在庫の数をきちんと把握したいと思っても、
「どんな項目を入れればいいのか分からない」
「エクセルで作るのって逆に面倒じゃないの?」
と悩む方は多いのではないでしょうか。
実は、目的に合ったテンプレートを適切に使えば、在庫管理は思った以上にシンプルに始められるものです。
この記事では、無料で使えるエクセルの在庫管理表テンプレートを6種類ご紹介しつつ、導入時のポイントや注意点もわかりやすく解説していきます。
本記事を読むことで、以下のようなメリットがあります。
- すでに完成されたあらゆるパターンの「エクセル在庫管理表テンプレート」をスピーディーにダウンロードできる
- エクセルの在庫管理表が適している場面とそうでない場面が適切に見極められるようになる
- 在庫管理表をエクセルで自作する際のポイントや必須項目がわかり、作成後のミスを防止できる
ちなみにテンプレートはどのような方でも気軽にダウンロードできる内容となっていますので、ぜひダウンロードも視野に入れつつ、お読みいただければと思います。
実務ですぐに使える
在庫管理表の他にも在庫管理に役立つフォーマット配布中
目次
在庫管理表とは?
在庫管理表とはその名のとおり、商品や部品などの在庫数量・入出庫履歴・保管場所などを一覧で管理するための表のこと。
主にエクセルや専用ソフトで作成され、在庫の過不足を防ぎ、スムーズな業務運営を支えるものとして使われています。
仕入れや出荷のタイミングを見極めたり、棚卸し作業を効率化したりするうえで欠かせないツールといえます。
在庫管理表に盛り込みたい項目6つ
在庫管理表を作成する際、最低限押さえておきたい基本項目6つは以下のとおりです。
- 製品名
- 日付
- 入庫数
- 出庫数
- 在庫数
- 在庫場所
まず「製品名」と「商品コード」で対象を特定し、「日付」には入出庫の日付を記録します。
「入庫数」「出庫数」で在庫の増減を管理し、「在庫数」で現在の残量を把握し、さらに、「在庫場所」を記載することで、どこに保管されているかも明確になります。
在庫管理表をエクセルにするメリット
在庫管理表をエクセルにするメリットは、主に以下のとおり。
- 無料で使える
- 自由にカスタマイズできる
- 集計や分析がしやすい
順に解説していきます。
無料で使える
エクセルは多くのパソコンに標準でインストールされているため、専用の在庫管理システムと違って新たな費用が発生しません。
なのでフリーランスや小規模事業者など、費用を抑えたい場面でも手軽に導入できるのは非常に大きいです。
無料のテンプレートも数多く公開されており、必要な項目をそろえるだけで、すぐに在庫管理を始められる手軽さもエクセルの強みです。
自由にカスタマイズできる
エクセルは自由度が高く、自社の業種や管理スタイルに合わせてレイアウトや項目を自在に編集できるのもメリットです。
商品ごとの在庫数や保管場所を管理するだけでなく、使用頻度や発注点など独自の管理基準を加えることも可能です。
テンプレートを元に項目を増やしたり、条件付き書式で色分けしたりすることで、視認性や使い勝手を向上させられるのもエクセルならではの利点といえるでしょう。
集計や分析がしやすい
エクセルは関数やピボットテーブルを使って、入出庫履歴や在庫変動の集計・分析が簡単に行えます。
月ごとの在庫推移を把握したり、在庫回転率や欠品率を計算したりすることで、在庫の最適化にも役立つでしょう。
条件に応じて自動的に数値や色を変える設定もできるため、ミスや見落としの防止にもつながり、データ活用による効率的な在庫管理が実現できます。
在庫管理表をエクセルにするデメリット
在庫管理表をエクセルにすることには、以下のようなデメリットもあります。
- 複数人での同時編集が難しい
- データの整合性が崩れやすい
- 業務が属人化しやすい
こちらも順を追って解説します。
複数人での同時編集が難しい
エクセルは基本的に1人が編集することに向いており、複数人で同時に扱うには向いていません。
たとえば、同じファイルを開いて別々の人が同時に入力してしまうと、上書き保存によってデータが消えてしまうといったこともあります。
リアルタイムで在庫状況を共有したいチームにとっては、やや使いづらさを感じる場面があるでしょう。
データの整合性が崩れやすい
エクセルは自由に編集できる反面、誤ってセルを削除したり、計算式を壊してしまったりといったヒューマンエラーが起こりやすいです。
また、複数人が手動で入力する場合、フォーマットがバラバラになりやすく、正確な在庫数が把握できなくなる恐れもあります。
気をつけて運用しないと、信頼性の低いデータになってしまうのが難点です。
業務が属人化しやすい
属人化というのは、「ある仕事が特定の人にしかできない状態になること」をいいます。
エクセルで在庫管理をしていると、ファイルの構造や使い方を詳しく知っている特定の人に業務が集中しやすくなります。
そのため、もしその人が休んだり異動したりしたときに、引き継ぎがうまくいかず業務が滞るリスクがある点はデメリットでしょう。
「なんとなくこの人がやってるから任せている」という状態は、長い目で見ると組織にとって不安要素になりやすいです。
【無料】シンプルで使いやすい在庫管理表テンプレート
在庫管理110番が開発した無料で使えるエクセル在庫管理表を6種類ご紹介します。
用途に合わせてご活用ください!
- 6欄式在庫管理表
- 3欄式在庫管理表
- 累積式在庫管理表
- 複数の保管場所がある在庫管理表
- 手書き用在庫管理表
3欄式在庫管理表テンプレート
3欄式在庫管理表は、最もスタンダードな在庫管理表で、以下の在庫管理の3つの基本項目を管理します。
- 入庫数
- 出庫数
- 在庫数
テンプレートは以下のような形式になります。
筆者が実務においてメインで使っていた在庫管理表であり、これ1つで1000点以上の部品を管理していました。
現品管理に向いていて、表示においては一覧性も高いので、使いやすいエクセル管理表です。
また、今回提供しましたこの3欄式在庫管理表は「入出庫管理」だけにとどまらず、欠品の検出機能付きです。
安全在庫を設定すれば、安全在庫を切った在庫が赤く表示され補充が必要なことが一目でわかる仕組みとなっています。
下記の[3][4]のように「入出庫管理&歩留まり」、「発注管理」にも応用できることから大変便利、そして商品点数の多い薬局や飲食店の食材管理にも応用できます。
3欄式在庫管理表テンプレート(歩留まり管理付き)
こちらは3欄式在庫管理表に仕損数を加えたもので、次の項目を一元管理できます。
- 入庫数
- 出庫数
- 在庫数
- 仕損数
テンプレートは以下のような形式になります。
出庫数と在庫数の間に仕損数という項目がありますが、これはイレギュラーな出庫を記録します。
例えば、不良や歩留まり等の意図せずに起こる出庫数などです。
つまり、通常の出庫数と分けることでイレギュラーな出庫がどれくらい起こっているかということが分かります。
イレギュラーな出庫数が管理できるので、改善して減らす活動にも活用できます。
6欄式在庫管理表テンプレート(受注残、引当管理ができる)
6欄式在庫管理表は、今回の中で最も詳細に在庫管理ができる在庫管理表で、次の項目を一元管理できます。
- 注文残
- 入庫
- 出庫
- 引当
- 引当残
テンプレートは以下のような形式になります。
1つの品目を注文から実際の引当まで細かく管理することができます。
しかし管理する品目点数が多いと作業量も増え、事務処理に負担がかかるもの。
重点的に管理をしたい部品や商品に限って使うのが良いでしょう。
累積式在庫管理表テンプレート(金額管理)
累積式在庫管理表は、これまでの累積と在庫金額が記録できる在庫管理表です。
- 仕入単価
- 入庫数
- 累積入庫数
- 出庫数
- 累積出庫数
- 在庫数
- 在庫金額
テンプレートは以下のような形式になります。
現在の在庫金額が一目瞭然ですが、6欄式在庫管理表と同様、あまり多くの品番管理には向きません。
在庫金額をしっかりと押さえておきたい高価な部品・商品の管理に向いているテンプレートです。
複数の保管場所がある在庫管理表テンプレート
在庫の保管場所が複数ある場合の在庫管理用書式で、次の項目を一元管理できます。
- 各倉庫別の入庫数
- 各倉庫別の出庫数
- 在庫数(各倉庫別の在庫数および総在庫数)
テンプレートは以下のような形式になります。
たとえば全体の在庫が100個あっても、保管場所が複数あればどこに、何が、いくつあるのかという情報がなければ意味がありません。
そこで、保管場所別に在庫管理をしつつ、全体の在庫を見れて検索することができる在庫管理表がこちらになります。
同一品が複数の場所にあることを管理できるメリットは、探し回らなくて済むことです。
例えば次のような例です。
在庫が100個あると言っても、保管してある倉庫がバラバラだと探し回らければいけません。
そのため、1つの品番が複数の場所に保管される可能性があるのであれば、場所ごとに管理することをお勧めします。
エクセルの在庫管理システムであれば、表計算・集計機能を使って拠点ごとの管理が可能です。
複数場所の管理が必要な場合、倉庫・工場ごとにエクセルで管理するより、できれば在庫管理システムを導入したほうが良いでしょう。
作業のミスや負担の軽減、効率化を考えるなら、在庫管理システムによって手間を省くことができます。
ただし、在庫管理を行ううえで、エクセルをある程度使いこなせるようになるととても便利です。
今回ご紹介した在庫管理表をベースに自社仕様にアレンジすることもできます。
手書き用在庫管理票テンプレート
手書き用の在庫管理票を作成するフォーマットです。
一覧表に登録した品番を登録すると、自動で在庫管理票が作成されます。
これまでは、エクセル上で在庫管理をする在庫管理表なので、パソコンで入力が必要でした。
この手書き用在庫管理票であれば、在庫管理システムを使わずに、現物に在庫管理票を貼り付けて管理したい時におすすめです。
実務ですぐに使える
在庫管理表フォーマットをまとめて入手する
在庫管理に必要なエクセルのスキルをまとめたものを在庫管理の教科書としてまとめました。
これさえ知っていれば作業効率は10倍、サクッと仕事が終わります。
※エクセル在庫管理表の実践的なノウハウが全て詰まった【教材:在庫管理の教科書】について知りたい方はこちら
☑「エクセル在庫管理表」は、どれくらいの規模までが限界なのかをチェックする
在庫管理110番の在庫管理アドバイザーが支援したクライアントの声
「自作したエクセル在庫管理表が使いづらい…。」
「属人化してしまって情報が共有できていなかった…。」
こういった企業様を対象に、在庫管理110番の在庫管理アドバイザーが支援したクライアントの声をご紹介します。
以前の在庫管理表を改善された今回のものに変更して何が変わりましたか?
- 書類やデータを複数見なくてもよくなった
- 作業時間が改善された
- 管理しやすくなった
- 慣れた作業者だけでなく、営業担当、事務員が見ても分かるようになった
改善されたことで、具体的に何が変わりましたか?
これまでは、詳しい作業者に聞かないと、在庫数がつかめず、また在庫数間違いも多かったが、今回の在庫管理表の改善で、
- 作業者が時間を時間を書けていた部分を、慣れていない事務員でも対応できるようになり作業時間短縮になった。
- 間違いがあったとしても、間違い自体の把握も即時できるようになり、都度修正が可能になった。
囲今回の在庫管理表の改善によって、得られた効果を金額または時間換算するとどれくらいになりましたか?
- 毎日行う在庫管理作業が30分→15分に短縮
- 月末に行う在庫管理作業が120分→40~60分に短縮
【無料】在庫管理個別相談受付中
エクセルで在庫管理表を作る際に必要な3つのスキル
会社で役立つ在庫管理表をエクセルで作るためには、高度なエクセルスキルなどは不要です。
エクセルに詳しいことよりも次の3つのスキルの方が重要です。
- 在庫管理の基本を理解している
- エクセルの基本的な機能や関数を使いこなせる
- データ処理の基本的なテクニックを持っている
ぞれぞれ紹介していきます。
在庫管理の基本を理解している
エクセルで表を作れるだけでは、在庫管理はうまくいきません。
- 何を管理すべきか
- 在庫が多すぎるとどうなるのか
- 逆に少なすぎると何が問題なのか
といった基本的な考え方を理解しておく必要があります。
たとえば「入庫数」「出庫数」「在庫数」の関係や、「棚卸し」や「在庫回転率」といった用語の意味を知っているだけでも、表の設計や運用が格段にスムーズになります。
在庫管理の基本を理解していないと、基本が抜けた管理表を作ってしまったり、あれもこれもと盛り込んだ複雑な管理表を作ってしまうことになりやすく危険です。
エクセルの基本的な機能や関数を使いこなせる
「高度なエクセルのスキルは不要」とは言ったものの、基本的な関数や機能を使いこなせることは必須です。
在庫管理表をエクセルで効率よく使うには、ただ表を作るだけでなく、関数や機能を活用できる力が求められます。
たとえばSUM関数で入出庫の合計を出したり、IF関数で在庫が一定以下になったときに色を変えたりするとミスや見落としを防げます。
またフィルター機能や並べ替え機能を使うことで、大量のデータの中から必要な情報を素早く取り出せるようになります。
データ処理の基本的なテクニックを持っている
在庫管理表はただ数字を入力すればよいというものではなく、あとから見ても誰が見ても正しく理解できるように整理しなければなりません。
たとえば列の順番を統一したり、数字の桁をそろえたり、不要な空白をなくしたりといった、基本的な整え方ができるかどうかが重要です。
また、数式やデータが崩れないように慎重に扱うことや、入力ルールを決めておくことも、ミスを防ぐうえで大切なテクニックといえるでしょう。
在庫管理表に関連するよくある質問
ここでは、在庫管理表に関連するよくある質問について回答していきます。
従業員が複数人いてもエクセルの在庫管理表を使うべき?
結論、使うべきではありません。
エクセルの在庫管理表は手軽で無料ですが、複数人で使うには限界があります。
なぜなら、データが重くなって動きにくくなったり、誰がどこを編集したか分からなかったりと、ミスやトラブルが起きやすいです。
従業員が4人以上いる、またネット販売や店舗など複数の方法で商品を売っている会社では、エクセルだけでは管理が追いつかなくなることもあります。
そんなときは、自社の規模や目的に合った在庫管理システムを導入した方が安心でしょう。
在庫管理表を正しく扱う基本基本知識を学ぶには?
在庫管理表を正しく扱うには、まず「在庫=入庫-出庫」という基本の考え方を理解することが大切です。
そして、数量や場所、状態などの必要項目を正確に記録する習慣を身につけることが重要になります。
また、ミスは必ず起こるという前提で、「ミスを防ぐ仕組み」と「ミスに気づける仕組み」を作る意識も欠かせません。
在庫管理の基本知識に不安があるという方は、ぜひ以下の記事もご一読ください。
☑在庫管理システムを導入する前に知っておきたい在庫管理の基本
なお、エクセルによる在庫管理ノウハウをこちらで紹介していますので、ぜひあわせてお読みいただければと思います。
【無料】在庫管理個別相談受付中
在庫管理表に関するまとめ
在庫管理表は、エクセルを活用すれば手軽に始められますが、正しく使いこなすには在庫管理の基本やエクセル操作の理解が欠かせません。
本記事では、用途に応じたテンプレートや作成のコツ、よくある落とし穴までを丁寧に解説しました。
まずはシンプルな表から始めて、現場に合った形に育てていくことが成功のカギです。
ぜひ今回ご紹介しているテンプレートを大いに活用し、自社の業務に合った在庫管理を作ったうえで、業務効率化を図ってほしいと思います。
自社に合った機能を持つシステム作りをお手伝いします。
自社に合った機能を持つシステム作りをお手伝いします