損益分岐点管理の基本

管理会計・財務会計・税務会計の違い

企業会計は3つに大別できます。

  • 財務会計:企業の営業成績と財務状態を外部報告向けの会計
  • 税務会計:税金を計算するための会計
  • 管理会計:企業経営の実態を報告する内部関係者向けの会計 財務会計と管理会計の違いをまとめました。
    財務会計と管理会計の違い
    同じ会計という名前がついていますが、目的や利用者、用途などが全く異なります。

財務会計は社外に対しての顔、管理会計は社内の顔です。
財務会計と管理会計は両輪で機能
図のように、財務会計と管理会計は車の両輪のように機能してはじめて持続的な
企業価値が実現できます。

損益分岐点管理

管理会計を実践するための基礎情報として、次の3つが頻繁に使われます。

  1. 損益分岐点分析
  2. ABC(活動基準原価計算Activity Based Costing)
  3. ABM(活動基準原価管理Activity Based Management)

損益分岐点の把握には固定費と変動費の区分が必須

損益分岐点の把握には固定費と変動費を区分することが必須条件です。
一般的に、固定費と変動費は以下のように分類されています。
固定費と変動費

  • 固定費:活動量に関係なく、一定額は支出される経費
  • 変動費:活動量に比例して、支出額が増減する経費
  • 準変動費:固定費と変動費のミックス(電力料金、水道料金)
  • 準固定費:(例)プロバイダーに払う使用料
     
    主な固定費は人件費と経費です。
    人件費とは名前の通り人に関わる費用で次のようなものがあります。
  • 社員の給料
  • 賞与
  • 退職金
  • 福利厚生費(健康保険や厚生年金の会社負担金)
  • 通勤交通費

そして経費には次のようなものがあります。

  • 広告宣伝費
  • 交際費
  • 社屋や倉庫の家賃
  • 水道光熱費
    ‐事務消耗品代

では人件費と経費ではどちらが固定費を占める割合が大きいでしょうか?
答えは人件費です。

固定費を下げて利益を増やすとき、経費を抑えるのはもちろんですが、固定費で最大のウエイトを占めている人件費を抑える努力が必要となります。

「人財は企業にとって貴重な財産」であると同時に、
人件費は固定費に占める割合が大きいので、会社経営を圧迫することも事実です。

変動費とは、売上(生産量・販売量)に比例して増減する経費
のことを言います。「可変費」と呼ばれることもあり、
主な変動費は次のようなものが代表例です。

  • 原材料費
  • 仕入原価
  • 販売手数料

人件費は一般的には固定費となりますが、派遣社員や
契約社員の給与、残業手当などは変動費とみることもできます。

繰り返しますが、固定費か変動費かの区分は極めて重要です。

特にグローバル企業にとっては、その定義と運用を明確にしないと、
様々な管理会計指標を導入する上で支障をきたします。

たとえば常時発生する商品説明要員を外注するとします。
基本的には変動費扱いになります。
ただし、常態化する場合は、固定費として把握するのが適切でしょう。
また海外拠点においてもその定義と運用を統一する必要があります。

固定費の変動費化

会社の経営環境が厳しくなると、企業は固定費の変動費化をすることで、
できるだけ経費を削減するという試みがされます。

具体的には、次のような施策が考えられます。
‐社員給与を削減するための正社員から派遣社員への移行

  • 業務委託や外注の利用
  • 自社で行っていた設備投資を外注業者に委託
  • オフィスの備品であるコピー機を自社の資産をやめて、リースに切り替える

特に正社員の場合は、給与面だけでなく、蓄積された専門的なノウハウ
や愛社精神、会社の規律等が失われるリスクがある点も十分に配慮した
上での経営者に判断が求められるのは言うまでもありません。

損益分岐点分析とは?

損益分岐点
右の図は売上、固定費、変動費、限界利益の関係を表したものです。
左の図は、損益分岐点を売上高と費用収益の関係で示したものです。

  • 固定費は売上に左右されず、一定の値を示す
  • 変動費は、変動費線で示した通り、売上の拡大に応じて増えていく
  • 総コスト線は、固定費と変動費を足した線を示す。売上高線と交わる
  • 損益分岐点(Break Even Point)は総コスト線と売上高線が交わる点

図からも分かるように損益分岐点を下回ると損失が発生し、またそれを超えると利益が創出されます。
計算式は以下の通りです。
損益分岐点の計算式

損益分岐点
損益分岐点とは、利益も損失も発生しない、利益と損失の均衡した
売上高のことを言います。
場合によっては、金額でなく数量を使うケースもあるようです。

損益分岐点分析
損益分岐点分析とは、費用(原価)が販売量に応じてどのように
変化するかという視点から、売上高が変化したときの費用と利益の
関係を分析することを言います。

限界利益
限界利益とは売上から変動費を引いた額を指します。
限界利益=売上−変動費

一般的に、限界利益率の高い商品は収益性が高いと言われており、
生産のキャパシティーが限られた中で、どの商品を優先的に生産する
と収益性を最大化できるかを試算する際、限界利益率は極めて
重要な要素になります。

安全余裕率
安全余裕率とは、損益分岐点売上高に対して現在の売上高がどの程度の
余裕になっているかを表すもので、以下の計算式で求められます。
安全余裕率 =(1-損益分岐点売上高/現在の売上高)×100%

損益分岐点を求めるためには、固定費と変動費の区分が
しっかりなされていることが大前提です。

事業体全体の損益分岐点は比較的簡単に算出可能ですが、
商品ごとの損益分岐点を求めようとすると、固定費と変動費に
分解できることが前提となります。

損益分岐点分析の考え方は極めて重要であり、経時変化で損益分岐点がどのように変化し、今後どのように持っていくか、まさに管理会計として重要な項目であります。

損益分岐点、売上高、売上高営業利益率の関係

営業利益とは、本業から計上される利益であり、将来の投資の源泉です。
また売上高営業利益率とは、営業利益が売上高からいかに効率的に
生み出されたかを示し、企業の存在意義を実証する指標です。

営業利益率を上げるためには、次のような施策が考えられます。
営業利益率を上げるためには

  1. 売上げを増やす (販売単価を上げる、販売数量を増やす)
  2. 変動費単価を下げる
  3. 固定費を下げる
  4. 限界利益(売上高-変動費)を上げる

京セラのアメーバ経営

アメーバ経営とは?
損益分岐点管理に関連して、京セラにアメーバ経営を紹介します。
京セラのアメーバ経営の特徴は、経費に人件費を含めず時間当たり付加価値の最大化を目指している点です。

その理由は、組織を小さく分けているため、個人の人件費の開示
につながってしまうからと言われます。
人件費が分かってしまうと、職場の雰囲気を悪くすることになりかねません。
その代わりに、差引収益(もうけたお金)を総時間
(メンバー全員が働いた時間)で割って算出する
「時間当り付加価値」という指標を用いて利益の状況をつかみます。

また、人件費は各アメーバ内において自らコントロールできない
ため、各アメーバは時間を減らす(時間当り付加価値を上げる=生産性を上げる)
ことで利益を増やす努力をします。

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