製造の現場において、過剰在庫・過小在庫にお悩みではないでしょうか。
作りすぎのムダや販売の機会損失を出さずに「必要な分だけ作る」のは非常に難しいですよね。
そんな問題を解決するのが、トヨタ生産方式の「ジャストインタイム(JIT)」です。
「必要なものを、必要なときに、必要なだけつくる」という原則で、生産効率を高める手法として世界中で知られています。
ジャストインタイムを現場に導入するには、考え方を正しく理解し、自社の身の丈にあった改革をすることが重要です。
特に中小企業の場合、大企業の形をまねて導入しても、かえって生産効率が落ちてしまいます。
本記事では、ジャストインタイムの基本から、メリット・デメリット、中小企業での導入で失敗しないためのポイントまで、わかりやすく解説します。
自社に合った、効率的な仕組みづくりを進めるためのヒントとして、ぜひ最後まで参考にしてください。
- ジャストインタイムの基本
- ジャストインタイムのための手法「かんばん方式」の仕組み
- ジャストインタイムのメリット・デメリット
- ジャストインタイム導入のための前提条件
- 中小企業でジャストインタイムを導入するためのポイント
- 中小企業でジャストインタイムを導入した事例
- ジャストインタイムで悩んだ時の相談先
目次
ジャストインタイム(JIT)の考え方・仕組み・由来
まずは、ジャストインタイムの根幹となる考え方や仕組み、由来を解説します。
中小企業がジャストインタイムを導入するためには、特にこの考え方を理解しておくことが大切です。
「必要なものを、必要なときに、必要なだけ」生産する仕組み
ジャストインタイムとは、「必要なものを、必要なときに、必要なだけ、流れるように停滞なく」生産・調達する生産管理の思想です。
在庫を極限まで減らしてムダを徹底的に排除し、生産効率を上げることを目的としています。
具体的な仕組みではまず、生産ライン中の各工程が、必要最小限の部品のみあらかじめ確保しておきます。
そして、後工程が消費した分(売れた分)だけを前工程に引き取りに行き、前工程は引き取られた分だけを補充生産します。
これにより、注文に対して短いリードタイムを維持しつつ売れる分だけを作る、ムダのない生産活動を目指します。
スーパーマーケットから着想を得たトヨタ生産方式(TPS)の柱
ジャストインタイムは、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎氏が提唱した「トヨタ生産方式(TPS)」の2大柱の1つです。
その具体的な仕組みのヒントとなったのが、アメリカのスーパーマーケットでした。
スーパーマーケットでは、顧客が「必要な商品を、必要なときに、必要なだけ」棚から取って購入します。
そして店のスタッフは、売れて減った分だけを棚に補充します。
これを工場の生産ラインに応用し、「後工程(顧客)が引き取った分だけ、前工程(店)が作って補充する」というジャストインタイムの仕組みが確立されたのです。
なお、ジャストインタイムと並ぶもうひとつの柱として、異常が生じたらすぐに生産ラインを止めて不良品の発生を防ぐ「自働化」があります。
トヨタ生産方式についてはこちらの記事でも解説しています。
参考:中小企業向けリーン生産方式導入|無理のない在庫&コスト削減を実現
ジャストインタイムのための手法「かんばん方式」
「ジャストインタイム」とセットでよく使われる言葉が「かんばん方式」です。
かんばん方式は、ジャストインタイムを現場で具現化するための手法として使われています。
「かんばん」とは、製品名、品番、保管場所、数量などが書かれた作業指示書(カード)を指します。
現場で使うかんばんは、「仕掛けかんばん」と「引取りかんばん」の2種類です。
後工程では、部品を消費する際、部品についている引取りかんばんを外し、そのかんばんを前工程へ持って行きます。
前工程に着いたら、そこにある部品から仕掛けかんばんを外し、持って行った引取りかんばんを代わりにつけて後工程へ戻ります。
前工程では、外された「仕掛けかんばん」に記載されている数量だけを生産し、生産した部品に再度仕掛けかんばんをつけて置いておきます。

このように、かんばんは生産や運搬の情報伝達の役割を果たしており、これにより滞りなく過剰生産が防止されます。
ジャストインタイムのメリット
ジャストインタイムを導入すれば、現場の生産効率が向上します。
ここでは、そのメリットを具体的に解説します。
過剰在庫の解消と保管スペースの削減
ジャストインタイムの最大のメリットは、工場内にあふれる仕掛品や部品などの過剰在庫を削減できる点です。
前工程は後工程が消費した分しか作らないため、必要以上の在庫が生まれません。
売れる分だけを作れば、棚に眠るデッドストックはなくなります。
これにより、在庫を維持するためにかかっていた人件費や光熱費、品質劣化による廃棄コストなどの管理費を大幅に削減できます。
さらに、在庫で圧迫されていたスペースが空くため、工場内の動線の改善も可能です。

トヨタ生産方式で定義されている「7つのムダ」においても、作りすぎのムダは在庫・動作・運搬などのムダにつながる最悪のムダとされています。
ジャストインタイムはこの「作りすぎ」を無くすため、在庫のムダがなくなり、そこから連鎖的にさまざまなムダを排除できるのです。
参考:7つのムダの具体例と対策
不良リスクやトレンド変化による影響の最小化
ジャストインタイムでは必要な量しか生産しないため、不良や廃棄などの被害を最小限に抑えられます。
トヨタ生産方式では、不良品を後工程へ流さないという「自工程完結」の考え方が前提にあるため、不良品が次の工程へ進むことは基本ありません。
しかし、万が一ある工程で設計ミスや根本的な加工不良が発生した場合、すでに作ってしまった製品はすべてが不良品(廃棄物)になります。
また、市場のトレンド変化や顧客からの急な仕様変更があった場合も同様です。
その状況でも、在庫を最低限しか持たないことで廃棄を最小限に抑えられ、修正や変化にも柔軟に対応できます。
なお、不良の発見や対策が遅れれば、大企業のリコール問題などのように、ジャストインタイムであっても大量の不良が発生してしまいます。
生産の同期化によるムダの排除と作業効率の向上(リードタイムの短縮)
ジャストインタイムを導入しようとすると、必然的に「生産の同期化」が必要になります。
生産の同期化とは、生産ラインの全工程、サプライヤー、物流会社などの関係各所が同期し、まるで1本の川のようにスムーズな流れで生産することです。
一般的に、製造業における生産リードタイムの約60%以上は「停滞」というムダな時間だと言われています。
これは、例えば「月末の納期に間に合わせるために特急で生産をすると、なぜか普段の半分以下の時間で完成する」といった事象が多いためです。
在庫管理110番が実際に調査したある会社では、生産リードタイムの80%がムダだったという事例もあります。
生産を同期化させることで、工程間・企業間でのムダな待ち時間がなくなり、結果として生産リードタイムの大幅な短縮が実現できます。
ジャストインタイムのデメリット
ジャストインタイムはムダを削ることで効率を上げる生産方式ですが、これにより生じるデメリットも存在します。
急な需要変動やトラブルによる在庫切れ
ジャストインタイムはムダな在庫を極限まで削ぎ落とすため、急な変化やトラブル発生時の欠品リスクがあります。
予期せぬ需要の急増、設備の故障、自然災害や物流の乱れによる部品供給の遅れなどが発生して在庫切れを起こすと、販売機会の損失につながります。
在庫にバッファがない分、一つの小さなトラブルが工場全体のラインストップに直結するリスクをはらんでいるのです。
なお、このリスクを避ける方法として、安全在庫(予備の在庫・バッファ)を確保しておくのが有効です。
ジャストインタイムを導入する実際の現場では、ある程度の安全在庫を確保しています。
具体的には、かんばんの発行枚数を必要量以上に増やすことで、現場に流れる在庫の総量をコントロールします。
予期せぬ事態にも対処できるよう、あらかじめリスクを見込んだかんばんの枚数を計算し、ルール通りに運用することが大切です。
安全在庫の計算方法は以下の記事で紹介しています。
参考:【欠品は最大の損失】利益を守る安全在庫の計算式と運用の鉄則
難易度の高い導入・管理
ジャストインタイムを導入して管理していくためには、高度な技術が必要です。
ただ「在庫を減らせ」と命令するだけでは、現場が混乱し、かえって生産効率が落ちてしまいます。
ジャストインタイムを導入する前提としては、後述する生産の平準化や、作業の標準化、取引先との協力関係が必要不可欠です。
導入後も、オペレーション維持のための定期的な振り返り・改善が欠かせません。
大きなコストがかかるため、生産ラインの流れが整いきっていなかったり、人員や資金が足りなかったりする中小企業での導入難易度は、非常に高いです。
小ロット発注による仕入れコストの増加
必要なときに必要なだけ生産するためには、生産に必要な部品の注文が頻回かつ小ロットになります。
例えばトヨタ自動車では、部品の納品を「◯月◯日」という日単位ではなく、「◯時◯分」という時間帯まで細かく指定して1日に何度も発注・納品させる仕組みを敷いています。
しかし、このような小ロットかつ高頻度の購入をそのまま真似しようとすると、部品1点あたりの単価が上昇したり、配送回数が増えて物流コストが急増したりするデメリットが生じます。
自社の規模や発注力に見合わない頻回発注は、コスト面での大きな打撃となります。
下請け業者の負担増加
ジャストインタイムの導入は、自社だけでなく下請け会社にも影響します。
ジャストインタイムのため、部品の仕入先に少数発注を繰り返せば、相手に生産や出荷の負担がかかります。
下請け業者に過剰な在庫を持たせたり頻繁な配送を強いたりすることは、関係性の悪化や取引停止といったリスクを招きかねません。
自社だけで完結させるわけにいかない点も、ジャストインタイムの難しいポイントです。
【中小企業でそのまま導入は危険】ジャストインタイム導入の前提条件
ジャストインタイムの導入は、デメリットでも解説した通り簡単ではありません。
特にさまざまなものが足りていない・整っていない中小企業では、形だけで導入しようとするとかなりのムリが生じます。
実際、中小企業の実情を知らない大手出身のコンサルタントが、ジャストインタイムを無理に導入した結果、現場がひどく混乱してしまったケースもあります。
ジャストインタイムの導入を成功させるためにはまず、以下の前提条件の達成が必要です。
ち密で平準化された生産計画
ジャストインタイムを成立させるためには、生産量や生産品目が「平準化」されていなければなりません。
平準化とは、均等にするということです。
1時間や1日ごとに作る量にバラツキがなく、作る製品も偏らないようにします。
もし平準化なくジャストインタイムを導入すると、決められた分だけの在庫を作れなかったり、特定の工程にだけ負荷がかかったりしてしまいます。
なお、平準化するには、現場の作業や手順が「標準化」されていることが必要です。
作業者によって作るスピードや品質がバラバラな状態では、計画を立ててもその通りに進みません。
業務内容をマニュアル化し、誰でも同じ結果を出せるよう標準化して初めて、「○時間で製品Aを○個作る」といった生産量や生産品目の平準化ができます。
しかし、この標準化と平準化を進めるには、時間と労力がかかります。
人手不足の中小企業では完璧にできていないことが多いため、その状態でジャストインタイムを導入するのは危険です。
平準化・標準化については以下の記事でも解説しています。
参考:ライン生産方式とは?セル生産方式との違いやメリット・デメリットを解説
参考:手順書で業務を標準化する方法 | 属人化の解消と技術の継承を実現
不良率が低く安定した生産工程
ジャストインタイムを導入するには、不良率が極めて低く安定している必要があります。
在庫のバッファを持たないジャストインタイムでは、不良品の発生を想定していません。
そのため、もし10個必要な製品のうち1個が不良品になれば、後工程で引き取る部品が足りず、ラインがストップしてしまいます。
不良率を低くするには、恒常的な機械のメンテナンスと作業ミスが起こらない仕組みが必要です。
しかし、これには潤沢な資金と正確なタクトタイムを守る作業品質、それを支える高い生産技術がなければなりません。
そのための機械やシステムの導入、丁寧な教育体制の用意が難しい中小企業にとっては難易度の高い条件です。
また、不良率を抑えるためには、不良発生時にラインを止める勇気も必要です。
トヨタの工場では、各工程に紐が設置されており、作業者が異常や不良に気づいた時にその紐を引くと、工場全体に知らせるアンドンが点灯し、ラインが停止します。
その場ですぐに原因を解決し、不良を隠さずに小さなうちに摘み取ることが、結果として工程全体の不良率を下げることにつながります。
参考:不良率の計算・分析|現場で使えるエクセルでの管理・改善方法
参考:アンドンで現場を「見える化」|導入方法や運用のコツを徹底解説
取引先との協力体制
自社の生産計画に合わせてコンスタントに部品を納入してもらうには、部品メーカーや物流業者との信頼関係と協力体制が必要です。
しかし、中小企業においては自社の購買力(発注パワー)が弱く、大手のようにサプライヤーに対して強い発言権を持てないケースがほとんどです。
また、自社の規律や管理体制が整っていないにもかかわらず、取引先に対して一方的に「ジャストインタイムに対応しろ」と無理な要求を押し付けてしまうケースもあります。
自社の発注予測がいつもブレている状態で相手にだけ小ロット短納期発注を繰り返せば、取引先はついてこられなくなります。
【中小企業で実践】ジャストインタイム導入のポイント
中小企業でジャストインタイムを導入する際は、ジャストインタイムという方式そのものを目的にしてはいけません。
大切なのは、ジャストインタイムの「考え方」を取り入れることです。
以下のポイントを意識して導入を進めてみてください。
「在庫のムダ」の定義と可視化から始める
まずは自社の工場において、どこにどれだけのムダな在庫があるか可視化しましょう。
ジャストインタイム方式は、「ムダを極限まで削る方式」です。
そのため、そのムダを可視化する必要があります。
しかし、中小企業ではそもそも「何がムダなのか」が決まっていないことがあります。
その場合、「安全在庫は1日分の出荷数とする」といった明確な基準を定義してください。
すると、1日分を超えた数がムダであると定義できます。
その上で、ムダの発生量を数字で可視化し、現場にその事実を正しく認識してもらうことが、ジャストインタイムのスタートラインです。
以下の記事では、在庫のムダを含む現場の「ムダ」の発生理由や改善方法を解説していますので、ぜひこちらも参考にしてください。
参考:【3M(ムダ・ムリ・ムラ)とは?】発生理由と改善方法を徹底解説
必要な部分にだけ取り入れ、小さな成功体験を積み重ねる
トヨタ自動車株式会社のような、完璧なジャストインタイムを最初から目指してはいけません。
中小企業でジャストインタイムを導入する際は、ムダの多い特定の工程や、少し緩めのルールから試し、「小さな成功体験」を積み重ねることが大切です。
例えば、最初はうまくいかないことを見越して多めに在庫を確保した上で、手書きのかんばんを作り、アナログのかんばん方式を試してみましょう。
小さく始めて成功体験を与えることで、次のステップに進みやすくなります。
こうして適用範囲を徐々に広げていく積み重ねが、中小企業における成功の近道です。
また、最初は取引先を巻き込まずに、自社完結のジャストインタイムから始めるようにしましょう。
取引先を巻き込むのが難しい中小企業では、社外まで無理にジャストインタイム化する必要はありません。社外からの部品調達には一定の安全在庫を持たせつつ、社内の製造工程間だけでジャストインタイムを実践するだけでも、仕掛品の削減が実現できます。
社内外と情報・目的を共有し、目標をそろえる
新しい取り組みを始める時は、現場や外からの抵抗が必ずあります。
あれこれとできない理由を言ってくるスタッフもいるでしょう。
そのため、「挑戦してみたい」と言ってくれる環境作りが重要です。
「なぜジャストインタイムを取り入れる必要があるのか」という意図を丁寧に伝え、関係者全員で同じ方向を向ける体制を整えてください。
説得の材料として、前述の「小さな成功体験」を共有するのも有効です。
システムの導入は最低限にとどめる
ジャストインタイムをより効率的に行うため、世の中にはデジタル式のかんばんや、需要予測をする生産管理システムが存在します。
しかし、高度なシステムをいきなり導入する必要はありません。
現場改善の基本は、「現場」で「現物」を見て「現実」を捉える「3現主義」です。
本来、トヨタ生産方式のかんばんやアンドンは、ITツールを使わなくても目で見てすぐに状況が分かるアナログな仕組みとして完成されています。
根本の考え方やアナログでの運用方法を理解しないままシステムを入れても、使いこなせずムダに終わってしまうだけです。
中小企業の場合、まずは「指示されたものだけを作る」という生産指示の仕組みを整えるのがおすすめです。
例えば、製造数の上限値と下限値を決め、そこから外れた時にアラートを出すようなシンプルな仕組みを作りましょう。
すると、後工程で引き取られた分だけを生産することがだんだんとできるようになっていきます。
現場がその運用に完全に慣れてから、必要に応じて段階的にシステム化を検討してください。
【中小企業での導入事例】緩めのジャストインタイムの実施
在庫管理110番の工場でのジャストインタイム導入事例を紹介します。
課題
A工場では、管理者が現場の作業者に生産を任せきりにしており、正しい生産管理ができていませんでした。
そのため、現場では以下のようなトラブルが発生していました。
- 自分勝手な生産の横行:「効率が良いから」「段取り替えが面倒だから」という理由で、手元に部品があれば特定の1品種ばかりを作りたいだけ作ってしまう
- 納期遅れ:特定の品種で「作りすぎのムダ」が発生する一方、本当に必要な品種の在庫がなくなり、納期遅れが頻発
対策
そこで、生産リードタイムと安全在庫を設定した「緩めのジャストインタイム」を実施することにしました。
本来のジャストインタイムは「後工程で1個使ったら、すぐに前工程で1個作る」というような極めて高い即時性が求められます。
しかし、これを実現するには段取り替えを一瞬で終わらせるシステムや洗練されたラインが必要であり、いきなり中小企業の現場に求めるのは不可能です。
そのため、「ジャストインタイム=即時少量生産」と捉えるのではなく、生産リードタイムを考慮した多めの安全在庫を許容をすることにしました。
具体的には、生産リードタイム2時間の製品に対して、安全在庫を4時間分と決めました。
すると、後工程が1時間分の在庫を引き取った時、その分の補充品は4時間以内に完成させれば良いため、かんばん到着後2時間の余裕が生まれます。

さらに、生産の上限値と下限値を設定し、余裕があっても作りすぎそうになった時はアラートが出る仕組みを整えました。
結果
余裕をもった安全在庫を設定した結果、心に余裕がある状態で「後工程からかんばんで指定された数だけを作る」という流れを癖づけられました。
A工場ではその後、徐々に作る数をコントロールできるようになり、作りすぎや必要な品種がないなどのトラブルが完全に解消されています。
現場の身の丈に合わせた緩めの設計から始めたことで、混乱なくジャストインタイムを導入することに成功した好例です。
このような導入方法では、最初は理想のジャストインタイムから離れムダが多く感じられるかもしれません。
しかし、流れが習慣になれば工程が徐々に安定してきます。
それに合わせて安全在庫を少なく調整していくことで、理想のジャストインタイムに近づいていけます。
まとめ:自社に合ったジャストインタイムの導入で、生産効率を高める
本記事では、ムダを削り生産効率を高める「ジャストインタイム」について解説しました。
要点を整理し、導入に向けて一歩を踏み出しましょう。
ジャストインタイムの基本
- 考え方:「必要なものを、必要なときに、必要なだけ、流れるように停滞なく」生産・調達する方式です。
- 仕組み:後工程が消費した分(売れた分)だけを前工程に引き取りに行き、前工程は引き取られた分だけを補充生産することで、在庫を極限まで減らします。
- 由来:スーパーマーケットで顧客が購入して店がその分を補充するという仕組みから着想を得て、「トヨタ生産方式」の2大柱の1つとして確立されました。
かんばん方式
- 役割:ジャストインタイムを現場で具現化するための手法です。
- 仕組み:後工程で部品を消費する際に「引取りかんばん」を外して前工程へ持っていき、前工程で「仕掛けかんばん」と交換します。前工程は、外された「仕掛けかんばん」の数量だけを補充生産することで過剰生産を防止します。
ジャストインタイムのメリット
- 過剰在庫の解消とスペース削減:売れる分だけを作るため、デッドストックがなくなり管理費が削減されるほか、空いたスペースを活用して工場内の動線を改善できます。
- 不良リスクやトレンド変化の影響の最小化:在庫を最低限しか持たないため、万が一設計ミスや加工不良、市場の変化、仕様変更が生じた場合でも、廃棄などの被害を最小限に抑えられます。
- 作業効率の向上とリードタイム短縮:全工程やサプライヤーが1本の川のように同期して生産するため、ムダな手待ち時間がなくなり、生産リードタイムが大幅に短縮されます。
ジャストインタイムのデメリット
- 在庫切れのリスク:ムダな在庫を極限まで削るため、需要の急増、設備の故障、物流の乱れなどが発生した際に欠品を起こしやすいです。
- 導入・管理の難しさ:ただ在庫を減らすだけでは現場が混乱するため、事前に生産の平準化や作業の標準化が必要です。導入後も振り返りや改善を続けなければならず、コストがかかります。
- 仕入れコストの増加:必要なときに必要なだけ注文するため、発注が「頻回かつ小ロット」になり、部品の単価上昇や配送回数の増加による物流コストの増加を招きます。
- 下請け業者の負担増加:部品の仕入先に少数発注を繰り返すと、相手方に生産や出荷の負担がかかり、関係性の悪化や取引停止といったリスクにつながります。
ジャストインタイム導入の前提条件
- ち密で平準化された生産計画:作る量や品目のバラツキをなくす「平準化」が必要です。そのためには、誰でも同じスピード・同じ品質で作れるようにする業務の「標準化(マニュアル化)」が不可欠です。
- 不良率が低く安定した生産工程:在庫のバッファがないため、1個の不良品がラインストップに直結します。不良率を極限まで下げるための機械メンテナンスや、高い作業品質・生産技術が求められます。
- 取引先との協力体制:自社の計画に合わせてコンスタントに部品を納入してもらうための信頼関係が必要です。
中小企業で導入を成功させる4つのポイント
- 「在庫のムダ」を定義し可視化する:安全在庫を明確に決めることでムダを定義し、それを可視化して現場に事実を認識させます。
- 小さな成功体験を積み重ねる:最初は多めに在庫を確保した上で手書きのかんばんを試すなど、特定の工程や緩めのルール、社内完結から始めて、小さな成功を経験させましょう。
- 目標をそろえる:導入に対して社内外からの協力を得られるよう、目的や成功体験を共有して、同じ方向を向けるようにします。
- システムの導入は最低限にとどめる:高度なシステムはいきなり導入せず、まずは「指示されたものだけを作る」という生産指示の仕組みから整えます。
あなたに合ったジャストインタイムの導入をサポートする「在庫管理コンサルティング」
ムダの可視化、平準化・標準化などには、現場を第三者目線で分析する必要があります。
そのためには、専門知識と現場の経験をもったコンサルタントに協力を依頼するのがおすすめです。
在庫管理110番のコンサルティングサービスでは、あなたの現場に合わせた現実的な在庫削減・生産指示の仕組みづくりをご提案します。
将来的にはコンサルタントなしでも現場がまわることを目標に、一定期間あなたの会社に訪問し、サポートいたしますので、ぜひ一度ご相談ください。

ジャストインタイムの導入にプロの目線を取り入れる
ジャストインタイムの導入に悩んだら「在庫管理110番」に相談
「ジャストインタイム導入のために何から手をつけたらいいかわからない」「自社でも導入可能か知りたい」など、ジャストインタイムについてお悩みの場合は、在庫管理110番へご相談ください。
最初から難しいと諦めるのではなく、専門のアドバイザーと一緒に解決の糸口を見つけていきましょう。

【無料】お気軽にご相談ください




