発注方法
発注方法には基本的に大きく分けて定期発注と定量発注があります。
発注方法は、取扱い品目の特性や使用状況、サプライヤーとの関係、発注事務効率など様
々な要因を考慮したうえで、決定します。
発注の際に必要な情報
一般的に発注数は、以下のような
式で表すことができます。
発注数=現在庫数+発注残-安全在庫数-出庫予定数
発注数を決める時に必要な情報は、
以下の4点です。
- 在庫
- 発注残
- 発注リードタイム
- 出庫予定(需要予測)
このうち、出庫予定数は発注リードタイム期間中の出庫予定数量です。
定期発注とは?
定期発注とは、発注する時期が決まっている発注方法です。
例えば、毎月15日に発注、毎週火・木に発注といった具合です。
定期発注にすると、決まった時に発注を出すので、
発注の時に必要な情報を集めます。
決まった時期に作業を行うので、仕事のスケジュールの
立てやすくなります。
しかし、定期発注をした時の実質のリードタイムは、
次回の発注までの日数+発注リードタイムに
なります。
つまり、需要予測のブレや不良などがあったとき、
リードタイムが長くなってしまう可能性があることと、
発注に必要な情報を決まった日しか集めないため、
在庫の変動に気づかないというデメリットがあります。
定量発注とは?
定量発注は、毎回決まった量を発注する方法です。
発注時に発注量を計算する必要が無く、事務処理が
簡単で効率の良い方法です。
しかし、発注量が一定のため、需要変動を考慮しなければ、
余剰在庫になったり、欠品状態になることがあります。
少なくとも1か月に1回以上、定期的に発注数を見直しを行わないといけません。
4つの発注方法
定期発注と定量発注を組み合わせると発注方法のパターンは4種類になります。
取扱い品目、それぞれの発注方法メリットやデメリットを考慮したうえで、採用します。
難易度順に並べると、次のようになります。
- 定期・定量発注
- 不定期・定量発注
- 定期・不定量発注
- 不定期・不定量発注
定期・定量発注
定期・定量発注とは、決まった時期に決まった量だけ発注する方法です。
需要予測や発注量を考慮する必要もないので、コンピュータは一切不要です。
事務処理も簡単、現場だけでも運用できる方法です。
定期定量発注方法を採用してよい品目は、以下のような
条件を備えていることが必須です。
- 出庫数が安定していること
- 比較的安価な部品
- 発注リードタイムが短い
具体的な品目としては、汎用的でありかつ安価なネジやボルト等に向いています。
発注数量は、欠品しないように発注リードタイム期間中の出庫予定数を
とします。
また、この方法は需要を全く考慮しないため、
- 過剰になっていないかどうか
- 少なくなっていないか
を定期的に在庫数をチェックすると良いです。
最低でも1か月に1回を目安に実施するとよいでしょう。
不定期・定量発注
不定期・定量発注は、発注数量に達したときに発注を
出します。
いわゆる発注点発注です。
発注点とは、発注する基準になる数量のことです。
この発注方法は、発注点の設定がポイントです。
発注点の計算方法はこちらページで詳しく解説しています。
発注点発注方式やかんばん、ダブルビン発注がこの発注方法の代表例です。
この発注方法も在庫管理システムを導入しなくても現場で実施できます。
ただし、定期・定量発注とは違い、発注点になったことを見逃してしまう
リスクはあるので、できればシステムを導入した方が良いでしょう。
また、需要に基づいて、発注点の定期的な見直しが必要です。
【在庫管理システム導入に関する記事】
定期・不定量発注
定期・不定量発注は、決まった時期に必要な数量を発注する方式です。
先ほどご紹介した2つの発注方法は、システムが無くても現場だけで
運用できますが、この方法はシステムを導入した方が良いです。
発注時に必ず4つの情報が必要です。
- 最新の在庫数
- 最新の発注残数
- 最新の出庫予定(需要予測)
- 発注リードタイム
1点1点計算するのは大変なので、通常はコンピュータを使うことが多いです。
特に製造業の場合は、1つの製品の対してたくさんの部品や原材料が必要なので、
MRPのような方法を使用することをお勧めします。
MRPについて詳しく見る
毎回、データを集めて計算を行うため、在庫が増えず、減らしやすい方法です。
次のような部品に適しています。
- 重点的に管理したい
- 比較的高価
- リードタイムが長い
- 在庫を減らしたい
不定期・不定量発注
不定期・不定量発注とは、場当たり発注とも言われています。
在庫管理が全くできていない会社が「勘」で発注する時の発注方法です。
しかし、システムを導入してシステマティックに行えば、この方法は
在庫を極限まで減らせる究極の発注方法です。
発注する時期も数量にも制約が全く無いので、
「必要な物を必要な時に必要なだけ」
発注することができます。
しかし、常に在庫や使用状況をチェックして、需要予測も
日々更新しなければいけないので、発注作業に相当な負担が
かかります。
情報がリアルタイムで収集できる環境を整えて、コンピュータ
を使わないと難しい発注方法なので、それなりのしくみと投資が
必要です。
不定期発注の注意点
不定期発注ができる条件としては、
- 発注先(仕入れ先)がいつでも発注を受け付けてくれる
- 輸送手段がいつでも出発できる(リードタイムを守れる)
という2つの条件が必要です。
上記の条件があるので、船便を使って仕入れているものは、定期発注を
せざるを得ないでしょう。
安全在庫
最後に安全在庫についてご説明します。
安全在庫は見積もっていた出庫予定が上振れした際に欠品を防ぐために
設定します。安全在庫についてはこちらのページをご覧ください。
在庫管理に関するお問合せ
在庫管理システムを導入したい、発注方法の決め方がわからない、発注作業をもっと楽にしたい
発注方法に関するご質問・ご相談はお気軽に在庫管理110番まで。
ささいなことでもお気軽にどうぞ!