『在庫管理110番』は、在庫管理に関する総合窓口です。
- 適正在庫にしたい
- 過剰在庫・欠品を減らしたい
- 誰でもできる在庫管理の仕組みを作りたい
- 棚卸を早く正確に終わらせたい(実施回数を減らしたい)
- 製品の原価管理をしたい
- 在庫管理システムを導入(入れ替え)したい
基礎知識だけではなく実務経験に基づいたノウハウですぐに現場で活かせる方法や考え方を「400以上のコンテンツ」として発信中。
『在庫管理110番』では、在庫管理に関して、あなたの知りたい事がきっと見つかります。
このページでは「在庫管理の重要性・考え方」、そして「現場ですぐに使える方法」を重点的に解説します。
流れとしては、以下の通りです。
- 在庫管理と何か?
- なぜ在庫管理は重要なのか、なぜ必要なのか?
- 在庫管理のメリット(どんな効果があるのか?)
- 在庫管理の方法(「現品管理」と「データ管理」)
トヨタ自動車やコストコなど、優良企業は在庫管理を徹底して実行しています。それは在庫管理の重要性・メリットを深く理解して、現品管理とデータ管理を地道にしているからです。
売上が好調だと在庫管理は後回しになりがちです。しかし、売れ行きが傾けば一気に問題が出てきます。在庫管理を始めるなら、うまく回っている時がチャンスです。基本から忠実に実行できる内容をまとめました。
<これから在庫管理を学ぶ方へ>
最初から読んで基礎知識を身につけてください。
今後の在庫管理は、AI技術の導入やIoT・システム化が推進されていきます。まずは土台を身につける必要があります。
<実務で活かせる方法を知りたい方へ>
目次の「6.在庫管理の方法」以降をご覧ください。
在庫管理をする方法について、モノ自体を管理する「現品管理」と情報を管理する「データ管理」を、在庫管理のプロが、それぞれのノウハウを伝授します。在庫管理で知っておくべき方法・考え方を網羅的に説明します。
またエクセル在庫管理表や在庫管理システムの活用には注意が必要です。アパレル・食品・医療など各メーカーの小売業や製造業で、失敗せずに導入するためのポイントを解決します。在庫管理システムの構築を検討している方は、ぜひご活用ください。
目次
1.在庫管理とは
在庫管理とは、在庫自体とその情報を管理する業務のことです。
在庫管理の対象は必ずしも「販売する予定のもの」だけに限りません。
販売目的・自社消費目的の在庫があります。
モノを仕入れて売る卸売業や小売業、そして原材料を仕入れて、組立加工をして販売する製造業があたります。
モノを仕入れて自社やあるいは補助材として使用する場合です。例えば、建設業でいえば、足場などの管理、医療福祉業では、患者や入居者のための消耗品管理などが挙げられます。これらは在庫管理とは言わず、資材管理と呼ばれていることもあります。
どちらも「モノ」ですから、管理方法は同じです。実際に弊社でも建設業者様の在庫(資材)管理システムの構築をお手伝いさせていただいたこともあります。在庫管理システムの導入サポート・支援した導入事例はこちらをご覧ください。
いずれにしても在庫管理の基本さえ押さえていれば、どんな「モノ」でも管理できるようになります。一方で、在庫がわからない会社では、大きな問題が発生します。次のテーマで詳しく確認していきましょう。
在庫管理の基礎から学べるコンテンツをこちらでまとめています。ぜひお役立てください。
2.在庫が分からないと利益が分からない
どんなに売上が良くても黒字でも、在庫をきちんと管理できていないと黒字倒産してしまうこともあります。
また、不正会計(粉飾決算)でよく話題に上がるのも在庫です。
在庫が見えない=会社の状態が分からない
と言い切っても良いでしょう。
現状の在庫量を答えられますか?
わからない場合は、知るところから始めましょう。
きちんとした会社ほど、在庫管理には気を配っています。
(複数の拠点・店舗があるなど、企業規模は関係ありません)
在庫は、「会社の利益を決める指標」です。
会社で一番最初に計算する売上総利益(粗利)は次の計算式で求めます。
- 売上総利益(粗利)=売上-売上原価
- 売上原価 = 期首在庫棚卸高 + 当期在庫仕入高 -期末在庫棚卸高
売上原価を計算するためには、在庫金額が必要です。
つまり、「在庫が分からない=利益が分からない」ということです。
会社は売上がどれだけあっても、売れ筋商品があっても、会社に残るお金=利益が無いと存続できません。
黒字倒産が多い理由の一つです。
在庫の数量が分からないということは、会社が存続できるかどうか分からないと言っていることと同じです。
まず、達成すべき目標を棚卸差異率2%以下に設定して、目指しましょう。
もし自社の在庫差異率が分からない場合は、一度測定をしてみてください。
ちなみに棚卸差異率とは、帳簿上の在庫データと実際に数えた在庫数の差異率のこと。
在庫の精度を知るためには欠かせない管理指標です。
2-1.在庫は企業にとって最大の投資
会社が一番お金を使っているのは何だと思いますか?
倉庫や工場などの建物?
人件費?
機械などの設備?
全て違います。会社が一番お金を使っているのは、「在庫」です。
では、企業が仕入れなどにどれくらいのお金を使っていると思いますか?
実は、企業が投資する総金額のうち実に70%以上が仕入れなどの在庫への投資です。
従業員の給与などは10%にもなりません。
在庫管理で一番の目的としていることは、企業における最大の投資管理です。
在庫管理が正しく行われていないと、どうなるでしょうか。
- 無駄な仕入れや消費になる
- キャッシュフローを圧迫する
- 結果として無駄にお金を使うことになる
製造業・卸売業・小売業を問わず、仕入れ(在庫)が無いと、売上が作れません。ただ、無駄な仕入れは売上にはならず、逆に会社の足を引っ張る存在になります。
在庫は仕入れ過ぎず・欠品を起こさない適正在庫に保つことが大切です。言い換えれば、適正在庫を実現することが、過剰在庫や在庫不足などの課題解決になるということです。
2-2.在庫は3種類ある
まず在庫とはなんでしょうか?
それぞれの業種で管理すべき在庫の種類をご紹介します。
製造業とそれ以外の業種で在庫の種類が異なります。
製造業以外の業種の在庫(主に卸売業と小売業)
例えば小売店(スーパーやコンビニなど)で言えばお店の棚に並んでいる「商品」として仕入れたものだけが「在庫」となります。
製造業の在庫
一方、製造業では商品だけではなく、次の3種類の在庫があります。
- 部品・原材料(製品を作るために必要な材料)
部品…加工せずそのまま使える(ネジ等)
原料…加工しないと使えない(液体や鉄板など) - 仕掛品
部品を組み合わせたり原料を加工している生産途中にあるもの。なお、生産途中にあってもその状態で販売できるものは中間品と言います。 - 製品
組立や加工を終えて顧客に販売できるもの。
3.在庫の役割とは
なぜ、在庫が必要なのでしょうか?
本来であれば、企業としてはあまり持ちたくないものです。
仕入れにお金が必要ですし、仕入れた後も管理が必要ですし・・・
在庫の役割を整理します。
3-1.顧客満足
在庫の第一目的です。
在庫があれば、すぐに販売できたり、生産に着手できます。
お客様が待ってくれるようなご商売であれば、良いですか現実には、そううまくはいきません。
なので在庫をもつことで、お客のニーズにこたえます。
3-2.トラブル対応
いわゆる調整役としての在庫です。
仕入れ先の納期遅れなどの遅延、破損などへの対応です。
製造業の場合ですと、機械にトラブルがあったり、作業員の欠員などで工程間の生産量や生産能力が変動するので、予定通りの生産ができないことがあります。
このようなトラブルが発生した際に、在庫は変動を調整・吸収してくれる「遊び」として働きます。
たとえ変動が発生しても仕掛品在庫が調整役になるおかげで、作業を中断せずにスムーズに生産を続ける事ができます。仕掛品の管理手法はこちらから学べます。
3-3.平準化
夏のビールの需要やアイスクリーム、クリスマスのケーキなど季節やイベントによって需要が急増して仕入れや生産の能力を超える事があります。
このような場合、仕入れや生産を前倒しして、あらかじめ在庫を作り貯めて前もって需要に備えることができます。
こうすることで工場が持つ能力を最大限に生かしつつ、生産量を一定に保ち、無理な残業や暇な時の手持ちなどを抑えることができます。
4.在庫管理の重要性
在庫管理の重要性とはなんでしょうか?
それは在庫管理の目的を実現することにあります。
大きく分けて3つの管理をすることが、在庫管理の目的です。
- 資産としての管理
- 顧客満足としての管理
- コストとしての管理
4-1.資産としての管理
在庫はお金が形をかえたものです。
商品や製品は販売される事を待っている状態です。
つまり、現金化予定のものです。
仕入れに使った資金を商品を売ることによって「回収」している訳です。
しかしその商品を在庫としてため込み販売できないでいると、お金が在庫として滞留した状態になるため資金繰りが悪化してしまうのです。
ですから在庫管理をきちんと行って、資金繰りが悪化しないように在庫を会社の資金と同じくらいに注意を払って管理する必要があります。
在庫の資産管理としての手段として、一番大切な作業が棚卸です。
棚卸は在庫金額を確定する唯一の方法です。とくに期末には、棚卸資産の残高を確認するために実地棚卸を行います。
ただ、せっかく棚卸をしても残念ながら在庫金額が合わないことが大半です。
棚卸で在庫金額をきちんと合わせるノウハウが必要です。
棚卸のノウハウについては、こちらのページでご紹介しています。
4-2.顧客満足としての管理
在庫の役割のところでご説明しましたが、在庫管理をして、お客様が欲しいといった時に必要なものを用意できなければいけません。すなわち、「素早く生産・販売できるような体制を整えておく」ために在庫が必要です。
在庫を持っていれば、以下のようなメリットがあります。
- 生産に早く着手できる
- 商品をお客様に届ける時間を縮めることができる
- 特に製造業においては、「納期が早い」ということは競争力にもなる
お客様に、ライバル会社よりも早く商品を届けられることをアピールすることで、商品を買ってもらう機会を獲得し、機会損失を減らすことができます。
もし在庫を持っていなければ、顧客からの注文があっても製品を生産するための時間が必要なので、顧客の手元に商品を届けるまでに膨大な時間がかかってしまいます。
ほとんどの顧客は「今すぐ欲しい」というのが普通なので、生産・出荷スピード=納期対応力は強い競争力になります。
もう一つは「顧客の期待」があります。
卸売業や小売業がとることの多い戦略です。
小売業の例は、東急ハンズやドン・キホーテの店内を想像するとわかりやすいです。
見渡すと様々な商品が大量に並べられています。
これは、たくさんの商品を店頭に並べることで、顧客に商品を選ぶ楽しさ、「この店に行けば何か見つかる」という期待感につながります。
4-3.コストとしての管理
在庫はモノですから、必然的に管理が必要です。
在庫管理をすることによって次のようなコストを減らせます。
- 在庫数が分かる
- 無駄なスペースが消える
- 在庫を探す時間を減らす
- 無駄な仕入れや生産を減らせる
在庫の発注・生産方法でコストを減らす一方、在庫の持ち方次第で、コストを削減することができます。
在庫によるコスト削減の方法には大きく分けて次の方法があります。
- まとめ発注・生産(ロット発注・生産)
- 事務、管理作業の削減
- 配送の合理化
ある程度まとめて仕入れたり、発注したりすることで在庫管理にかかるコストを削減できます。
ただし、このまとめ発注などの方法は一歩間違えると在庫を増やすというリスクがあります。そのリスクを避けるためには、
- 在庫分析を行うこと
持つべき在庫とそうでない在庫のメリハリをつける。 - 発注仕入れなどの頻度を上げる
- 自動化・省力化などのIT活用や仕組みの構築でこまめに行えるようにする。
その場合は、今と同じ方法をしていては時間がかかりすぎてしまいます。
そのため、バーコード管理によって入出庫業務を楽にしたり、発注点管理をしたりすることで在庫を欠品から防ぐことができます。システム化が解決の糸口になります。
例えば、バーコード管理にはWindows OSを搭載したハンディターミナルなど、さまざまな方法があります。実際に運用したい場合は、「在庫管理システムの110番」でもご相談を受け付けています。
【在庫分析・システム化に役立つ記事】
4-4.在庫管理が後回しになる企業の共通点
では、なぜ在庫管理は重要にも関わらず、後回しになってしまうのでしょうか?
よく出てくる理由をいくつか挙げてみました。
- 売上が重要だから
- いつかは売れるから
- 安い時に買えるから
- 腐るものではないから
- 今は忙しいから
- 自社倉庫だから
人間は目の前で起こることには敏感ですが、それ以外の事は非常に鈍感です。
最初に申し上げた通り、在庫は経営の土台になります。
日常業務として組み込んでおかなければ、足元をすくわれます。
何かあった時に今かやらないと!では間に合いません。
日々の積み重ねがモノを言うのが在庫管理です。
5.在庫管理をする11のメリット
在庫管理の重要性を理解し、きちんと取り組んでいる
会社は業界を問わず、ちょっとした景気変動にはビクとも
しません。
ここで、在庫管理の11のメリットをご紹介します。
- キャッシュフローが良くなる!
- 会社の信頼性が高くなる!
- 生産性が向上する!
- 余剰在庫が減る!
- 余裕スペースが生まれる!
- 欠品が減る!
- 品質が安定する!
- 安全になる!
- 管理費が減る!
- 残業無し!
- 基準、判断ができる!
それぞれについて解説します。
5-1.在庫管理でキャッシュフローが良くなる!
「この在庫が全てお金だったらなぁ・・・」
売れる見込みがなくずっと倉庫に山積みになった在庫を見て、社長さんが肩を落として言いました。
在庫=お金です。
赤字になっても倒産しませんが、現金がゼロになると倒産します。
在庫管理をしっかりとやれば、無駄な仕入れや、在庫として滞留するムダが無くなり効率的になるので、結果と無駄な現金の支出が減るため、現金が手元に残ります。
キャッシュイズキング(現金は王様)という有名な言葉をご存じでしょうか?
銀行に金策に走る必要もなくなりますし、有利な条件での取引も可能です。
現金が手元にあれば、投資も可能になるためビジネスチャンスも逃しません。
5-2.在庫管理で会社の信頼性UP!
あなたの会社の倉庫は、自信をもってお客様に見せられますか?
いきなり来られては困る、片づけてからでは見せられないという会社は要注意です。
すっきりと整然とした倉庫は、それ自体が会社にとって最高の営業マンになります。
あなたはきれいな倉庫や現場を見たらどう思いますか?
おそらく・・・
- 社員教育が行き届いている
- 製品の品質管理も徹底している
こんな風に思いませんか?
在庫管理のご相談やコンサルティングやを受けた際は、まず最初に必ず在庫を保管している倉庫を見せていただきます。
倉庫の管理状態を見れば、その会社の状況やレベルが分かります。
しっかりとした会社ほど、その会社の在庫管理状態を見ています。
私が以前勤めていた会社でも必ず倉庫や工場を見なさいと言われました。
在庫の現品管理については、こちらのページで解説しています。
5-3.生産性が向上する!
今の日本の大きな課題は生産性の低さです。
在庫管理をしっかりとやれば、生産性は必ず向上します。
逆に在庫管理ができていないと、必ず4大ロスが増えます。
4大ロスとは、時間を奪ってしまう元凶のようなものです。
在庫管理を徹底することで、4大ロスが無くなり生産性が向上します。
特に製造業の場合は、製造リードタイムの短縮につながります。
結果的に納期短縮が実現します。
製造業の製品の競争力はつぎの3つで成り立ちます。
- Q(品質)
- C(コスト)
- D(納期)
生産性の向上による時間の短縮はコストダウンも実現できるため、
企業の競争力を確実に高めてくれます。 - 製造リードタイム
5-4.不良在庫・過剰在庫が減る!
在庫管理をすることで、2つの面から在庫を減らせます。
一つ目は、在庫が無いと不安ということです。
実はこれが過剰在庫を生む最大の原因です。
不安が起こるのは、
- 今いくつあるのかが分からない
- どう分類されているのかが把握できていない
- どれくらい必要なのかが分からない
在庫が分からないから、多めに持つ。
一つ一つだけを見れば大したことは無いですが、いくつもの商品で起こると、「チリが積もれば山となる」
現象が起こり、大変なことに・・・
ですが、在庫管理をしっかりとすれば、その2つの不安が解消できます。
もう一つは、不良在庫です。
長年ずっと販売していない商品が眠っていませんか?
不良在庫は、そのまま放置しても売れることは無く、倉庫にどんどん積みあがります。
それらが、保管場所を圧迫してコストやロスを生みます。
在庫管理をしっかりやることがソリューションです。過剰在庫や不良在庫が無くなり、在庫を削減できます。結果として会社の適正在庫を保つことができるようになります。
5-5.余裕スペースが生まれる!
在庫はモノですから、保管場所が必要です。
増えれば増えるほど、広い保管場所が必要になります。
また、機械等の設備と違って、在庫は保管状態であるときは何も会社にとって利益をもたらしません。
つまり、在庫を置いている場所は、何も付加価値を生まないデッドスペースといえます。
在庫管理を行えば、過剰在庫や不良在庫が一掃できます。
すると、在庫に占領されていたデットスペースが無くなります。
空いたスペースは、生産能力の拡大に活用できます。
新しく確保したスペースを利用して、さらに業績アップを目指しませんか?
5-6.欠品が減る!
欠品しないように在庫を持っていると思います。
しかし、不思議な事に在庫が多ければ多いほど、欠品が増えます。
なぜそのようなことが起こるかというと、
- 在庫の山に埋もれて必要なものが見つけられない
- 長期保管で劣化してしまって商品価値が無い
- 使わないものが大量に在庫されている一方、必要な在庫が無い
在庫管理をすれば、持つべき在庫量が決まって無駄な仕入れが減り、過剰在庫や不良在庫のリスクも減ります。
また3S活動によって、ベテラン以外でも分かる現場になります。
5-7.品質が安定する!
在庫は仕入れた瞬間から劣化が始まります。
長期保管をしていると、たとえ腐らないものでも紫外線や湿気などで、品質は必ず劣化していきます。
チリやホコリなどの異物が混入する危険性も高くなります。
早く使えば使うほど、劣化や異物混入のリスクを避けることができます。
5-8.安全になる!
安全は、会社の最優先課題です。
在庫が置き場に収まらず、通路などに散らばっていると、つまづきの原因になります。
また、山積みの在庫が荷崩れして落ちてくる危険性もあります。
在庫が減れば、そういった危険性もなくなり安全な作業場・倉庫になります。
5-9.管理費が減る!
在庫管理にはコストがかかります
先ほど、保管場所や4大ロスなど在庫管理にはコストが掛かるとお伝えしました。
では、どれくらいかかるでしょうか?
在庫管理にかかるコストは、
在庫金額の15-25%くらいになると言われています。
例えば、在庫が1億円あると、約1500万円が在庫管理の経費がかかっていると考えてほぼ間違いないです。
ここには保管費用や在庫探しの時間、倉庫の作業者、外注費など様々なものを含みます。
在庫が多いと、事あるごとに探したり、入れ替えをしたり、
- 棚卸に余分な時間がかかるので人件費がかかる。
- 光熱費や倉庫の減価償却費、金利など管理にかかる。
これらの費用を挙げるときりがありません。ただ、厄介なことに在庫管理のコストは、間接的だったりするので計りにくいことが多いのが難点です。ただ、これが在庫管理のやる気をそぐ一因でもあります。
5-10.残業無し!
無駄な作業や行動をする時間を削減できるので、残業を減らすことができます。
残業が減れば、会社も割増しで人件費を支払う必要はありません。
また従業員も早く帰宅でき、プライベートや家族との時間を持てるので、働き方改革の一環になります。
5-11.基準、判断ができる!
在庫管理はベテラン社員の経験と勘誰もができる管理にしなければいけません。
誰でもできるようにするのが在庫管理です。
在庫管理ができていない会社では、発注業務はベテラン社員の仕事です。
しかし、在庫管理ができている会社は、発注業務はパートさんの仕事です。
誰でもできるようにするためには、やり方の標準や基準をつくらなければいけません。
基準があれば、「必要か、不要か」や「良いのか、悪いのか」という判断が誰でもできるようになります。
熟練した社員でなくても、パートや新入社員が即戦力になりますし、勘による発注や生産が無くなります。
在庫は限りある資源です。
過剰在庫・不良在庫は、資源の無駄遣いです。
また、運送なども減らすことができるためCO2削減になります。
6.在庫管理の方法
最後に在庫管理の方法についてご紹介します。
在庫管理は、モノ自体を管理する「現品管理」と情報を管理する「データ管理」に分かれます。
在庫管理の問題が、在庫管理システムやアプリを使い始めれば、解決できると思われがちですが、その考えは絶対に間違いです。やめましょう。
在庫管理システムシステムの導入を成功させるためには前提があり、在庫管理の改善には、手順があります。
6-1.現品管理
まず最初に取り組まなければいけないのは、3Sです。
つまり整理・整頓・清掃です。特にその中の2S(整理・整頓)に取り組みましょう。
次の順番で進めます。
- 整理
過剰在庫や不良在庫を抽出して処分すること。
処分することで、在庫が埋もれません。そして必要なものを置くためのスペースが生まれます。 - 整頓
誰でもわかる置き場を作ること。
整理によってスペースが生まれるため、必要なものを取り出せる状態にすることです。
整頓のコツは、保管場所を決める3定がポイントです。
特に3定の中で大切なのは、保管場所を決めるロケーション管理です。
3定・ロケーション管理はこちらのページで解説しています。
6-2.データ管理
在庫管理を行う上で、在庫管理システムの導入は欠かせません。
在庫管理システムを導入することで、次のことが実現できます。
- 作業の効率化
- データの共有化
ただ、在庫管理システムの導入は慎重に行わなければいけません。
ただ、それだけではなく、蓄積されたデータが活用できるのが在庫管理システムを導入する魅力です。
蓄積したデータを使って在庫分析を行うことで、需要の予測や持つべき在庫量、適正在庫を実現できます。
在庫分析や適正在庫についてはこちらのページにまとめています。
6-3.エクセル在庫管理の利点と欠点
手書きエクセルと併用して在庫管理に一番使われているソフトはエクセルではないでしょうか?
エクセルは何でもできるので便利なシステムです。
簡易的な在庫管理であれば、お金を出してソフトやアプリを入れなくても、エクセルで十分代用可能です。
しかし、何でもできるという便利なゆえの欠点が4つあります。
- データベース(データの蓄積)として使ってしまう。
エクセルはデータを計算したり集計するための表計算ソフトです。データを入力して、大量に貯めるということは本来の目的ではないので苦手です。月別などでいくつのもエクセルファイルが並んでいませんか?データを1つに1元管理できていないとデータは活用しづらくなります。 - 1つのエクセルに何でも詰め込む
最初は在庫一覧だったものに、発注予定を付け足したり、納期管理を付け足したりと、1枚のエクセルに何でもかんでも情報を詰め込んでいませんか?結果的に起こっているのは、更新漏れや追記漏れ等です。作ったデータの信頼性がどんどん失われます。 - 複雑になる
ファイル間やシート間で、データの相互参照をしたりしていませんか?作った本人しか触れない、エラーが起こるともう手直しができない・・・という状態も良く起こっています。 - メンテナンスに時間がかかる
データや項目の追加や削除を見越した設計になっていないため、エクセルで作った管理表のメンテナンスをするのに半日かかる・・・というケースもあります。
データの作り方は決まっています。シンプルで誰でも使えて、そしてデータや項目の追加や削除がしやすいような管理表の初期設計が必要です。
データの扱い方や在庫管理表の初期設計は、在庫管理の教科書03「データ管理編」にまとめました。
こちらからご覧ください。
➽在庫管理の教科書
6-4.バーコードの活用
在庫管理においてキモになる業務が入出庫の記録です。
従来の紙やノートをベースにした手書きの在庫管理だと、システムにわざわざ転記しなければいけません。
在庫管理をシステム化する際に、検討していただきたのがバーコード(QRコード)の活用です。
バーコードを導入すれば、
- 入出庫をやっている現場がその場で入庫・出庫の情報をシステムに登録できる
- リアルタイムで在庫データが更新され、会社全体で共有できる
- 棚卸作業の工数も各段に減らすこともできる
ただ、システムを入れるだけではバーコード管理はできないのでご注意ください。
現品管理とバーコードの活用についてはこちらで解説しています。
➽在庫管理のバーコードを活用するメリット
6-5.在庫管理システムを導入しても問題は解決しない?
在庫管理システムは、在庫管理を劇的に変える最大の切り札になるツールです。
在庫情報をリアルタイムで一元管理でき、かつ在庫管理を自動化できる機能が搭載されています。
しかし、在庫管理のソフトやスマートフォンで気軽に使えるアプリがあふれているにも関わらず、多くの企業がその恩恵を受けていません。
それはなぜだと思いますか?
在庫管理のソフトやアプリは機械や設備と同じツールです。
- 道具は、用途に合っていないと使い物にならない。
- 道具は、使用方法を知っていなければいけない
- 道具は、習熟(慣れ)しなければいけない。
- 道具は、使用できる準備(環境)を整えないといけない。
在庫管理システムは、在庫管理という業務の道具です。
しかし、会社によってやり方は様々です。
在庫管理システムを選ぶ方法は3つです。
- 自社のやり方にあったシステムを選ぶ
- 自社のやり方にあったシステムを作る
- システムに自社のやり方を合わせる
【在庫管理システムを選ぶノウハウ】
6-6.在庫管理システムのキーポイントは業務フロー
在庫管理のシステム化のキーポイントは、業務フロー(仕事のやり方)です。
あなたの会社の業務とシステムの機能(やり方)が合っていなければ、システムは機能しません。
システム会社の人は、「できる」といいます。
ただし、その前提はシステムの機能(やり方)に合わせてくださいということです。
システムを導入せずに従来のノートや紙を使った手書きままの在庫管理はもはや時代遅れです。
かといって焦ってシステムを見切り発車で導入すると、業務自体が回らず混乱します。
失敗せずに、かつ低コストでシステムを構築する方法を実経験をもとに解説しています。
【在庫管理システムの関連記事】
7.在庫管理のノウハウの学び方
在庫管理110番では、実践的な実務ノウハウをまとめた
在庫管理の教科書を全4巻発行しています。
在庫管理アドバイザーの経験と知識で、実務で必要なことだけが
効率よく学べます。
- 01「在庫管理を知る」
- 02「現品管理
- 03「データ管理」
- 04「棚卸」
7-1.在庫管理を後回しない
苦しくなってから在庫管理を何とかしようと思っても手遅れです
売上が好調な時ほど、在庫管理は手薄になります。
なぜかというと、会社が何となく回っているからです。
在庫が会社を圧迫するのは、売上が落ちた時です。
つまり、在庫の流れが止まった時です。
これまで隠れていた問題が一気に噴出します。
売上が好調な時こそ、在庫管理を始める絶好のチャンスです。
お金も人員も投入することができます。
売上が好調なうちは、在庫の回転も早いので、
入庫のコントロールさえすれば、在庫が減っていく
可能性も高くなります。
さらに思い切った廃却ができるのも
この時期です。長期間工場にずっと残っている在庫は
捨ててしまいます。
7-2.優良企業は在庫管理を徹底的にやっている
- トヨタ自動車
- コストコ
- アップル社
どの企業も超有名な大企業です。
マーケティング力や魅力的な商品が目立ちますが、
それを裏で支えているのが徹底した在庫管理です。
いずれも在庫をキーワードとして、戦略が立てられています。
大企業だからできることじゃないの?
と思われるかもしれません。
実はそうではありません。
中小企業でも必ずできます。
根本的な面をしっかり見てみると、実は原理原則にのっとり、
理にかなった考え方をしていることと、地道な努力の積み重ねです。
なぜなら、在庫管理の技術はモノと情報を扱う管理技術だからです。
管理技術は、分野を問わずあらゆる場面で応用できます。
大企業のような資本力は必要ありません。
本質を理解し、基本に忠実に実行すれば必ず成果はでます
在庫管理は企業がさらに大きくなる成長のカギになります。
在庫管理をしっかりとして、
時間的にも、資金的にも楽になる儲かる経営に変えませんか?
8.在庫管理のご相談なら「在庫管理110番」がおすすめ
在庫管理に関するお悩み解決なら、在庫に関する総合窓口「在庫管理110番」への相談がおすすめです。
在庫管理110番には、以下のような強みがあります。
8-1.経験豊富な在庫管理アドバイザー
生産管理、設計変更、発注管理、現場改善、在庫削減などで実績のある在庫管理アドバイザーによる提案が受けられます。
- 過剰在庫を何とかしたい
- 棚卸の精度を上げたい
- 誰でもできる在庫管理の仕組みを作りたい
- 在庫管理のノウハウを基礎から学びたい
- 在庫管理についてプロの知見を取り入れたい
など、あなたのお悩みにお答えいたします。
8‐2.お悩みに合わせたソリューション
在庫に関する総合窓口として、コンサルティングだけでなく、
セミナー・講習・教材・在庫管理システム・不良在庫の買取と幅広いソリューションを提供しています。
在庫問題の原因を突き止めて、その解決を根本からはかることができます。
8-3.無料相談(初回のみ・人数限定)
在庫管理にお悩みの方は「在庫管理110番」までぜひご連絡ください。無料相談を受け付けています。
多くの方がこの相談を利用し、在庫管理の改善をスムーズに進めています。
在庫管理に関して全般的なご相談ができ、実務的な観点でのアドバイスも提供します。初回相談は無料なので、お気軽にお問い合わせください。
ただし、こちらのサービスは大変人気で、月に4名様までの予約制となっています。
興味を持たれた方は、お早めにご連絡ください。
在庫管理アドバイザーが直接相談に乗ります
無料で個別相談もできます
誰でも使いやすく業務効率化に役立つ
クラウド型『成長する在庫管理システム』の特徴
- 搭載された出庫・棚卸などの機能が100%使い切れる
- 操作ラクラク!シンプルなので新人従業員も問題なく使える
- ユーザー数無制限!どこでも使える!
- 低コストなのに本格的
- 必要な機能だけを選択して導入
- 万全のセキュリティで安心して使える
在庫管理の効率化を図るシステムの導入なら「在庫管理110番」へ
在庫管理の目的と方式
在庫管理とは、製品や商品を適切な量、適切な場所に保管し、必要な時に必要なだけ利用できるように管理することです。 一言で言えば、適切なタイミングで適切な量の商品が手元にある状態を保つための管理作業です。 在庫管理の目的と方式について具体的に解説します。
【在庫管理の主な目的】
- サービスレベルの維持:在庫が適切に管理されていると、顧客が求める商品を常に提供できます。 これにより、顧客満足度が向上し、リピート購入や口コミによる新規顧客獲得につながります。
- コスト削減:適切な量の在庫を保有することで、過剰在庫によるコスト増や、 在庫切れからくる機会損失を防げます。
- キャッシュフローの最適化:在庫を適切に管理することで、商品の入荷と出荷のタイミングを 最適化し、キャッシュフローを改善します。
【在庫管理の方式】
- ABC分析:在庫品目を年間使用金額や頻度などでランク分けし、管理の重点を決める方法。 Aランク(重要な在庫)から順に厳密な管理を行い、Cランク(あまり重要でない在庫)は 緩やかな管理でコストを抑えます。
- EOQモデル:在庫コストと発注コストの合計が最小となる注文量を求める方法。 適切な発注タイミングと発注量を見つけるのに役立ちます。
- JIT方式:製品が必要となる直前に部品を供給する方法。在庫を極力抑え、 在庫コストを削減します。
- ドロップシッピング:商品の在庫を持たず、顧客からの注文が入った時点で 仕入先に発注し、直接顧客へ送る方法。在庫リスクを抑えることができます。
以上、効率的な在庫管理の目的と方式について解説しました。適切な在庫管理によって、 業績の向上、コスト削減、顧客満足度の向上など、企業にとって多大なメリットが あることがおわかりいただけたでしょう。在庫管理は単なる商品のストック管理ではなく、 企業の競争力を高める重要な要素です。 その実現のためには、適切な在庫管理方式の選択と、その適用が不可欠です。
システム化で管理業務を簡素化
在庫管理は、製品を効率的に製造、販売し、ビジネスを成功させるための重要な要素です。 しかし、手作業での在庫管理は時間と労力がかかり、ヒューマンエラーも避けられません。 ここで重要なのが、システム化による在庫管理の効率化です。
まず、在庫管理を自動化するためのシステム化のメリットを見ていきましょう。 一つ目は時間の削減です。手動での在庫の追跡と比べ、システム化による自動追跡は 時間を大幅に削減します。これにより、他の重要な業務に時間を割くことができます。 二つ目のメリットは、ヒューマンエラーの削減です。手作業による在庫管理は、 入力ミスや計算ミスなどのヒューマンエラーが避けられません。 しかし、システム化によりこれらのエラーを大幅に削減することができます。 三つ目のメリットは、精度の向上です。システム化による在庫管理は、 リアルタイムでの在庫状況の把握が可能になります。これにより、 在庫の過剰または不足を防ぎ、適切な在庫量を維持することができます。
以上のようなメリットを享受するためには、在庫管理システムの導入が必要です。 在庫管理システムは、独自のソフトウェアを開発するか、 既存の在庫管理システムを利用することが可能です。 独自のソフトウェアを開発する場合、自社のビジネスニーズに合わせた カスタマイズが可能です。しかし、開発費用や時間がかかります。 一方、既存の在庫管理システムを利用する場合、導入費用や時間を削減できます。 しかし、自社のビジネスニーズに完全に合わせることは難しいかもしれません。 どちらの方法を選択するかは、自社のビジネスニーズやリソースによります。 しかし、在庫管理の効率化は、業務の簡素化とビジネスの成功に大いに寄与します。 自社の在庫管理を見直し、システム化による効率化を検討してみてはいかがでしょうか。
在庫状況の適正な把握
在庫管理の効率化には、在庫状況の適正な把握が不可欠です。 在庫状況の把握を怠ると、多大な機会損失やコスト増加を招く可能性があります。 具体的には、商品の欠品や過剰在庫、納期遅延などが発生し、 ビジネスに大きなマイナス影響を与えることになります。
そこで、在庫状況を適正に把握し、在庫管理を効率化するための方法について解説します。 まず、在庫状況の把握には「定期的な在庫確認」が必要です。 在庫の増減は日々変動するため、定期的に確認を行うことで現在の在庫状況を 正確に知ることができます。また、在庫確認では、商品の数量だけでなく、 賞味期限や品質等の情報も一緒に確認することが重要です。
次に、在庫状況を把握するためには、「在庫管理システム」の導入を検討することも重要です。 在庫管理システムには在庫の入出庫管理、在庫数の自動計算、在庫の見える化など、 在庫管理を効率化する機能が揃っています。 特に、リアルタイムで在庫状況を把握できる機能は、適切な在庫管理に必須です。 また、在庫状況を適正に把握するためには、「適切な分析」も欠かせません。 売れ筋商品や季節商品のトレンド分析を行い、需要予測を立てることで、 適切な在庫数を確保することが可能になります。また、過去の在庫状況や 売上データを分析することで、在庫の適正水準を見極めることも可能となります。 さらに、「在庫ロスの削減」も在庫状況の適正な把握には重要です。 在庫ロスとは、在庫が過剰になったり、賞味期限が切れてしまったりすることで 発生する損失のことを指します。これを防ぐためには、上記のような 在庫管理システムの導入や適切な分析が欠かせません。
最後に、「スタッフの教育」も在庫管理の効率化に必要不可欠です。 在庫管理システムの導入や分析手法など、在庫状況の適正な把握に関わる知識を スタッフ全員が理解し、実践できるようにすることが求められます。 以上のように、在庫状況の適正な把握は在庫管理を効率化するための基本となります。 定期的な在庫確認、在庫管理システムの導入、適切な分析、在庫ロスの削減、 スタッフの教育などを通じて、適切な在庫管理を行うことで、 ビジネスの生産性と利益性を向上させることが可能となります。
在庫管理アプリについて
無料で始められるスマートフォン版の在庫管理アプリの機能や特徴と事業用に利用する際の注意点について、実務経験が豊富な在庫管理アドバイザー目線で解説します!詳しい内容は下記リンクからご確認ください。
在庫管理ソフト・システムについて
在庫管理を効率化させるツールには、在庫管理ソフトや在庫管理システムがあります。いずれも日々の在庫管理における業務改善や生産性向上をするためのソリューションです。詳しい内容は下記リンクからご確認ください。