「在庫管理」が難しい11の理由をわかりやすく解説|在庫管理110番

在庫管理はなぜ難しいと言われるのでしょうか?
同じ管理である会計(お金の管理)と比較して考えてみます。

在庫管理と会計処理の比較

処理の対象

会計の処理の対象は、伝票処理が中心です。
しかし、在庫管理の処理は伝票だけで終わることはほとんど無く、情物
一致が処理の中で必須条件です。

例えば、仕入れ。仕入れ伝票を受け取っても現物がなければ、欠品です。
在庫を使った時に、処理をしなければデータ上の在庫は減りません。

【関連記事】

副産物や状態

会計の対象はお金です。状態が変わることもないですし、価値の変わりません。

在庫の場合は、必ず状態の変化が伴います。
何もしなくても劣化という状態変化が起こりますし、生産現場では
仕掛品の状態は常に変化しています。
材料系の製造業の場合などは副産物も生じます。
切りカスや、切断の端材、原油の場合は精製の過程で、1種類の
在庫が何種類にも枝分かれします。

管理項目

会計は、管理項目が決まっています。
会社によって独自に項目を決めている場合もありますが、決算書の
項目は原則として決まっています。

在庫管理の場合は、管理する項目は決まっていません。
会社ごとで独自に決めています。

【関連記事】

処理の発生

会計の処理が発生するのは基本的に結果です。
仕事の結果、取引成立の結果など、何かが決まった時に起こります。
処理は先行せず、必ず後です。

一方、在庫管理は指示である場合もあり処理が先行する場合があります。
発注は、取引先に対する仕入れの指示ですし、在庫を出すという出庫の指示
によって、在庫を移動し、在庫が移動したことを入力または報告する必要が
あります。

共通ルール

会計は、簿記や法律(税法や会社法など)というルールがあります。
管理すべき項目も手順も全て決まっています。ルールが多く理解するのは
極めて複雑ですがそして公認会計士や税理士と言った公的に認められたア
ドバイザーがいます。

しかし、在庫管理にはルールはありません。国などからああしろ、こうしろ
と言う指示はありません。100社あればやり方は100通り。他社のやり方が
そのまま通用することはほとんど無いので、必ず自社なりのルールを考える
必要があります。

例えば、棚卸資産には6つの評価方法があります。

財務担当者はもちろん経営者・在庫管理担当者も知識を蓄えておく必要があります。

監視機関

会計の場合は、処理を放置したり忘れていると、必ず取引先から連絡が来ます。
さらに、自治体や国などから通知がきたり、税務調査や会計監査が行われます。
必ず「外の目」があるのが会計です。例え「忘れていた」としても不正扱いに
なり、逮捕や法律違反の対象になります。

在庫管理は、基本的に社内だけ、社内が主体となり行うことです。
仕入れ先は納品(伝票が受け付けられたら)したら終わり、販売先は、
製品が届いたら文句を言いません。
「外の目」が無い分、社内でしっかりと管理をする「社内の目」が必要に
なります。

金銭との関係

会計はダイレクトにお金を扱います。小学生が見ても分かります。
在庫は、金銭と無関係ではありませんが、倉庫に置いてある在庫の
金額は分かりますか?全部ではなく、棚の上にある1種類分でもいいです。
おそらく、すぐに分かる人はいないでしょう。
また、在庫を扱う時には必ずコストが発生していますが、そのコストも
見えづらいので分かり難くなっています。

連続性

会計処理は、基本的に1~数回で終わります。
例えば、売り上げの場合、売掛金 ⇒ 現金と言う流れです。

在庫の場合は、その在庫の扱いが無くなるまでずっと連続しています。
1つでも狂えば、修正が入らない限りずっと在庫は狂ったままです。

整合性

会計の場合は、処理の期日が決まっていることが多いので、
データの整合性を後回しにするのが難しくなっています。

在庫の場合は、社内の都合だけで行えばよいので、処理が後回し
になったり、先行したりと言うことが起こります。

個人との関係

会計はお金です。個人にとっても給料として一番大切です。
在庫は、会社の資産です。発注担当者はいくら買っても自分の財布は
痛みません。
会社もどれくらい在庫を持っているのか把握していない場合も有り
無頓着であることが多いです。

厳密さ

会計は、法律に基づく厳密なルールがあるので、少なくとも決算時には
1円単位まで合わせなければいけません。取引先も曖昧なことは許してく
れません。
在庫管理の場合は、社内の管理にゆだねられるので、ルールが決まってい
ないことが多く曖昧であることが通ってしまいます。

情報システムとの関連

会計システムの導入は比較的導入に失敗することはありません。
理由は、様々なことが厳密に決まっているからです。

  • 管理項目が決まっている事
  • フォーマットが決まっている事
  • 最終成果物が決まっている事
  • 処理の手順が決まっている事
  • 処理の方法が決まっている事

最終成果物を国に報告する義務がありますよね。

一方、在庫管理システムはどうでしょう?
上記に照らし合わせて考えてみて下さい。

おそらく、報告する義務はありません。
(決算書に記載する棚卸資産も金額なので会計の対象です。)

全て自社で決めて、自社で管理しなければいけません。
在庫管理は決めることからスタートします。
これが在庫管理のむずかしさです。

在庫管理システムの導入を成功させるには、万全に準備が必要です。

準備をするだけではなく、社内に浸透するまでのマネジメントが求められます。

業務フローの見える化をしておくことが重要です。

【在庫管理システム導入のための関連記事】

在庫管理アドバイザーのセミナーに参加する

「在庫管理110番」では、定期的にセミナーを開催しています。
実際の在庫削減や仕組み作りの事例を題材にした
分かりやすい内容です。

参加者特典
在庫管理セミナーに参加いただいた方には、2つの特典があります。

  1. 経費15%削減在庫管理術【基礎知識編】(書籍)を漏れなくプレゼント
  2. 希望者の方に個別相談を実施しています。

話が聞けて本がもらえて、直接相談もできる。
セミナーは満足度が高いと評価を頂いています。

直接相談したい

在庫管理アドバイザーに直接相談ができます。
これでスムーズに改善を進めた人もたくさんいます。
ただし、人気のサービスなので月間4名様までで予約制です。
気になったら、すぐにご連絡をください。

関連ページ

お問い合わせはこちら