在庫管理が強い企業の共通点は儲かること
儲かる企業は、企画や商品力の強さに着目されることが多いですが、
その裏側を支えるオペレーションがキャッシュと利益を生む源泉になります。
特にお金に直結する在庫管理に強さが光っています。
在庫管理は、単なる生産性の向上による効率化、コスト削減だけではなく
売上アップ、顧客満足につながる儲ける仕組みです。
在庫管理で売上を上げて、顧客満足を得ている企業をご紹介します。
アップル
1995年に倒産の危機を迎えたアップルですが、その後劇的な
復活を果たしました。ipodやiphoneなどの商品力が注目されますが、
その裏側には在庫管理の改革がありました。
商品点数の絞り込みや、倉庫の集約、部品の標準化など、在庫管理の
改善で行われる手法により、アップルを苦しめていたキャッシュ不足を
解消しました。
コストコ
コストコは、アメリカンサイズの大容量の商品を安く
購入できることで人気です。営業利益の70%以上を年会費から
得ているそうです。
これを支えているのが在庫管理です。
コストコは広大な敷地ですが、商品点数は5000点もないと
言われています。ちなみに、コンビニの商品点数が3000~4000点
くらいだそうなので、商品がとても少ないと言えるでしょう。
コストコは売れない商品は置きません。
売れない商品はすぐに排除される仕組みがあるからです。
これにより、製品の種類数が絞られ、商品を安く仕入れることができます。
さらに大量仕入なので、安く買うことができます。
売れない商品を排除し、売れる商品に絞っているので、製品はどんどん
売れていきます。
鳥貴族
激安の居酒屋チェーン店です。焼き鳥メインで280円均一で若者に
人気です。創業1986年、店舗数は450を超えてます。
メニュー数は一般的な居酒屋の約25-50%も少ないため、大量仕入れ
、廃棄ロスも減ります。
焼き鳥を外注化せず、国産鶏肉を仕入れ串打ちを内製化することにより
コスト削減とともに仕入にかかるリードタイムを短くしています。
結果的に高い鮮度で顧客満足を獲得しています。
いきなりステーキ
製品の種類を限りなく限定しています。
そのため、廃棄ロスを減らし、オペレーションの効率化が両立
できています。
また、立ち食いとすることで、顧客の滞在時間が減ります。
つまり顧客の回転率=在庫回転率が良くなります。
また、焼いてから提供まで10分を切るスピードも顧客回転率
を押し上げています。(工場で言う製造リードタイム)
アースミュージック&エコロジー
第2のユニクロと言われるアパレルブランドです。
創業以来の20年間借入れなしで売上高1000億円を
達成しています。
その秘密は在庫回転率にあります。
徹底してROA(総資産利益率)を高める姿勢で、店舗を小さくして
固定費と店頭在庫を抑えています。
また、製品寿命が短くすぐに不良在庫になりがちなアパレルですが、
在庫の消化率を常にチェックし、細かく値引きを行うことで、値引きによる
利益のロスを最小限に抑えています。
儲かる企業の共通点
あえて製造業ではない4社を取り上げましたが、
全ての企業において共通点があります。
それは、次の5点です。
- トップの決断
- 絞り込み
- ロスの徹底排除
- 生産性の向上
- 現状分析
トップの決断
トップが在庫をどう持つかということを販売戦略から逆算して
徹底しています。ブレない姿勢、やり抜く意思、そして社員が
それを守る環境が出来上がっています。
絞り込み
製品を絞り込み、無駄な在庫を持たないという戦略を
取っています。アースミュージック&エコロジーのように
店舗数を小さくして、置ける在庫の量を物理的に制限するという
方法もあります。(コンビニの戦略と似ています。)
ロスの徹底排除
廃棄や値引き、売れ残りのロスを徹底的に排除しています。
ひとつひとつの価格は小さいですが、積み重ねるとロスの金額
は大きく膨らみます。
生産性の向上
オペレーションの簡素化や基準化を徹底しています。
いきなりステーキのように製品を絞り込めば、社員の習熟する
技術の種類数は少なくて済み、同じ作業が増えるので習得スピ
ードは格段に向上します。
現状分析
どの企業も在庫分析を怠っていません。未来の予測は、現在ある
材料からしか分かりません。「勘」は人により精度が変わります。
分析をすれば数値になるので、基準さえあれば誰にでも判断が
できます。
【在庫分析に役立つ記事】
お金の種は工場に落ちている
売上アップというと、営業や集客、マーケティングなど外に目が向きがち
ですが、実は工場の中に「お金の種」がたくさん落ちています。
そのお金の種は、在庫の種類、量、状態を見ればすぐに分かります。
在庫管理をキーにしたしくみ作りこそ、企業が儲ける仕組みです。