し合えない
という問題がありますが、PSI管理は経営から現場まで、同じ指標で
管理できるので、見る目線が共通なので一気通貫で管理できます。
PSI管理を経営で実用する方法は、こちらをご覧ください。
4.本来のPSI管理ができていない企業が多い
PSI管理を導入しているという企業も、実は「やっている気」
になっているだけで、実は本来のPSI管理ができていない企業が多いようです。
PSI管理はシステム会社各社が、盛んにPRしていますが、
ツールとして導入されているだけで、活用できていません。
PSI管理システムを導入しても、失敗する企業の特徴について解説します。
4-1.PSI管理を活用できていない企業の特徴
PSI管理を担当者が仕入れ(生産)計画を作るための
材料仕入れや生産品の決定にのみ使っている場合は要注意です。
PSI管理システムを導入しても、担当者任せにしており、
全社的な展開ができていない企業は多いのではないでしょうか?
・PSI管理システムを導入しても、結果が伴わない企業が多い理由
アビームコンサルティングの調査によると、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、
導入した企業の9割近くが思うような成果を上げられていないとの結果を報告しています。(出所:日経ビジネス 2019年11月11日 RPA/AIビジネスカンファレンス2019 Fallを参考に改編)
その原因は、担当者レベルで取り組み「現場型」のアプローチにあると指摘しています。そのために、全社的な視点を持ってルール・制度の改革まで踏み込んで、業務の課題を発見する事であると分析されています。
PSI管理もまさにRPAと同じ問題が起こっています。
不適切なPSI管理を行うと、改善どころか問題が起きてしまう
事も珍しくありません。
5.不適切なPSI管理によって起こる4つの問題
PSI管理を導入しても、不適切なPSI管理だと改善ではなく問題が
起こります。経験上、次のような問題が起こります。
【1】欠品を避けるため仕入(生産)量を多くしてしまう
販売が予測を下回ると、在庫が増える原因になる。
本来の適切なPSI管理を行えば、在庫を減らせます。
【2】滞留・過剰在庫が増える
生産・販売中の商品のみにPSI管理をやっていると、在庫は放置され、製造責任、販売責任が不明確になったまま滞留在庫となり、評価損が発生します。
本来の適切なPSI管理を行えば、滞留品在庫も管理できるようになります
【3】うまくいく商品といかない商品が混在する
PSI管理を担当者任せにすると全体が見えず、本来PSI管理でできるはずの全体評価ができません。
本来の適切なPSI管理を行えば、ひとつの部署で使った指標がそのまま他部署でも使えるので全体評価できます。
【4】数量ベースでのみ評価している
社内でPSIツールを導入したが、経営上の効果が見えない。無駄な投資ではないか、問題視される本来の適切なPSI管理を行えば、現場の管理が経営判断にそのままダイレクトにつながります。
適切なPSI管理の1つは、全体最適の観点でとらえ、計画と実績を管理して、
適正在庫を実現することです。PSIによって予実管理する方法はこちらで詳しく解説しています。
6.PSI管理の本来のメリット
本来の適切なPSI管理をやれば、様々なメリットが得られます。
ここでは経営面・実務面から、2つのについてご紹介します。
6-1.経営面のメリット
指標をそのまま金額換算できます。
金額換算すれば、
いつ、どれだけ仕入・生産、販売、在庫するかを金額で見える化できます。
そのため、経営視点からリスクの早期発見が可能になります。
【1】滞留商品・個別商品の動きもキャッチできる
また、仕入や生産を終了した商品に対しても、状況を把握できるため、経営視点から営業、在庫管理の関係者にアラートをだせるようになります。
どの商品が問題あるか、金額と数量の両方から確認できるため、担当組織に対して適宜、アドバイスができるようになります。
【2】PSI管理は計画に落としこめる。
実績と計画の予実対比ができるので、管理会計としても活用できます。
管理会計については、以下の記事をご覧ください。
6-2.実務面のメリット
数値で客観的に管理されるので、実務者のKKD(勘、経験、度胸)に左右されることなく、客観的な状態からの判断が可能になる。
仕入、生産数量の決定もKKDではなく、客観的数値をベースに決定できるようになり、要因分析が可能になる。
さらに、PSI管理を計画に組み込むと、計画、見込み、実績のそれぞれが対比
できます。流れが見えるようになるため、計画の修正が効率的にできます。
【1】商品ライフサイクルの在庫管理ができる
商品ひとつひとつにライフサイクルが必ずあります。PSI管理を行えば、その商品が一体どのライフステージにあるのかをキャッチできます。
適切な手を打てるようになります。
【2】問題解決PDCAを実践できる
PSI管理を実施すると、問題が数値として見えるようになります。
問題発見(P)→ 見える化(D)→ 問題解決(C)→ 確認(A)
7.エクセルでPSI管理
高井先生が開発したエクセルでPSI管理ができる管理表を
無料でダウンロードできます。高価なシステムは一切不要、これでPSI管理を始めてみませんか?
8.PSI管理に関係する他の記事
この記事の執筆した高井先生はCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)
やPSI管理などに関する経験と深い知見を有しており、当サイトに数多くご寄稿いただいてます。
高井先生の他の寄稿記事一覧はこちらからご覧いただけます。
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9.PSI管理をもっと知りたい、導入したい
高井先生はソニーにて、実際にPSI管理を行い、多数のご経験を積まれ
実績を残されています。
PSI管理についてご興味を持ち、
もっと知りたい、自社に導入したいというかたはお気軽にお問い合わせください。
はじめてPSI管理を導入される場合は、プロへの相談がおすすめです。ノウハウに精通してることはもちりん成功事例・失敗事例にも詳しいので、スムーズな導入が実現します。
10.PSI管理に関する記事
PSI管理について、より詳しく学びたい方は、ぜひ関連記事もお役立てください。