在庫管理システムの選定で起きる失敗の多くは、機能の比較不足ではなく、設計思想の選び違いが原因です。パッケージ型かオーダーメイド型か、この一点を決めないまま比較を始めると、後から取り返しのつかない失敗につながります。
在庫管理システムを初めて導入する会社は、どんなシステムを選ぶべきかと悩んでいる方がとても多いと思います。
インターネットで検索をすれば比較サイトで、さまざまな商品が紹介されています。どれが自社のビジネスモデルに合っているのか、課題を解決するソリューションになるのか決めかねてしまうでしょう。
そこで在庫管理システムの正しい選び方について、専門家の立場から解説していきます。
良いシステムを選べば、さまざまな恩恵がもたらされます。
- 効率的な在庫管理業務
- 生産性の向上
- 情報の共有化
しかし失敗をすると、システムに振り回されて、デメリットをこうむります。
- 無駄な手間がかかり非効率化する
- 充実した機能を活用できない
- 取引先に変なデータ(誤発注など)が送られ、クレームが来る
システム会社のホームページでは、成功事例がクローズアップされていますが、相談者の中には、次のようなケースも少なくありません。
- 数千万円かけて導入したシステムを捨てた
- 導入したシステムの機能の80%を使っていない
- システム都合の作業を人間が代行してデータを作っている
とても苦労をしている事例が多いです。システム会社が悪いと思われがちですが、実は、そのシステムを選んだユーザーに大きな責任があります。
正しい知識を身につけ、自社に合ったシステムを導入しましょう。
ほとんどのサイトで注目されていない重要なポイントをお伝えします。最適な在庫管理システムを選ぶための情報としてご活用ください。
在庫管理システムとは|基本機能と導入で解決できる課題
会社の1年間で恒常的に発生する投資のうち、最も大きなのが「仕入れ金額」、つまり在庫への投資です。その管理を担う在庫管理は、会社の経営に大きく影響します。
在庫管理は重要な業務にも関わらず、欠品・過剰在庫、無駄な仕入れ、発注ミスなどで悩まされている企業が後を絶ちません。とくに、回転率の悪い過剰在庫が増えればキャッシュフローが悪化して、資金繰りを圧迫します。
このような経営課題を解決するのが、在庫管理システムです。在庫管理システムは、在庫管理業務を自動化するための機能が備わっているシステムのことで、社内にサーバーを調達・設置する「オンプレミス型」と、クラウドで提供されているソフトウェアを利用する「クラウド型」があります。
在庫管理システムの8つの基本機能
在庫管理システムには主に、以下のような基本機能がそなわっています。
- 入庫、出庫管理
- ロケーション
- 棚卸
- ロット管理
- 売上管理機能
- 受注・納期管理
- 在庫分析
- マスタ管理
在庫管理システムは、在庫管理を効率化させ、業務の生産性を上げる効果が見込めます。キャッシュフローを改善して、売上拡大を図りたい企業には欠かせないシステムです。
これまで人海戦術で行ってきたExcelや紙による手作業を、すべて自動化できます。人手不足の解消にも、期待ができます。
在庫管理システムで解決できる3つの課題
小売業における在庫管理の主な課題を3つ解説します。
「帳簿上の数字」と「実在庫」が合わない(在庫差異の原因)
帳簿(システム上)と現場の数字がズレることは、在庫管理において最も深刻な問題です。主な原因としては、下記のようなことが挙げられます。
- 入出荷時の検品ミス
- 伝票の入力漏れ
- 返品処理の失念
- 万引きや紛失
在庫があると思って注文を受けたのに「欠品」していた場合、顧客満足度の低下を招きます。逆に、在庫がないと思って発注し、過剰在庫になるパターンもあります。
属人化(特定のベテラン担当者しか在庫状況を把握していない)
属人化とは、「この商品の在庫はあそこにあるはず」「この時期はこれくらい売れる」といった判断が、特定のベテランスタッフの経験や勘に頼り切っている状態です。
その担当者が不在の際に業務が滞るだけでなく、ノウハウが蓄積・共有されないため、組織としての成長が止まってしまう可能性があります。
過剰在庫による「値引き販売」の常態化
「値引き販売」の常態化とは、「欠品を恐れるあまり、多く仕入れすぎてしまう」ことで発生します。
在庫が余ると保管スペースを圧迫し、キャッシュフローを悪化させます。最終的に「売り切るための大幅な値引き」が必要になり、本来得られるはずだった利益を削ることになります。また「待てば安くなる」というイメージが定着し、ブランド価値を下げる恐れもあります。
在庫管理ソフト・アプリ・ツールとの違い
在庫管理のツールには、おもに以下の5つがあります。
- 在庫管理表(エクセル)
- 在庫管理ソフト
- 在庫管理アプリ
- 在庫管理システム
- IoT在庫管理
それぞれの違いを解説します。
在庫管理表(エクセル)
Microsoft Excelを使って在庫管理表を作成する方法です。VLOOKUP関数やIF関数、SUMIF関数などを使えば、誰でも簡単に自作できます。無料で作成できる点がメリットですが、機能には限界があります。
在庫管理ソフト
パソコンに市販のソフトをダウンロードする方法です。ゼロから自社用にカスタマイズする「オーダーメイド型」と、あらかじめ機能が搭載されている「パッケージ型」の2種類があり、いずれも導入には初期費用が発生します。
在庫管理アプリ
インターネット環境があれば、スマートフォンにアプリをダウンロードして利用できます。仕組みとしては在庫管理ソフトと同じで、パソコンからでもブラウザで利用できます。代表格として、スマホで在庫管理ができるクラウド在庫管理アプリ「zaico」があります。
在庫管理システム
在庫管理業務を自動化するための機能(入出庫情報や棚卸、在庫分析など)が備わっているシステムです。「オンプレミス型」と「クラウド型」があります。
IoT在庫管理
在庫管理にIoTの技術を導入した手法です。センサーやICタグなどから読み取った在庫情報を、さまざまなデバイスで管理できます。ビーコンやハンディターミナル、重量計などが代表的です。
エクセル・ソフト・アプリ・システム・IoTのどれを選ぶかは、扱う商品点数と同時に操作する人数で判断してください。詳しくは在庫管理アプリの記事で解説しています。
在庫管理システム選びで最も重要なのは「設計思想」
在庫管理システムとは、仕入れ先から届いた在庫の状況をインターネットや自社サーバーからリアルタイムに把握して、一元管理するためのツールです。
製造業や物流業の倉庫・工場内にある在庫数量・保管場所などの情報が、自動更新されます。システムにアクセス・ログインすれば在庫情報がわかるので、今まで手作業やExcelで行っていた入力業務が不要になります。出庫・入庫登録や棚卸、データ検索などの便利な基本機能がそろっています。
このシステムは、モノと違って物理的な制約がありません。そのため「こういうものを作ろう」という設計思想が一番大切です。
比較サイトを見ると、次のような単語が特徴として並んでいます。
- 適正在庫の実現・維持
- 抱えている過剰在庫の削減
- 見える化
- 生産性アップ支援
- 業務効率改善
これらは、設計思想ではありません。在庫管理システムには、大きく分けて2つの設計思想があります。これを知っておくだけで、システム選びがとてもしやすくなります。
- システムに業務を合わせる(標準化指向)
- システムを業務に合わせる(カスタマイズ指向)
前者は「パッケージ型」のシステムに多くあります。後者は「オーダーメイド型」のシステムに多く見られます。それぞれの特徴を比較しながら説明します。
システムに業務を合わせる(標準化指向)
パッケージシステムは、あらかじめ機能が搭載されていて、すぐに使えるようになっています。お試し期間があったり、デモで実際にシステムに触れたりできるのも特徴です。
すぐに使える、豊富な機能が整っているというのがパッケージシステムの良さです。しかし裏を返せば、その中にある機能の範囲内で業務を行わなければいけないということになります。
請求書などの帳票作成機能ひとつを取ってみても、帳票のフォーマットが今使っているものと全く違うでしょう。帳票に表示したい項目も、すべて整っているとは限りません。
つまり、業務内容を大幅に見直し、システムに合わせて仕事をする=「うちの独自やり方」を変える覚悟が必要です。
システムに不満を感じる点として、以下が挙げられます。
- 業務フロー・工数に合わない
- 必要な機能が無い
これは、システムに対する不満ではなく、実は選定ミスです。
最初から全ての機能を備えているので、事前に設定することや覚えることが多くあります。しっかり確認したつもりでも、抜け・漏れがほぼ間違いなく発生します。システムがきちんと動かない(設定漏れ)、操作方法がわからない(習熟不足)といった混乱です。
もう一つの注意点は、「会社の強みを保持できるか」という点です。ある会社では、システム導入時にこれまで行っていた顧客対応をバッサリと切り捨て、発注も自動化しました。その結果、強みであった各顧客とのコミュニケーションが失われてしまいました。
「標準化する」「変える」というのはとても良いことですが、強みを失うのは会社にとって致命傷です。強みを保つためにその部分だけシステムを使わないという判断もできますが、かえって作業量が増えることが多く、長い目で見ると時間というコストが積み上がっていくため適切ではありません。
パッケージシステムの中でも、絶対におすすめできない商品があります。格安の料金プランで販売されているパッケージシステムです。
月額料金など経費を抑えられるかもしれませんが、機能が限定され過ぎていて使い物になりません。特に、あらゆる業種・業界・業態で使えるとうたっている低価格のシステムが該当します。個人が運営するECサイトレベルでは使えるかもしれませんが、会社組織では役立ちません。受発注、出荷入荷管理などの機能が用意されていても、場合によってはエクセルの在庫管理表で自作できるレベルです。
厳しい言い方をしますが、格安システムはお金と時間の無駄です。導入した後で後悔することになります。
パッケージシステムを選ぶ場合は、少なくとも「業務特化型」をおすすめします。導入の方法によっては無駄な作業が無くなって一気に改善が進みますし、「業務特化型」にターゲットを絞ることで、運営会社も選びやすくなります。
システムを業務に合わせる(カスタマイズ指向)
一方で、自社のやり方をそのまま続けたいという方に人気なのがオーダーメイド型のシステムです。自社に必要な機能を注文して、システム化できます。
具体的には、在庫分析機能、ハンディターミナルやバーコードなどデバイスの活用(検品・ピッキングなど)、顧客管理システムや生産管理システム、会計システム、購買管理システム、基幹システムとの連携などが挙げられます。多様なカスタマイズができて理想的に見えますが、現実はそんなに甘くありません。
1つ目は価格の壁です。オーダーメイドシステムを依頼する際、安くても500万円近くかかります。初期コストが高いので、簡単には踏み切れないかもしれません。
2つ目は要求漏れです。言うとおりにシステムを開発してもらっても、いざ運用を開始してみると「使えなかった」ということが起こります。開発費以外のコストも発生してきます。実際に、数千万円と1年以上の時間をかけて作ったシステムが全く使えなかったという実話もあります。
オーダーメイドシステムで最も大切なのは、ユーザーがどこまで業務の洗い出しができるかという点です。今の業務をシステム化するわけですから、それは当然です。
オーダーメイドを選択する会社は、業務や仕組みが複雑な会社が多い傾向にあります。パッケージシステムでは対応できないという判断は正しいものの、きちんと洗い出しができなければ「システムが対応できない」部分が出て当然です。「これくらいでいいだろう」と途中から面倒になり中途半端な業務の洗い出しを行い失敗することもあります。
オーダーメイドシステムは、導入の仕方によっては理想のシステムになり得る可能性を秘めています。理想的なシステムが出来上がるかどうかは、全てユーザーにかかっています。納期が多少延長したとしても、中途半端に終わらせずにしっかりと詰めていくのが、オーダーメイドシステム導入を成功させるコツです。
両方の中間にあるセミオーダーという選択
パッケージを選んで業務改善に踏み切る自信がない、オーダーメイドを選んで業務の洗い出しをする自信がない。だからといって、システム化を諦める必要はありません。
セミオーダーシステムという選択があります。これは、パッケージシステムの良さとオーダーメイドシステムの良さの両方を兼ね備えたもので、必要に応じて機能を追加できる柔軟なシステムです。
セミオーダーシステムを選ぶポイントは、次の2点です。
- 最初にどれくらいの機能が入っているか
- どれくらいカスタマイズができるか
最初に入っている機能で賄うことができれば、カスタマイズの範囲が小さくなり、コストを抑えられます。いらない機能があると、混乱の原因になります。自信が無い場合は、できるだけ最初に入っている機能が少ないシステムをおすすめします。
標準化とカスタマイズのバランスが成否を決める
経験上、今までの業務を何も変えずにシステム化をしようとすると、ほぼ100%失敗します。なぜならイレギュラーだったり、属人化していたりする業務が多すぎるからです(オーダーメイドシステムで失敗する会社のほとんどがこれが原因です)。
可能な限り標準化して、そして必要な部分だけカスタマイズで対応するのが一番良い方法です。
【提供方法別】在庫管理システム3種類の比較
在庫管理システムは、開発・提供方法によってさまざまな種類があります。ここでは、提供方法で分類し、それぞれのメリット・デメリットと導入のコツを解説します。
在庫管理システムは、大きく分けて3種類あります。
- サブスク型(SaaS)
- パッケージ
- フルスクラッチ(自作)
それぞれのシステムに特徴があり、メリット・デメリット、そして導入のコツがあります。比較の軸となるのは、コスト・機能の豊富さ・カスタマイズ自由度・立上げ準備・習得時間・機能使い切り・現場理解度の7点です。
コストは、イニシャルコスト(導入までにかかる初期費用)、カスタマイズコスト(追加開発費用)、ランニングコスト(導入後の保守コスト)の3点で比較します。
機能の豊富さは、ノンカスタマイズ状態(全くカスタマイズしない状態)での搭載機能の多さを比較します。カスタマイズ自由度は、システム搭載機能に無い自社の独自業務などに必要な機能を追加できるかどうかです。対応できないシステムを選んだ場合は、システムに合わせて自社の業務方法を変える必要があります。
立上げ準備は、設定や操作を覚えるなど、運用に乗せるまでに必要な作業の多さです。主にマスターの整備と操作トレーニングが含まれます。習得時間は、搭載された機能を理解し使いこなせるようになるまでの時間、機能使い切りは搭載機能をどれだけ使い切れているかを表します。現場理解度は、開発企業が在庫管理実務をどれだけ理解しているかという指標です。
クラウドとオンプレミスの違い|よくある誤解
「サブスク型のシステム=クラウド」と考えている方は多いですが、これは正確ではありません。クラウドかどうかは、システム本体がどこに置かれているかで決まります。
AWSやAzureなどクラウド環境に置かれているシステムをクラウド型システムと呼びます。反対に、会社にサーバーを設置してその中にシステムを置く方式がオンプレミス(オンプレ)です。
自社サーバーがインターネットに接続していれば、外部からでもアクセスできます。「クラウドシステムでなければインターネット上でアクセスできない」と考えるのも誤解です。提供方法(サブスク・パッケージ・フルスクラッチ)と設置場所(クラウド・オンプレミス)は、別の軸として整理してください。
サブスク型(SaaS)の強みと弱み
SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)とは、いわゆるサブスク型の在庫管理システムです。一般的にクラウド在庫管理システムとも呼ばれています。スタートアップ企業が提供していることが多く、インターネットブラウザ上で使えるものがほとんどです。
サブスクの強みは、導入のしやすさとハードルの低さです。他のシステムに比べて、圧倒的な低コストで導入できます。一つのシステムを多くの人でシェアしているため、低コストで提供できるのです。
イニシャルコストがかかることはほとんどなく、初期ランニングコストも安く済みます。多くの人に使ってもらうことを想定しているため、シンプルで使いやすく設計されており、導入したらすぐに使え、立ち上げ準備にも習得にも時間がかかりません。ユーザーの声を取り入れて開発を続けるため、長く使うほど機能が充実していく傾向もあります。
導入のしやすさと安さを除くと、次のような弱みがあります。
自社に合わせたカスタマイズができない
多くの人に使ってもらうことを想定したサービスなので、独自のカスタマイズには対応していません。サブスク型システムに仕事のやり方を合わせる「割り切り」が必須です。対応する業務範囲を絞っていることも多いため、既存システム(会計や販売システムなど)との連携がどこまで可能かが、導入後の運用の成否を分けます。
ある日突然仕様が変わる
サブスクは多くの人に共通のサービスを提供する最大公約数型のシステムです。多くの人の声や会社の経営方針によって改修が行われるため、搭載されていた機能が無くなったり、画面のデザインが変わったりする可能性があります。
サポートが限定的
低コストで提供するため、導入後の質問対応などのサポート体制が充実していないことが多いです。電話対応をしておらず、メールのみという場合も珍しくありません。
思ったよりも高い
サブスクの利用料金は、導入初期は無料あるいは安く設定されています。しかしユーザー数や使用回数、使用できる機能などにグレードが設けられていることがほとんどで、制限を解除したりグレードを上げたりすると、料金が徐々に上がっていきます。結果として、他のシステムを導入する場合と費用があまり変わらないケースもあります。
サブスク型のシステムを導入するには、2つのポイントがあります。1つは、カスタマイズができない前提を潔く受け入れることです。「ここまでしかできない」と諦める、今までの業務を変える、という割り切りが必要になります。もう1つは、他システムとの連携です。在庫管理システムは単体ではなく、会計や販売など他のシステムと合わせて利用することの方が多いため、既存システムと連携できるかどうかを事前に確認しておいてください。
パッケージ型の強みと弱み
パッケージ型は、昔からある伝統的な在庫管理システムです。インターネットブラウザではなく、会社のPCにインストールして利用するものがほとんどです。
長い伝統
長い間提供されているシステムが多く、安定していて成熟しています。初めからシステムに搭載された機能が多く、ジャストフィットすれば自社の業務を広くカバーできる可能性があります。
関連商品の多さ
在庫管理システムのほかに、自社で会計や販売、物流システムなどの関連商品を同時に提供していることが多く、自社の業務をオールインワンでシステム化しやすいです。搭載機能に含まれていない機能もカスタマイズで対応できることが多くあります。
一方で、次のような弱みもあります。
コストの高さ
イニシャルコストで数百万円、さらにカスタマイズで数百万円、ランニングコストに月10万円超〜と、導入・保守コストも比較的高くなりがちです。
複雑さ
機能の豊富さはデメリットにもなります。幅広く対応できる裏返しとして、自社に不要な機能もたくさん含まれます。システムの特性上、不要な機能を省くことはできず、使用しない機能にまで費用を払っていることになります。
立上げ準備が大変
システムを稼働させる初日までに、設定を全て終えておく必要があります。この作業を怠ると、設定が中途半端な状態でシステムが動くことになり、障害が起こりやすくなります。システム導入初期の混乱は、だいたいこれが原因です。通常業務をやりながら混乱を収めていかなければならないため、かえって業務が激増することもあります。
習熟に時間がかかる
機能が豊富な分、ボタンやメニューの数が多く、マニュアルが数百ページに及ぶこともあり、全容を把握するのが大変です。覚えようとする人が限られ、システムを使う人が固定化され、属人化を招くこともあります。
機能を使い切れない
搭載機能は単独では動かず、他の機能と補完し合いながら動くことが多いため、一つ設定や手順を間違うと想定外の問題が起こりやすくなります。在庫管理・生産管理の知識が十分でないと、複雑に絡み合った機能を使い切れず、ごく限定された機能だけを使ってその他はエクセルで運用するというケースも珍しくありません。1千万円を超えるシステムが、単なる「伝票発行マシン」になっている例も見られます。
デモの罠
パッケージ型は長く販売されているため、営業ノウハウが蓄積されています。何を見せれば顧客が納得するかを研究しているため、デモに感心して導入したものの、実際には「使わない」「使えない」機能だったということも起こります。原価管理や生産計画系、グラフ、自動処理などのビジュアル要素で、この傾向がよく見られます。
パッケージ型をうまく導入するには、機能の豊富さや見栄えなどの営業トークに踊らされないことが大切です。自社の業務を棚卸しし、デモの際に「この業務方法は御社のシステムで実現できるのか」を必ず確認してください。在庫管理担当者、現場、システム担当者ができる限り集まり、搭載機能で業務を回せるか、回せない場合はカスタマイズが可能かを確認しましょう。
価格の差だけで決めないことも重要です。複数の会社から相見積もりを取ることになりますが、価格を決め手にしてはいけません。自社の課題を解決し、必要な機能を過不足なく搭載できているかどうかで選んでください。システムは長く使うものであり、自社に合わないシステムを導入すると、かえって業務効率が落ちます。
フルスクラッチ(自作)の強みと弱み
フルスクラッチとは、一から作るシステムです。プログラミング言語で開発する方法のほか、エクセルのマクロで作る方法もあります。サブスクやパッケージのように搭載機能に縛られることはなく、機能も構築方法も自由です。エクセルでの自作については、在庫管理システム自作の記事で具体的な手順とメリット・デメリットを解説しています。
開発の自由度
何といっても自由に開発できる点が強みです。機能だけでなくデザインも自由で、自由度を生かせばその会社だけのシステムを構築できます。開発範囲を明確に定義して絞り込めば、パッケージ型の機能を搭載しつつ自社に必要な機能だけを盛り込んだシステムも実現できます。
一方で、次のような弱みがあります。
導入までに時間がかかる
一から開発するため、開発が終わるまでは一切利用できません。
緻密な業務理解と対応した設計が必要
システムを開発する人と、開発範囲の業務を理解している人の連携が欠かせません。この連携がうまく取れていない企業は多く、業務側は「開発側がこれくらいはやってくれているだろう」と考え、開発側は「これは不要だろう」と考え、双方の思い込みがずれたまま進んでしまうことがあります。開発者に現場経験がないことも多く、言われたことは開発できても、それ以上は対応できず、動かしてみたらうまく動かなかったという事態も起こります。
部署間のしがらみ・パワーバランス
フルスクラッチシステムの開発は、全社参加が前提です。しかし実際にはプロジェクトへの欠席や資料の読み込み不足が起こりやすく、適当なプロジェクトから生まれたシステムは穴だらけになりがちです。声の大きな部署の意見が優先されすぎることも要注意です。
つぎはぎだらけのシステムになりやすい
何でも自由にできることの裏返しとして、歯止めが効かなくなります。特定の人しか使わない機能やメニューを開発しがちで、対処的なカスタマイズを重ねるうちにシステム自体が複雑になり、開発者でも見抜けない期せぬエラーやシステム停止が起こりやすくなります。
開発コストが高い
一から設計・開発するため、導入コストは膨らみやすくなります。自社で開発する場合も、多大な時間を使うため自給換算すれば大きなコストになります。業務把握が不十分だと想定外の追加開発が発生しやすく、大工事が必要になって費用がかさむことも少なくありません。保守費もそれなりに高額になります。
フルスクラッチシステムを導入する際は、次の5点に注意してください。
- 社内にシステム開発ができる人が必要(外注の場合は理解して対等に話せる人)
- 特定の声だけを拾わず、全社参加で全体最適を心がける
- 開発範囲を決める
- 開発内容を引き継げるようにドキュメントに残す
- データベース設計をしっかりとやる
在庫管理システムの選定ポイント6つ
在庫管理システムの選定ポイントは以下6つです。
- 拡張性の高さ
- 機能の種類
- 他システムとの連携
- 操作性の良さ
- サポート体制
- 導入期間と運用までの作業量
それでは、順に解説します。
1.拡張性の高さ|汎用・業界特化・カスタマイズ可能の3タイプ
在庫管理システムの拡張性には「汎用タイプ」「業界特化タイプ」「カスタマイズ可能タイプ」の大きく3種類があり、それぞれで搭載機能が変わります。
汎用タイプは、多種多様な企業で使用できる汎用性の高いシステムです。基本的な在庫管理機能があるほか、オプション追加で機能拡張できる場合があります。ただし企業ごとの現場に合わせたカスタマイズはできないため、ベーシックな在庫管理で十分な企業向けです。
業界特化タイプは、特定の業界向けにカスタマイズされた機能を備えています。業界のニーズに合わせて開発されているため、より効率的な在庫管理が可能です。主に製造業界、通販・小売業界、医療業界向けのシステムが多いですが、汎用タイプ同様、企業に合わせたカスタマイズの余地は少なめです。
カスタマイズ可能タイプは、企業固有のニーズに合わせてカスタマイズできる柔軟性があります。複雑な業務プロセスや海外仕様に合わせたシステムなどを開発でき、自社に最適な在庫管理システムとなります。ただしカスタマイズには時間とコストがかかるため、導入前に必要性を慎重に検討してください。
自社に最適なシステムを選ぶには、業務プロセスと現場ニーズを正確に把握し、3タイプを比較検討する必要があります。見極めが難しい場合は、専門知識の豊富な従業員や専門家にアドバイスを仰ぐのもよいでしょう。
2.機能の種類|企業規模で必要な機能は変わる
在庫管理システムには、在庫の受発注、在庫数の管理、商品情報の登録、納品書の発行、棚卸しの実施、売上と在庫残高の管理など、多岐にわたる機能があります。自社の業務プロセスに適した機能がそろっているかどうかは非常に重要です。
在庫管理システムの機能は企業規模によっても異なります。小規模な企業では在庫管理と売上管理のみで足りる場合がありますが、大規模な企業では発注管理や受注管理、棚卸し管理など、より多くの機能が必要になる場合があります。自社の業務プロセスと現場ニーズを正確に把握したうえで選定してください。
3.他システムとの連携|API・CSVなど連携方式も確認
在庫管理システムを選定する上で重要なポイントの1つが「他システムとの連携ができるか」です。連携によるメリットには次のようなものがあります。
- ECサイトとの連携で、在庫情報をリアルタイムに更新し在庫切れを回避できる
- POSシステムとの連携で、販売実績管理と在庫管理を効率的に行える
- CRMシステムとの連携で、顧客情報と在庫情報を統合管理し迅速な受注処理や配送管理ができる
連携手段には、ファイル転送・API・メッセージキューイングの3方式があります。ファイル転送は送信側システムからファイルを出力し、SMBやFTPなどの通信規格で受信側に送る方法です。APIはシステムの一部をインターネット上で公開してリアルタイムに連携する方法で、実装には社内にプログラミングの知識を持つ人が必要になります。メッセージキューイングは、送信側が一度第三のシステムにデータを預け、受信側がそこから受け取る方法で、大容量データの送受信には不向きです。
どの方式にもメリット・デメリットがあるため、自社に向いている方式で現実的に運用できるかを慎重に検討してください。
小売業向けの在庫管理・POS連携の事例としては、開発会社のユーエスエスが提供する小売業向けシステムや、アスのレジも参考になります。
4.操作性の良さ|新入社員やパートでも使えるか
在庫管理の専門用語を知らない新入社員やパート・アルバイトでも使いやすい画面になっているかがポイントです。操作性が悪いと、作業効率が落ちたり利用者のストレスがたまったりすることがあります。
操作性を確認する際は、画面上の情報が整然と配置されメニューやボタンが分かりやすいか、ボタンの色やフォントなど利用者が使いやすいデザインになっているか、エラー発生時にどのようなエラーかが分かりやすく表示されるか、といった点に注目してください。操作性のよい画面設計がされているシステムを選べれば、作業効率を向上させられます。
5.サポート体制|キャッシュフロー改善まで見てくれるか
導入後にトラブルが発生した場合や操作に困った場合、システムを有効活用する方法を知るためには、運営会社からの適切なサポートが必要です。対応時間や対応方法、サポート体制の充実度を確認しましょう。チャットやメールのみの対応では、やり取りに時間がかかり復旧や運用再開が遅れます。24時間365日の対応があるか、サポートは有料かなどを事前に確認してください。
システムのアップデートやバージョンアップを適切に提供してくれるかも確認しておくべき点です。
キャッシュフロー改善までのアドバイスをしてくれる運営会社は、実は多くありません。在庫管理システムは業務効率化を実現できますが、システムの使い方だけでなく在庫管理によるキャッシュフロー改善のノウハウがある運営会社を選べば、業務効率化とキャッシュフロー改善の両方を実現できます。
6.導入期間と運用までの作業量
導入期間が長引いたり、システムの使い方が難しかったりすると、作業効率が落ちてしまいます。次の点を確認しておいてください。
- 導入前にシステムの試用ができるか
- 利用者マニュアルが充実しているか
- システムの使い方が直感的であるか
- トレーニングやサポートが充実しているか
- 品目登録作業はCSVで一括登録できるか
【DL】在庫管理システム比較チェックシート
ここまで紹介した6つのポイントを、実際の比較検討で使えるチェックシートにまとめました。下記から無料でExcel版とPDF版をダウンロードできますので、ご自由にご活用ください。
在庫管理システムを比較する前にやるべき3つの準備
在庫管理システムの比較検討前に必ずやるべきことがあります。「目的の明確化」「コストの試算」「システム導入後の業務体制」を考えることです。この3点を事前にやっておくと、スムーズなシステム導入と運用ができるようになります。
目的の明確化|必要な機能とシステムの種類が決まる
在庫差異をなくしたい、属人化した業務を改善したい、在庫管理業務を効率化したい、キャッシュフロー改善したいなど、導入の目的を明確化させます。理由は2つあります。1つは、必要な機能や選択すべきシステムの種類が明らかになるからです。在庫管理の自動化や業務の効率化が目的ならカスタマイズ可能タイプが適しますが、在庫数の正確な管理が目的であれば、基本機能がしっかり備わった汎用タイプで十分です。もう1つは、システム導入後の成果を評価できるからです。導入前に目標を設定することで、導入後にどの程度の成果を上げられたかを評価できます。
コストの試算|初期導入コストとランニングコスト
在庫管理システムの導入にかかるコストは、初期導入コストとランニングコストです。初期導入コストには、ハードウェアやソフトウェアの購入費用、カスタマイズ費用、導入に伴う作業費用などが含まれます。ランニングコストには、メンテナンス費用、サポート費用、更新費用などが含まれます。
目安として、オンプレミス型は数十万〜数百万円の初期費用がかかりますが、クラウド型は初期費用0円で始められるサービスもあります。初期導入コストとランニングコストを試算すれば、導入後の運用コストを正確に見積もり、予算が立てられます。予算が足りない場合は導入を延期するか、別のシステムを選ぶ必要があるため、契約前に予算を把握しておいてください。費用の詳しい相場は在庫管理システムの費用の記事で解説しています。
システム導入後の業務体制
導入後、業務を円滑にするために、今後の在庫管理業務に必要な要員や時間を考えます。システム導入により従業員の業務負担が軽減されて時間に余裕が生まれ、他の業務と兼用できる場合があります。
在庫管理の専門知識がない従業員でも操作できるシステムであれば、正社員からパート・アルバイトへ業務の引き継ぎができ、正社員の配置転換も可能になります。導入によって業務がどう変わるのかを考え、担当者や役割分担を見直しましょう。
【比較表】おすすめの在庫管理システム12選
数ある在庫管理システムの中から、機能・システム連携・価格・サポート体制・対応業種の5つのポイントをもとに、12社を厳選しました。まずは一覧表で特徴をつかんでください。
| システム名 | 特徴 | 価格 | 対応業種 |
| 成長する在庫管理システム | 初心者でも使いやすく、業種・業態に合わせたカスタマイズが可能 | 本体70万円/保守月額17,900円〜/30日無料 | EC事業、販売業、卸売業、製造業など |
| アラジンオフィス | 導入実績5,000社以上。業種特化パッケージとCROSS-OVERソリューション | 非公開(目安200万円〜) | あらゆる業種に幅広く対応 |
| zaico | シンプルな操作性で低価格 | 月額3,980円〜/無料プランあり | EC・小売・卸売・販売・輸入販売・製造業など |
| eee CLOUD | 汎用性が高く将来発注の管理も可能 | 月額2万円〜/2週間無料 | EC・卸売・販売・製造・サービス業など |
| ロジクラ | EC事業特化。3拠点まで無料プランあり | 月額9,000円〜/無料プランあり | EC事業・小売業 |
| flam | 販売管理に特化し売掛金・仕入れも一元管理 | 月額9,300円〜 | EC事業・小売業・販売業など |
| 楽楽販売 | API連携に優れ手厚いサポート | 初期15万円/月額6万円〜 | EC事業、卸売業、販売業、製造業など |
| TEMPOSTAR | 複数ECモールの在庫を一元管理。電話サポートあり | 月額10,000円〜/30日無料 | EC事業 |
| イチゴクラウド | アパレル業界特化。ECサイト作成代行も対応 | 非公開 | アパレル業・EC事業 |
| Mr.Stream/Xble | 大規模倉庫向けWMSと従量課金のスモールスタート型WMS | 要問い合わせ | メーカー・流通・小売・精密機械・医薬品・食品など |
| CHAINS Z/GROWBSⅢ/TRADING | 小売・卸売・貿易業向けの基幹システム群 | 要問い合わせ | 量販型小売業、卸売業、貿易業 |
| RECORE | リユース・小売特化。買取管理と複数ECモール連携 | 月額課金制/初期費用なし | リサイクル・買取・アパレル・小売全般 |
ここから、それぞれの特徴を詳しく紹介します。
中小企業向け|成長する在庫管理システム
「成長する在庫管理システム」は、瀬戸内scm株式会社が提供するクラウド型在庫管理システムです。標準搭載されている機能は、在庫管理に本当に必要なものだけに絞られているため、初心者でも使いやすいのが特徴です。導入後は業種・業態に合わせたカスタマイズが可能で、自社のニーズに合った「使いやすい」ソフトに成長させられます。
他社製品と異なる点は、カスタマイズ性に優れていること、操作がシンプルであること、在庫管理の専門家が導入を支援することです。価格はシステム本体70万円、保守費用は月額17,900円〜で、30日間の無料お試し期間があります。初心者でも使いやすいクラウド型を探している方、まず在庫管理機能だけ導入して必要な機能を追加していきたい方におすすめです。
幅広い業種に対応|アラジンオフィス
アラジンオフィスは、導入実績5,000社以上、リピート率98.2%を誇る在庫管理システムです。業種や業態に特化した機能をパッケージ化して提供している点が最大の特徴で、アパレル、食品はもちろん、医療や鉄鋼、非鉄業界にも対応しています。「CROSS-OVERソリューション」により、ECサイトと実店舗の情報を一元管理できます。
他社製品と異なる点は、幅広い業種への対応と、他システムとの連携性の高さです。価格は非公開で目安約200万円〜。複数店舗とECサイトの情報を一元管理したい方、業種・業態にあったシステムがなかなか見つからない方に向いています。
低コストで始める|zaico
zaicoは、シンプルな機能でわかりやすく、誰でも簡単な操作で在庫管理ができるクラウド型システムです。月額3,980円から利用でき、あらゆるパソコンやスマートフォンで利用できるため、高額な専用機器を購入する必要もありません。
他社製品と異なる点は、利用料金の安さと初心者でも操作しやすいシンプルさです。初期費用なし、月額3,980円から、無料プランもあります。利用コストをなるべく安く抑えたい方におすすめです。
汎用性が高い|eee CLOUD
eee CLOUDは、テービック株式会社が提供するクラウド型在庫管理システムです。受発注管理や入出庫管理、棚卸といった機能が標準装備されており、汎用性が高くさまざまな業種で導入できます。入出庫データをもとに将来発注する在庫の管理も行えるため、在庫切れや納期遅れの防止にも役立ちます。
他社製品と異なる点は、汎用性の高さと将来の発注管理までできる点です。初期費用無料、月額2万円から、2週間の無料お試し期間があります。製造業やサービス業でも利用しやすいシステムを探している方に向いています。
EC事業向け|ロジクラ
ロジクラは、EC事業に特化した在庫管理システムです。複数拠点(3拠点まで)の在庫を一元管理でき、1拠点かつ出荷量50件/月までなら無料で利用できます。ただし専用のハンディターミナルか、連携したiPhone(Androidは非対応)が必要です。
他社製品と異なる点は、EC事業への特化と無料プランの存在です。初期費用無料、月額9,000円から、14日間の無料お試し期間があります。まずは無料でクラウド型システムを試したい方におすすめです。
販売管理も一元化|flam
flamは、株式会社FLIPLOGICが提供するクラウド型システムです。販売管理に特化しており、在庫管理はもちろん、見積書の作成や売掛金の回収予定、販売・仕入れなどについても一元管理できます。
他社製品と異なる点は、在庫管理だけでなく売掛金の回収予定や仕入れも一元管理できることです。初期費用無料、月額9,300円から利用できます。販売業に特化したシステムを導入したい方に向いています。
手厚いサポート|楽楽販売
楽楽販売は、在庫管理はもちろん業務データの集計・分析に適したクラウド型システムです。CSV形式でのデータ取り込み・出力に加えAPI連携も可能で、さまざまなシステムと連携できます。
他社製品と異なる点は、手厚いサポートと外部連携の高さです。初期費用15万円、月額6万円からと初期費用・月額料金は高めですが、手厚いサポートとセキュリティ対策が万全な点が強みです。サポート体制が充実したシステムを求める方におすすめです。
複数ECモール連携|TEMPOSTAR
TEMPOSTARは、EC事業の在庫管理に特化したクラウド型システムです。楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなどと連携でき、複数のECサイトの在庫情報を一元管理できます。電話サポートに対応しており、障害発生時は即時に対応してもらえます。
他社製品と異なる点は、EC事業への特化と電話サポートの充実です。初期費用無料、月額10,000円から、30日間の無料お試し期間があります。EC事業に特化したシステムを導入したい方に向いています。
アパレル業界特化|イチゴクラウド
イチゴクラウドは、アパレル業界に特化したクラウド型システムです。複数拠点の在庫を一元管理できるほか、ECショップの作成代行サービスやWeb展示会開催のサポートも受けられます。過去の在庫・販売データから売れ筋商品を予測する機能や、最適な営業手法を提案する販促機能も備わっています。
他社製品と異なる点は、アパレル業に特化した機能設計と、ECサイト運営のサポートです。価格・システム連携は非公開です。アパレル業に特化したシステムを利用したい方、在庫管理だけでなく経営や販促に役立つ機能もほしい方に向いています。
大規模倉庫向け|Mr.Stream・Xble
「Mr.Stream」と「Xble」は、シーオス株式会社が提供する倉庫管理システム(WMS)です。在庫管理だけでなく、入出庫業務の標準化・効率化まで一貫してサポートします。Mr.Streamは大手企業でも採用される大規模倉庫向けWMSで、オンプレミス・クラウドの両方に対応し、複雑な要件や高処理量にも柔軟に適応します。Xbleは使った分だけ支払う従量課金型で、スモールスタートに最適なクラウドWMSです。
他社製品と異なる点は、ロボット連携やTMSなど周辺ソリューションも一体で提供できる点、実データに基づいた戦略立案から運用までを一貫してサポートできる点です。価格はいずれも要問い合わせ。医療・製薬など高い精度が求められる分野の倉庫管理を行いたい方、必要な機能だけを選んでムダのない運用を実現したい方におすすめです。
小売・卸売・貿易特化|CHAINS Z・GROWBSⅢ・TRADING
株式会社テスクは、スーパーマーケットやドラッグストアなどの量販店向けに小売業向け基幹システム「CHAINS Z」、量販店との取引が多い企業向けに卸売業向け販売管理システム「GROWBSⅢ」を提供しています。関連会社の株式会社サンプランソフトは、貿易管理システム「TRADING」を提供しており、輸出入・国内販売管理業務を一元管理できます。
CHAINS Zは累計400社以上、GROWBSⅢは累計200社以上、TRADINGは2,000社以上の導入実績があります。いずれも価格は要問い合わせです。基幹システムの刷新・リプレイスを検討している小売業・卸売業、輸出入業務を効率化したい商社・製造業に向いています。
リユース・買取業向け|RECORE
RECOREは、リユース・小売業に特化したクラウド型基幹システムです。POSレジ・在庫管理・顧客管理・EC一元管理・買取管理など、店舗運営に必要な機能をひとつに集約しています。1億件以上の商品データカタログを活用した買取サポート機能を搭載しており、商品データ・販売相場・過去の売買履歴・現在の在庫数を1画面で確認できます。Amazon・楽天市場・ヤフオク・メルカリShopsなど複数ECモールへの同時出品や在庫自動連動にも対応しています。
他社製品と異なる点は、買取サポート機能と複数ECモールへの標準対応です。月額課金制で初期費用なし(プランにより異なる)。実店舗とECの在庫・顧客管理を一元化したい方、買取査定の標準化やスタッフ育成コストを削減したい方におすすめです。
小規模事業者が選ぶべき4つのポイント
従業員数名〜数十名の小規模事業者がシステムを選ぶ際は、次の4点を押さえておくと失敗しません。
- クラウド型在庫管理システムを選ぶ
- カスタマイズ機能が充実しているシステムを選ぶ
- 自社の状況に適した在庫管理システムを選ぶ
- 万全なサポート体制を備えるシステムを選ぶ
クラウド型はオンプレミス型に比べて初期費用が圧倒的に安く、サーバー管理の手間もかかりません。カスタマイズ機能の充実度は、会社の成長に合わせて機能を追加できるかどうかを左右します。自社の業種・業態に適したシステムかどうか、そして万全なサポート体制があるかどうかも必ず確認してください。小規模事業者向けの製品比較は中小企業の在庫管理システムの記事で詳しく紹介しています。
システム開発会社を見極める7つの基準
システム会社の中には、案件を獲得するために言葉巧みに素晴らしい業務効率化を語るところもあります。あれもこれも「できます!」という業者は要注意です。システム開発の現場にいたからこそ分かる、開発業者選定の7つの基準を解説します。
- 実績と経験
- 業務に精通しているか
- 過度な期待をしない
- 技術力と専門知識
- コミュニケーション能力
- コストと価格設定
- アフターサポートと保守
1.実績と経験|大手=良い会社ではない
システム開発業者がもつ業界経験を確認します。過去のプロジェクトや実績を見て、技術力を評価してください。ホームページに実績が載っていない場合は、気軽に問い合わせましょう。顧客情報の漏えい防止など様々な理由で、公に公開していないケースもあります。
ただし、次の3点には注意してください。
- 大手=良い会社ではない
- 導入実績が全てではない=導入数が多くても、運用が正しく回っているとは限らない
- 導入実績が多いシステムが自社に最適とは限らない
2.業務に精通しているか
業務システムの開発会社に重要な要素は、「その業務を理解しているか」という点です。業務のことを全く理解しておらず、本を読んだ知識だけでお客様に提案や「こうすべき」という開発会社もいます。
お客様の業務から考えると「あり得ない提案」をしていた開発会社の実例があります。ある大手システム会社は、最新技術で楽になるという理由だけでRFID(ICタグ)を使った在庫管理の仕組みを提案しました。しかし相談した会社の品物・管理方法はRFIDに全く合わないものであり、話が平行線のまま1年半、プロジェクトが全く進展しませんでした。
実際にヒアリングをしてみると、対象がRFIDには全く不向きだと判明しました。むしろIoT重量計の方が向いていたのです(IoT重量計が向いている在庫管理は、RFIDが向いている在庫管理とは真逆になります)。知識として知っているだけではなく、できる限り業務のことを理解している会社を選定してください。
3.過度な期待をしない|「何でもできます」はNG
システム開発会社が、何でも要望は叶えるというスタンスには注意してください。システムは万能薬ではなく、さまざまな制約の中で開発していくものです。蓋を開けてみると、思っていたシステムと違う、理想と現実のギャップが大きくなるということが起こります。
機能が増えれば増えるほど理想に近づくように思えますが、実は逆です。機能が多ければ多いほど、思った通りの機能をそのまま実現することが難しくなります。あれもこれも「できます!」というよりも、プロジェクトの目的をしっかりと理解して、むしろブレーキをかけてくれるシステム開発会社の方が良いことが多いです。
4.技術力と専門知識|レガシーシステムの4つの問題
システム開発業者がもつ技術スタックや使用しているツールを確認します。特に注意したいのが、レガシーシステム(メインフレームやオフコンなど、1980年代以前に多くの企業が導入した時代遅れの古いシステム)に関わる4つの問題です。
技術的負債の問題
レガシーシステムは古い設計思想、プログラミング言語で構築されていることが多く、これらの技術に精通している開発者が少なくなっています。不具合が起こった際に対応できる人材が少なく、今後さらに減っていきます。構造が複雑であるため、新しい機能の追加や既存のバグ修正が困難になることもあります。
データ統合・連携の問題
レガシーシステムは、現代のシステムやアプリケーションとの統合が難しい場合があります。APIが不足しているか全くないため、他システムとのデータ連携が困難になり、手作業やエクセルの業務が増えて業務プロセスの遅延や生産性低下につながります。
運用コストの問題
古いシステムを稼働させ続けるには、特殊なハードウェアや専門的なサポートが必要になることがあります。対応できる会社や技術者が限定されるため、コストがかさみやすく、古い技術を持つ人材のコストも高くなる傾向にあります。長い目で見れば、システムを入れ替えるよりもコスト増になるケースが多いです。
セキュリティリスク
古い技術は新しいセキュリティ脅威に対して脆弱であることが多く、定期的なセキュリティ更新やパッチが提供されないことがあります。これにより、データ漏えいやシステム侵害のリスクが高まります。
5.コミュニケーション能力
システムは依頼すれば完璧にできるわけではありません。システム会社とあなたの会社の対話がとても重要です。どれだけ技術的に優れた業者でも、システムの仕様を決める際に円滑なコミュニケーションが取れないと良いシステムはできません。プロジェクト管理や進捗方法を確認しておいてください。
6.コストと価格設定|価格最優先はほぼ失敗する
予算に合った見積もりを提供しているか確認します。初期費用+ランニングコストを加味して、自社の予算に合うか確認してください。
ただし、価格の安さを全面に売り出している業者には要注意です。システムの品質が悪かったり、内包しているサービスが少なかったりする場合があります。見積もり段階では安くても、開発途中で追加費用が発生するなど隠れたコストが存在することもあるため、提示された価格内でどこまで対応してもらえるのかを確認してください。
価格を最優先条件に持ってくると、ほぼ間違いなく失敗します。自社に合わないシステムを無理やり使わざるを得ないことが多いためです。低コストシステムの導入で成功している会社は、自社の業務を全てシステムに合わせられる会社、あるいはシステムでやる業務とそうでない業務をきちんと切り分けられる会社です。そうでない会社は、価格を最優先条件に持ってくることは絶対に避けてください。
7.アフターサポートと保守
システム導入後のサポートについて確認します。自社の営業時間内にサポートしてもらえるか、サポート方法は何かを確認してください。サポート方法には、電話、メール、訪問、オンラインミーティングなどがあります。特に導入直後のサポートが手厚いところは安心できます。
大手企業の場合、実際に開発しているのが下請け(孫請け)企業というケースも多く、対応が遅くなる場合もあるため注意してください。
【要注意】選んではいけない開発会社の特徴
システム会社は案件を獲得するために、言葉巧みに素晴らしい業務効率化を語ります。軽快な営業トークに騙されないこと、あれもこれもやりたいという要望に、時にはブレーキをかけてくれるくらいがちょうど良いです。危ないキーワードは次の3つです。
- なんでもできます(完全なフルスクラッチでない限り、必ずシステムには制約がある)
- ビジュアルに傾斜したプレゼン(視覚的に分かりやすいグラフ、バーコードやQRの発行など)
- 最新技術を乱発(AI、ICタグなど、見た目上すごそうな技術を全面に押し出してくる)
技術に明るくないことを逆手にとってくる会社もあれば、自社の技術の向き・不向きを理解していない会社もあります。ある会社から「自社の在庫管理システム導入プロジェクトが全然進まない」という相談を受けました。大手システム会社に決めてプロジェクトを開始したものの、1年半以上進展がないというものでした。
ヒアリングで発覚した問題は2つです。1つ目は、その会社の商品特性・管理特性に合わない在庫管理の方法を勧めていたこと。システム会社は「楽になるんだからユーザーは運用を変えてもらえば良い」の一点張りで、相談した会社は自社の運用を変えるイメージがどうしてもできず、話が全く進みませんでした。
2つ目は、システム会社が下請けに丸投げしていたことです。近年は「IT土建」と揶揄されるほど、IT業界でも建設会社のように下請けが多重構造になっています。大手システム会社は下請けに無理な金額や開発期間で、内容をよく理解せず「何とかしろ」と丸投げしていました。下請け会社は何とか頑張ろうとしたものの、限界に達したときに「できない」と告白する状態でした。
結局、当初の下請け業者はプロジェクトを辞退し、元請けの大手システム会社は別の会社を探すことになり、プロジェクトは振り出しに戻りました。相談者はプロジェクトを一旦中止し、そもそもこの開発プロジェクト自体が妥当だったのかを考えることになりました。使えないシステムを導入するという最悪の事態は免れたものの、費やした1年半という時間は取り戻せません。
もう一つ注意したいのが、見積が一式(不明瞭)の会社です。ヒアリングを丁寧に行わずに「システム開発一式」などと価格提示をするような会社は要注意です。とりあえず予算に近い価格を提示してくるものの、実際の開発金額と大きな乖離があることの方が普通です。ヒアリングを丁寧に行ったうえで、何にいくらかかるのかを明示する開発業者を選んでください。
導入を成功させるには経営者と現場の両方が関わること
システムの導入をすすめるうえで絶対にやってはいけないのが、次の2点です。
- システムに詳しい人(情報管理部など)だけで導入を進める
- 本社の人の意見を色濃く反映してしまう
システムを使うのは現場です。システムを使わない人が理想や思い込みだけでシステムを作ってしまうと、ほとんどの場合、現場のニーズとは異なるものになります。これは絶対に避けるべきです。
もちろん、現場の人に丸投げも困ります。中途半端な検討や、自分たちの目先の都合の良さを優先することが起こりやすいためです。
経営者など意思決定者の参加が欠かせません。システム導入の目的と合っているか、自社が抱える課題が明確でそれを解決できるか、目先の利便性ではなく全体としてパフォーマンスが上がるか利益があるのかなど、複数の視点から経営的な立場で徹底したチェックをすることが求められます。
外部アドバイザーを入れるとトータルコストは下がる
初めての導入で自分たちだけで本当に良いシステムを構築できるか不安、もうシステムの導入で失敗したくない、できるだけシステムにかけるコストを減らしたい。こう考えている方は、業務とシステムの両方に詳しい専門家と一緒に導入を進めることをおすすめします。
外部のアドバイザーを雇うコストはかかりますが、後々のトラブルを未然に防ぎ、必要のないカスタマイズをしないため、トータルコストとしては安くなります。
システム会社でも導入のサポートはありますが、運用のサポートはありません。システム会社の担当者に相談すると「○○はこうやって改善してください」というアドバイスはもらえますが、「具体的にどうすればいいのか」と聞き返すと「それは自分たちで考えてください」と返されることがほとんどです。教科書を読んで勉強はしていても、実務経験がないから分からないのです。
システム化は導入で終わりではなく、そこからがスタートです。日々行う運用こそが一番大切です。
よくある質問
在庫管理システムはいくらぐらいですか
クラウド型は初期費用0円〜、月額数千円から始められるサービスが中心です。オンプレミス型やパッケージ型は、数十万〜数百万円の初期費用がかかります。詳しい相場や内訳は在庫管理システムの費用の記事で解説しています。
在庫管理システムは自作できますか
エクセルのマクロやプログラミング言語を使えば自作できます。ただし、複数人での同時操作、変更履歴の記録、細かい権限設定には限界があります。エクセルでの自作の具体的な手順は在庫管理システム自作の記事で解説しています。
販売管理システムとの違いは何ですか
在庫管理システムは在庫の数量や動きを管理するのに対し、販売管理システムは見積・受注・出荷・請求といった販売業務全体を管理します。両方の機能を兼ね備えたシステムもあるため、自社が管理したい範囲に応じて選んでください。詳しくは販売管理システムの記事で解説しています。
まとめ|設計思想を決めてから機能を比較する
在庫管理システムの選び方について解説しました。機能の一覧から比較を始めると、どのシステムも良く見えて必ず迷います。まず「システムに業務を合わせる(標準化指向)」か「システムを業務に合わせる(カスタマイズ指向)」かを決めてください。
そのうえで、提供方法(サブスク・パッケージ・フルスクラッチ)、選定ポイント6つ、開発会社を見極める7つの基準の順に絞り込んでいけば、機能比較だけでは見えてこない、自社に本当に合ったシステムを選べます。
今回お伝えしたノウハウは、あくまでも一部です。より具体的なアドバイスが欲しいという方は、お気軽に「在庫管理110番」までお問い合わせください。
在庫管理システムを導入した企業の約75%が不満を持っています。この現状を変えるために開発したのが、「成長する在庫管理システム」です。在庫管理のことを知り尽くした専門家が企画し、現場での使いやすさを第一に考え、直感的で分かりやすく誰にでも使える設計にしました。



