「仕掛品」は英語で、「work in progress」と言います。略称は「WIP」です。また「in-progress product」や「Work in process」といった言い方もあります。
今回は「仕掛品」だけではなく「完成品」や「半製品」など、関連する英語表現をご紹介します。「仕掛品」の基礎を学びながら、英語も学べるようにまとめています。
在庫管理アドバイザーである筆者も海外の現場で業務を積み重ねてきました。製造業で海外企業との取引をスタートされる方や、各拠点の工場・倉庫で初めて在庫管理を学ぶ方は、ぜひ実務にご活用ください。
仕掛品は製造途中の棚卸資産
仕掛品は、わかりやすく言うと製品を製造している途中のものです。組立・加工を行っている段階のもので、製造業特有の在庫です。なぜ製造業に限られるかと言うと、製造業の在庫管理の特徴は、在庫に「加工」することだからです。
したがって在庫の状態が「原材料」→「仕掛品」→「完成品」と変化します。それぞれ英語では以下の表現をします。
- 「原材料」:Raw material(RM)
- 「仕掛品」:Work in progress(WIP)・Work in process・in-progress product・in-process inventory
- 「完成品」:Finished goods(FG)・Finish product
仕掛品はいくつかの英語表現があります。在庫管理において「WIP」という略語が一般的で、世界的にも通じやすいでしょう。仕掛品とよく比較されるのが、「半製品」です。半製品とは、組立・加工を行っている段階ですが、販売できるもののことを言います。一方で、仕掛品は販売することができません。半製品は英語でいくつかの表現ができます。
- 「半製品」:Semi-finished goods(SFG)・Semi-finished product・half-finished goods・partially finished goods
仕掛品・半製品を初めて学ぶ方はこちらも併せてご覧ください。
仕掛品に関する会計上の知識
海外でも、日本と同じように仕掛品は決算期末に棚卸をして計上しなければなりません。倉庫・工場の在庫量を計測することを実地棚卸と言います。実地棚卸はミスが起こりやすいため、正しい方法で実施することが重要です。
会計上、仕掛品は貸借対照表における流動資産のうちの棚卸資産に属します。棚卸資産とは、将来、販売や加工を目的として保有している資産のことです。仕掛品だけではなく、原材料や完成品、半製品も棚卸資産です。それぞれの英語表記を見てみましょう。
- 「実地棚卸」:Physical inventory
- 「貸借対照表」:Balance sheet(BS)
- 「流動資産」:Current assets
- 「棚卸資産」:Inventory
仕掛品の原価を評価する基準は、会計基準で規定されています。しかし日本と海外では、評価方法が異なります。日本の評価方法は、こちらをご覧ください。
一方で国際的には、IFRS(International Financial Reporting Standards)と呼ばれる国際会計基準審議会によって設定された会計基準が適応されます。IFRSでは、以下3つの方法が認められています。
- 「個別法」:specific identification method
- 「先入先出法」:First In, First Out(FIFO)
- 「加重平均法」:weighted average method
仕掛品は棚卸差異が起こりやすい
仕掛品は棚卸が部品や製品と比べると難しい在庫です。しかし、仕掛品も会計上棚卸資産として計上しなければいけません。
決算の時点で製造途中のものがあれば、価値を正しく評価して仕掛品を棚卸資産として計上しなければ、決算とうまく連動ができず、利益が正しく計上できないことになります。悪気は無くても、場合によっては脱税になってしまう可能性もありますし、逆に税金を払いすぎてしまい、会社に残る税引き後利益が減ってしまう可能性もあります。
計上が難しいということは、棚卸差異も起こりやすいという事です。
- 「棚卸差異」:Inventory variance
- 「帳簿上の在庫数」:balance of stock・stock balance
- 「実際に数えた在庫数」:actual inventory・physical inventory
- 「棚卸減耗費」:Inventory depletion cost
棚卸差異は、日々の業務や棚卸で起きるミスから発生します。棚卸差異があると財務状況を正しく把握できないため、企業はすぐにでも対策を講じなければなりません。
「仕掛品」に関連する在庫管理用語を紹介しながら、それぞれの英語表記を紹介してきました。会計担当者だけではなく、在庫管理や現場の担当者も知っておくべき基本知識です。これから外国の企業や海外での工場・倉庫で仕事をする際は、ぜひご活用ください。
<ほかにも覚えておきたい仕掛品関連の英語>
- 「売上原価」:Cost of sales
- 「仕訳」:Journalizing
- 「未成工事支出金」:Unfinished construction expenditure
- 「半成工事」:Semi-finished work
- 「直接製造費」:Direct manufacturing cost
- 「製造間接費」:Manufacturing overhead
海外の拠点で仕掛品の管理ができるようになりたい
国内外で会計基準は違っても、仕掛品を管理するノウハウは変わりありません。在庫管理110番では、仕掛品の管理、構成の作り方、システム構築について相談が可能です。海外での実績もある在庫管理アドバイザーの立場から、在庫管理の仕組みの構築や管理手法をアドバイスさせていただきます。
仕掛品の管理をすることは、「正しい資産の把握」と「製品原価の理解(原価管理)」において重要です。しかし、実際には面倒で仕掛品を管理できていない企業は少なくありません。正しく仕掛品を管理できれば、利益を読めるだけではなく、キャッシュフローの改善にも役立ちます。プロのノウハウを取り入れて、経営の安定化を目指しませんか?
仕掛品の管理方法に関する初回相談は無料です。お気軽にお問合せください。
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