在庫管理システム提案・説明を受ける際に気を付けること

現在導入している在庫管理システムに何らかの不満を持っている人は、75%もいる・・・

という調査結果があります。

在庫管理システムへの不満

この中で特に問題なのは「業務フローに合っていない」です。

なぜこのようなことが起こってしまうのでしょうか?

在庫管理業務はIT化、システム化との相性も良く、生産性の向上のためにも、導入は強くお勧めします。

今回は在庫管理アドバイザーの視点から、在庫管理システムの導入に失敗せず成功し、混乱せずにスムーズに運用までに持っていける方法を解説します。

在庫管理システムの導入や入れ替えをする前に気を付けるべき5つのこと

導入実績の多いシステム会社は、困っている人に刺さるポイントを良く心得ています。特に注意してほしいのは、次の3つです。

  1. 自動化に飛びつかない
  2. 見栄えの良さに飛びつかない
  3. 設定すれば簡単にできるに騙されない
  4. 帳票やバーコードが作れますよをスゴイと思わない
  5. 豊富な機能に目を奪われない

システム導入で発注や業務を自動化できますよに飛びつかない

在庫管理業務において、大きな負担になっているのは発注業務です。また、発注業務は適正在庫(欠品を防ぐ、過剰在庫を防ぐ)を実現するためにもとても重要です。

発注の自動化で一番多いのは、「発注点に達したら、自動で発注する」という「発注点発注」機能です。

自動化はとても便利な機能ですが、その機能の性能を100%引き出すためには、適切な発注点を設定することです。

適切な発注点の設定無くして、適切な自動発注は実現できません。

ちなみ私が相談者にアドバイスする時、自動発注はおすすめしていません。

その理由は「自社の管理レベルを知る」をご覧ください。

見栄えの良さに飛びつかない

見栄えとは、グラフや表が自動で生成される機能のことです。

人間はビジュアルで訴求されることに弱く、折れ線グラフや円グラフが自動で作られたり、画面に並んでいると、「スゴイ!」と思ってしまいがちです。

大切なのは、見栄えが良い機能ではなく、自社に必要なデータをグラフ化、集計できることです。

ちなみに私が相談者にアドバイスする時、グラフや集計表は後から考えればよいとお伝えしています。

設定すれば簡単できるに騙されない

こういったことは、さらっと説明されて気付きにくいです。

実は、在庫管理システムの導入で最も大切なのは、設定と設定値の見直しです。

この点を甘く見て、初期設定で大失敗したり、いつまで経っても設定が終わらない・・・ということが良くあります。

ちなみに私が相談者にアドバイスする時、現状をヒアリングしてで設定値がない、設定値があっても見直しができていない場合は、

導入をお勧めしません。

その理由は「自社の管理レベルを知る」をご覧ください。

帳票やバーコードが作れることをスゴイと思わない

システム導入をするユーザーの傾向として、視覚的にわかりやすいものをスゴイと思ってしまう傾向があります。

デモでプリンタを動かして、サンプル帳票を出しただけで「おおー!!スゴイ」と歓声が上がることもあります。

しかし、システム的に考えると、帳票フォーマットやバーコードを作ることはさほど難しくないのです。

バーコードやQRコードは、エクセルで作成可能です。(バーコードやQRコードをエクセルで作る方法

バーコードやQRコードを生成できることを売りにしているようなシステムは導入すべきではないでしょう。

豊富な機能に目を奪われない

あれもできます、これもできます、、というのはシステム販売の常套句です。

在庫管理システムで大切なのは、機能の豊富さではなく、自社の業務フローへの機能の適合度です。

在庫管理も100社あれば100通り。豊富な機能ではカバーできません。また、実際に利用するユーザーにとっても豊富すぎる機能はかえって運用の障害になります。

その理由は、覚えやすく誰でも使えるシステムでご説明します。

在庫管理システムは、業務フローのツールであることを理解する

システムは業務フローを扱うツールです。

例えば、穴をあける機械といっても

どんな素材に穴をあけたいのか、どんな大きさの穴をあけたいのか、1時間あたりどれくらいの数の穴をあけたいのか・・・

という用途によって選ぶものが変わります。

業務フローが変われば、在庫管理システムに必要な機能も変わります。

したがって、まずユーザーがシステム導入前にやるべきなのは、現在の業務フローの把握です。

自社のことですが、意外と業務フローを書くというのは難しいものです。

しかし、このプロセスを面倒がって省くと「業務フローと合わない」使えないシステムになります。

自社の管理レベルを知る

業務フローとともに把握しておかないといけないのは、自社の管理レベルです。

  • 業務を自動化できますよ
  • 設定すれば簡単ですよ

を正しく機能させるためには、

  1. 設定ができていること
  2. その設定を適切な時期にメンテナンスすることができること

設定はシステムがするものではなく、人間がするものです。

発注点で発注を自動化できますよ!

と言われても、発注点を決めるには、少なくとも

  • 発注ロット
  • 発注リード

が決まっていることが条件です。

どちらか一方でも決まっていないと発注点は決まりません。

また、最初に決めた発注点はずっと同じではいけません。

例えば、アイスクリームなどの季節商品であれば、夏と冬の需要は明らかに違うでしょう。

つまり少なくとも季節の変わり目に、発注点をメンテナンスして更しないと、過剰在庫や欠品の原因になります。

残念ながら自動発注のような便利機能を使いこなせていない企業は圧倒的に多いです。

だいたいの場合、システムを導入した直後に自動発注を試したものの、欠品や過剰在庫が多発・・・

その結果止めるということが多いようです。

管理レベルが至っておらず、導入したものの使えていないことが多い機能は、次の3点です。

  1. 自動発注
  2. 生産計画(とそれに付随する所要量計算)
  3. 原価管理

これらの機能を導入したい時は特に気を付けてください。

弊社がヒアリングするときは、導入したい機能で設定やメンテナンスが必要なものは、必ず現在のオペレーションを確認するようにしています。

導入に失敗せず、満足できる在庫管理システムの特徴

在庫管理アドバイザーが思う良い在庫管理システムとは、

  1. 覚えやすく、誰でも使うことができる
  2. データが利用しやすいこと
  3. 将来を見据えたアドバイスがもらえること

覚えやすく誰でも使えるシステム

システムに搭載された機能は、できるだけ少なく、自社に必要なものだけが入っているものを選定します。

機能が豊富なら、「いつか使いたいと思った時に使えるのでは?」と思うかもしれませんが、実際にはほぼ使いません。

むしろ、メニューやボタンが増え、システム画面が複雑になるので、覚えられず使いこなせなくなります。

ただ、今は不要だと思っていても将来のために、今やっておいた方が良いことも実はあります。

その見極めができるかどうかが、システム会社の腕の見せ所だと私は考えています。

データが利用しやすいこと

システムの機能は見た目や自動化がユーザーにとってわかりやすいため、システム会社の営業トークにも使われやすいです。

しかし、業務の効率化と同じくらい大切なのは、データの活用です。

在庫管理の重要な業務として、適正在庫の維持(欠品や過剰在庫の防止)があります。

その際は、エクセルやBIツールを活用してデータを様々な角度から分析することになります。

その際に使うデータは、在庫管理システムから取り出して使うことが多いでしょう。

しかし、残念ながら既存のシステムには、

  • データの抽出がしづらい
  • 抽出したいデータが取れない
  • データを抽出できる期間が決まっている

といったような問題があり、データを利用しづらくなっています。

データの利用の重要性は、導入当初ではユーザーが気づかないため、システム会社が説明しないことも多いです。

(システム会社がデータの利用というところまで頭が回っていないこともあります)

システムでできないこと、取れないデータをわざわざエクセルで別管理をする・・・といった残念なことも起こります。

システム会社は業務経験が無い

なぜ、このようなことが起こるのでしょうか?

実は、在庫管理システムを開発、提供している会社の担当者の多くは、在庫管理業務をやった経験がありません。

簡単に「設定すればできる」といいますが、設定値を決めたり、適正な値に維持することがどれだけ難しいか・・・

ということを知りません。何度でも「できます、やれます」という会社はあまり信用しない方が良いでしょう。

逆に良いシステム会社は、

  • 現在の業務フローの中で直したが方が良いことをはっきりと言ってくれる
  • 現状の管理レベルだとシステムの機能を生かすのが難しいことを伝えてくれる
  • システムで得られたデータの活用まで見据えた提案をしてくれる

といった会社を選ぶと良いでしょう。

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