GMROI(商品投下資本粗利益率)は、在庫でどれだけの粗利を作ったかがわかる指標です。
経営指標として重視されている売上高・粗利益・粗利益率と在庫管理で最も重要な指標である在庫回転率だけでは見えないことを補ってくれる商品効率が計れる指標です。
もくじ
GMROIの計算式
GMROIは以下の計算式は、以下の通りす。
GMROI=粗利益額÷平均在庫高
または、粗利益率×商品投下回転率
です。
GMROIの数値は大きければ大きいほうが、よく儲かっているということになります。
言い換えると、仕入に要した投資(原価)を、どれだけの期間で回収し、儲けているかを表しています。
GMROIの目安
GMROIの目安は、企業によっても異なります。例えば、不動産や情報通信のようにそもそも在庫が無い業種の場合は高くなる傾向にあります。
製造業(一般機械器具製造)の場合、粗利益率が40%、回転率が30です。(参考:業種別経営指標2021年更新版(日本政策金融公庫))
GMROIの計算式は、
GMROI=0.4×30=12
となります。
あなたの会社の競合や、業界で良く稼いでいる会社のGMROIを調べて、ベンチマークにすると良いでしょう。
GMROIを高める3つの方法
GMROIを高める方法は、計算式を見るとわかる通り、主に2つあります。
- 粗利益率を上げる
- 回転率を上げる
ここから見てわかるように、長期間在庫を寝かせたうえに値下げで売るというのは、経営にとって大打撃であるということがわかります。
仕入れた商品を、
- 計画した利益率で値下げをせずにしっかりと売り切ること
- 売切れなかったら早期に小さな値下げなどで売却を図ること
がとても重要な事だと言えます。
投下資本とは何か?
GMROIの計算式に「商品投下回転率」という言葉があります。
これは、仕入れた商品をどれだけお金に変えることができたか?ということです。
ちなみに、投下資本とは、有利子負債と株主資本の合計額です。つまり、売上を上げるための資本(お金)の総額です。
投下資本利益回転率(ROIC)は、投下資本(つまり、会社が持っているお金や資産)で、どれだけりえきを出したかという指標です。
近年、商品寿命も短くなり、社会環境が目まぐるしく変わります。昔のように単に売上が大きい、利益率が大きいだけでは生き残れず、
資本を効率よく使って稼ぐということが重視されています。そこで、経営指標として取り入れる企業が増えているのがROICです。
ROICについては、こちらの記事で解説しています。
GMROIと交差比率の違い
GMROIと似た指標で、交差比率というものがあります。
どちらを使えば良いのか悩む・・・ということがよくあります。
結論からいうと、GMROIは少ない仕入れで多くの利益を稼ぐという指標ですので、効率よく稼ぐということを重視し、
在庫投資額の効率評価をするという観点で見ると、GMROIを用いたほうが望ましいです。
交差比率の計算式は、
交差比率 = 粗利益率 ×商品回転率
ですが、商品回転率の計算に売価を使います。
GMROIでは、商品回転率の計算に原価を使います。
昔は、値札しかなく原価がすぐにわからず、売価しかわかりませんでしたが、今はシステムが整備されていることが多いので、GMROIは計算しやすくなりました。
交差比率の問題点は、「売値」から見るため、仕入れを軽視しやすくなってしまう可能性があります。
これまで、指標として交差比率を使っていたのであれば、GMROIに見直しても良いでしょう。
仕入・販売計画とGMROIを連動させる
ここまで解説した通り、GMROIを計算すること自体は簡単です。
計算式を知るだけでは、意味が無く会社経営に生かすためには、GMROIを仕入れや販売計画などの実務担当者の日常業務に落とし込むことです。
そこでご紹介したいのが、仕入れ販売計画ナビシートです。
これは、仕入れ販売計画ナビシートといいます。
特別なシステム不要でエクセルで使える、実務担当者の日常業務である仕入れ・販売計画にGMROI、さらにキャッシュフローを可視化できる画期的な管理表です。
上の図は、
毎月200個売れる5000円の商品を値入率60%で7200個一括仕入の時のシュミュレーションです。
⇒売上高の見込みは1200万円、粗利益の見込みは720万円で、GMROIは、0.61になります。
キャッシュフローはずっとマイナスのままで、1年経ってもプラスになりません。
この状況を改善するために、以下のようなシュミュレーションをしてみました。
毎月200個売れる商品を値入率30%で毎月200個仕入れた時
⇒売上高の見込みは1200万円、粗利益の見込は360万円で、GMROIは10.29となります。
仕入れ・販売計画ナビシートによる改善前と改善後を比較すると次のようになります。
改善前の一括仕入れの場合ですと、1年経っても仕入れに使った資金を回収できず、240万円マイナスです。一方、
利益率を下げ、毎月仕入れをした場合、キャッシュフローは1か月後からプラスになり、1年後は350万円もプラスになります。
改善前と改善後のキャッシュフローの差額は、590万円にもなります。
このように、仕入れ販売計画ナビシートを使えば、ベテランバイヤーの「エイヤッ!」という勘に頼らなくても、
新人バイヤーであっても、ロジカルにかつ経営に役立つ仕入れ・販売計画を作れるようになります。
仕入販売計画を学ぶ
今回、ご紹介した仕入れ販売計画ナビシートは、流通業界一筋40年、米国の世界最大手量販店との提携後に自動補充システムの導入/実稼働をリードし、
会社の在庫改善を担当し、80億円の不良在庫を約70%削減し25億円に、そしてキャッシュフローの健全化にも成功させたバイヤーが考案しました。
仕入れ販売計画ナビシートの活用方法と不良在庫を残さない、儲かる仕入れ販売計画が学べます。
エクセルだけで実現!新人バイヤーでもできる